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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章23 ただいま&さよなら

 久々の投稿です。よろしくお願いします。来て頂いてありがとうございます。

 


「あの···どちら様?」


 「私はエルフォンスの聖獣ラクシエル。ユシャからの頼みで留守の間アルクの相手をしていた」


 あ、やっぱり聖獣なんだ。アルクくんと同じで魔力の固まりだ。アルクくんより強そう。魔力が多くなると見える事わかる事が増えた。


「初めましてヒナです。エルフォンスさんの聖獣さんなんですね。アルクくんの相手をして頂いてありがとうございました」

「ヒナ。礼なんて言わなくていいよ。僕酷い目にあったんだから」


 え?何?仲良しなわけじゃないの?アルクくんが寂しいだろうからわざわざ来てくれたんだよね。

 聖獣が二人(2頭?)も揃っているなんて超レア。


「ヒナ、いつまでもアルクとじゃれてないで中に入れ」

「あっ、はーい」


 ユシャさんに言われ、立ち上がり髪や服に付いた葉っぱをはらい、懐かしの我が家(?)に向かう。


 しかし聖獣も色々いるんだね。アルクくんは可愛い感じだけど、ラクシエルさんは大人というか、迫力があると言うかカッコいい。雰囲気的にはアルフォンスさんに似てるかな。

 いや、アルフォンスさんのキャラはそれほどシリアスじゃないけど、見た目はクールだから、ね。

 喋り方とかから思うにラクシエルさんが年上?


「何を言う。ユシャからアルクが暇してるから遊びに行って欲しい。ついでに鍛えてやってくれ、と言われたから遊んでやったし鍛えてもやっただろう?」

「ラクの遊びって過激なんだよ。鍛えるとかって、なんで人型で剣だの格闘技とかなの!」


 え?聖獣って人型で戦えるの?

それ凄くない?見てみたい。


「お前がグータラし過ぎなんだろ。私はエルフォンスの稽古に付き合っているから、体のキレもいいぞ。大体、アルクはシェルと居た時から甘え過ぎだったではないか」


 ん?シェル?って誰だったっけ?

 私がシェルという名前を覚えていないことに気付いたのかアルクくんが教えてくれた。


「シェルはシェローデイルだよ。ユシャの師匠でここに住んでた。僕とラクの名前をつけてくれたのもシェルだよ」


 あ、ユシャさんの初恋の。


「ヒナちゃん、お茶を入れたからひと休みしましょ」

「今行きます」


 リナリナさんがお茶を入れてくれたらしい。

 するとアルクくんがすすっと私の横に来て訊ねる。


「ねえ、ヒナ。あの女の人誰?」

「リナリナさんと言って私のお祖母ちゃんになる人」

「?·····おばあちゃん?」

「う、何と言うか···私の仮の親の親?」

「親の親?」


 聖獣にはわかんないかな?聖獣はどうやって生まれるのかもまだ不明らしいし、家族とか兄弟っていう感覚もよくわからないらしい。

 アルクくんは気がついたら一人でそこに居たと言っていたから、自然発生でもしたのかしら。


「リナリナは元アルフォンスの部下だったこともある。優秀な女性騎士だったぞ。」

「ラクシエルさんリナリナさんを知ってるの?」

「まあな。安心しろ。仔細は知らんがリナリナは強い。ヒナを守ってくれるであろう。退役したのは随分前だが、まだ充分強いから」


 ···リナリナさんそんなに強いんだ。


 その日の午後、三人でオルガさん達に会いに蘭香亭に行った。

 久しぶりの雨宮さんの料理に感動しつつ、爆食する私にユシャさんが呆れていた。

 警備隊の食堂には雨宮さんのレシピの料理もあったけど、やっぱりオリジナルは美味しい!


「ヒナ、今からお前の友人や関わった人間をここへ呼ぶ。そして、新しい記憶を植える」

「えっ!なんでそんなことするんですか?!私の事とか今までの事を消しちゃうんですか!?」

「落ち着け」


 ユシャさんが言うには、私の設定をリナリナさんの孫だったと言うことにするためには私が黒髪黒目だという記憶を改竄する必要があるのだそうだ。

 この世界にも黒髪が全然いない訳では無いが、完全に真っ黒ではなくて他の色が濃くなって黒く見えるだけらしい。

 しかも黒髪に黒目というのはリナリナさんの孫としては余りにも不自然だ。

 なんかよくわからないが念には念を入れってことだけど、そこまで必要なのか?


 私の容姿、その部分の記憶だけ変えるのでそれほど負担や弊害は無いという。私や皆との思い出が消えるわけではないらしい。良かった。


 でも、私は中央に行く。ミーク

達には会えなくなる。



 ユシャさんが魔法で私のメッセージを皆に届けてくれた。幸い皆、時間があったようで夕方には蘭香亭に集まってくれた。


 ミーク、アベルくん達、マイラさん、え?先生達も?


 無事修正を終えた後は、急遽私の送別会となった。


「ヒナ〜〜〜急すぎるよ~~」

「たまにはニニカに帰ってきてよヒナ。絶対だよ」


 ミークとマイラさんが私の両脇で

泣きながら抱きついてくる。そんなにされたら私も涙が·····てか苦しい···· 


 別れを惜しむ時間が足りなく感じる。本当はニニカに居たいと思う自分と中央でやらなきゃいけないことがあるような変な使命感を持つ自分に戸惑っている。

 

 その夜はリナリナさんと私は蘭香亭で泊めてもらった。ユシャさんちでは狭すぎるのだ。

 オルガさんのお腹がはち切れそうだ。双子だと?しかも三ヶ月後が出産予定?!

 え?もうそんなになった?

 私がここに来てからどのくらい経ったっけ。



 ティファーンに行くためにここを出てから、まだそんなに経ってないとおも思っていたけど、懐かしく感じる。皆と離れがたく感じてしまうけど、余りゆっくりもしていられない。

 もう少ししたら神殿の行事もあるし、中央に帰って大学に通うため新居に引っ越しをしなくてはいけない。


 あぁ、杉下さんにもお話しなくちゃいけない。あれもこれも···で、もう私の頭の中はごった煮、いやもう闇なべに近いかも。



   ******



 「ユシャさん出掛けられるんですか?」


 賑やかな蘭香亭からそっと抜け出そうとしていたらユージに見つかった。


 「ああ、他にもヒナの記憶を変えておきたい人物がいるかも知れないからな。確認だ」

「ヒナさんはそんなに危険なんですか?」

「魔力が多いが制御出来ないのは確かに危険なんだが、何か引っ掛かることがある。ヒナには黙っててくれよ。気にするだろうし、いや逆に心配性だって笑われるかもな」

「周りからは過保護って言われますよ。いや失礼しました」


 ユージは笑いながら言うが確かにそうかも知れない。俺の心配が杞憂ならばいい。だがやはり、不安のもとは無くしておきたい。


 「後は頼む。ヒナ達は明日迎えに来る。お前とオルガの子供が産まれたら、ヒナを連れてまた来るよ」

「はい。待ってます」


 色々と気になる事はあるが今は出来ることをするしかないか。

 さてアルクになんて言って納得させよう。





 

 一応、恋愛カテゴリーのはずですが恋愛要素が低くてすみません。

 溺愛は······期待できないかも(・_・;)

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