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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章22 ヒナは少し不安

 引き続き本日も投稿です。

よろしくお願いします。


 帰り道、だんだんと空が染まり辺りが暗くなり始めると街には街路灯が付き始める。これも魔法道具で魔石がセットされている。


 警備隊の宿舎に近付く頃には周りはかなり暗くなり街路灯も少なくなる。

ユシャさんが魔法で獣車の灯りを付ける。獣車用のドラゴンは余り夜目がきかないらしい。

 でも、灯りをつけるのは、人間が暗いのは不安になるからじゃないかなと勝手に考えてみる。


「ヒナ···」

「は、はい?」


 突然、名前を呼ばれて焦る。

 杉下さんに魔力のこととか、どんな風に説明しようかとずっと頭の中で考えていて、つい無言になってた。ユシャさんもさっきまで考え事していたのか黙ったままだった。


「最初はお前を元の世界に戻すなら、余計な知識は与えない方が良いと思っていた」

「はい·····」

「だが、元の世界に戻す方法は、いくら調べても手に入らなかった。ユージの時も調べはしたが、ユージはオルガのこともあり、早々に帰ることを諦めたから、そのままになったんだ」


雨宮さん、オルガさんのためにこちらに残ることにしたんだ。大恋愛だったのか。


「だったら、こちらの世界で生きていくための知識は必要だ。ユージやオルガにも言われて、学校にも行かせた。もちろん、まだお前を元の世界に帰すことは諦めてはいない」


「ユシャさん····」


「ただ、お前の魔力が増えていくのを見ていると不安になった。何時になれば返せるかわからないまま、何も教えずにいたら、またあの時のように·····魔法を暴走させるんじゃないかとな」


 え?そんなに?まさかユシャさんのトラウマになってるとか?

 ニニカでどでかいバリアの魔法を発動させ大変なことになったあの件だよね。


「ユシャさんて心配性だったんだね。大丈夫だよ。私だって少しは成長してるんだから」

「少しね。確かにな」

「な!そこは、『そんな事はない。素晴らしく成長している』って言う所でしょ!」

「どこが素晴らしく成長だよ。このところ魔法の訓練なんぞ全然してないだろうが」

「それはしてないけどドラゴン達と運動したり厨房の人と料理したりしてスキルは磨いてるんだから。きっと何かの役に立つんだから!魔法が全てじゃ無いでしょ!」

「は、ははっ。なんか、お前なら大丈夫な気がしてきた。しっかり色々学べよ」

「もう〜、なんなのよ。ちっとも褒められた気がしな〜い」


 ユシャさんは笑いながら私の頭を乱暴に撫でる。髪がグシャグシャだ。


「ちょ!ちょっとやめて下さい。髪が髪が!」


 なんて言いながらドキドキしてたことは絶対内緒。





 警備隊の宿舎に着く頃には日は沈み、夕食の時間になっていた。


 私は最近はリナリナさんと一緒に食事を取っている。本館の厨房の近くにある食事室、皆で夕食を取ったあの部屋は広かったけど、食事室は小さくてテーブルも4人が座れる位。

 急ぐ時や夜食や少人数の時にはこちらを使う。

 今日はユシャさんも一緒で、私の戸籍ロンダリングの打ち合わせも兼ねている。

 ユシャさんはいつもは外で食べたり時間が合えばアルフェンスさんやトリスタさんと食事しているそうだ。『なんで、私には声かけてくれないのよ?!』と文句言いたい所だけど、私は『あ、そうなんだ』としか返せない。

 私ってそんなにチキンだったのか?

 厨房からリナリナさんがワゴンで料理を運んで来てくれたので、私が並べる。


「リナリナさん、例の件、今日ヒナに話しました。明日には書類その他はすべて完了します。後は借りてある部屋への引っ越しです」

「はい。了解しました」


 淡々としてて、なんだか業務連絡みたいだ。しかし、書類その他完了ってなんだ。私には事後報告かよ。


「あの······リナリナさん」

「なんですか?ヒナさん」

「リナリナさんはそれでいいんですか?大切な家族の···その····私がリナリナさんの孫ということに·····」


 ユシャさんとリナリナさんが顔を見合わせた。


「まあ、ヒナさんは私のことを気遣ってくれているのね。大丈夫よ、ありがとう。実際の私の子供や孫達はもう大人だし、ずっと離れていて、長いこと一人だったの。だから、あなたと家族として一緒に暮らせるって事とても楽しみでワクワクしてるわ。これからはお互い言葉遣いも変えましょ。私、ホントの家族になるつもりでいるのよ」


 ユシャさんが頷く。


「お前がこの世界で幸せになれるならそれに越したことはない。リナリナは大体の事は承知している。元アドゥーラだから強いし今のお前を守ることもできる」

「リナリナさんよろしくお願いします」

「こちらこそ。まずはお引越しの準備ね。家具とかはユシャさんが準備してくれたみたいだから、後は····」


 お母さんみたいなリナリナさん。(お祖母ちゃん設定だけど)家族かあ····

 ユシャさんが一緒じゃないのは少し寂しいけど、頑張ろう。

 ユシャさんにはたまには会えるかな?ちょっと不安だけど、会えなくなるわけじゃ無いよね。





 翌々日、ユシャさんとリナリナさん私の三人でニニカに向かう。

 まだ杉下さんにはルーの事とか魔法を使える事話してない。どーしよ···


 さて、ニーロカまでは普通に行くと数日かかる距離がある。

 ユシャさんが裏技を使うと言う。


「どんな裏技を使うんですか?」


 ワクワクしながら尋ねると、いきなり目隠しを着けられた。リナリナさんも着けたようだ。


「何で目隠しするんですか〜!あれ?外せない?」

「知らないほうが身のためだ。リナリナさん準備はいいですか?」

「はい。何時でもどうぞ」


 三人で輪を作るように手をつなぐ。ユシャさんが小さな声で呟く。なんか『連続転移』と言ったような·····


 先ず草の匂い、木の匂い。ん?潮の香り?音は聞こえない。

 ヤバい。頭がぼ〜っとしてきた。もう少しで気を失うかも。


「着いたぞ」


 え?え?あ、目隠しとれた。


「あーっ!」

「ヒナーーーッ!」

「きゃっ!」


 いきなり誰かに飛びつかれた。大きなもふもふだ。


「アルクくん?」


大きいままのアルクくんに飛びつかれて押し倒されていた。


「もうっ!ちっとも帰って来ないし連絡ないし、僕すっごく寂しかったんだからね!退屈だしつまんないし、ほんっとに遅すぎるよ」 

「だからその間、私が相手をしてやっただろうが?」


 声の方を向くと黒い大きな狼?いや犬?魔力の塊みたいな聖獣らしきイキモノがいた。


「あの····どちら様?」








 

 大きくなったアルクくんは白のピレネー犬かエスキモー犬をイメージしてます。他にも色々マゼコゼな感じ。ラクシエルさんは多毛なシェパードか狼犬?

 皆様の好きな犬っぽい動物で想像していただけると嬉しいです。

 猫はまだ出て来て居ませんが猫も好きです。そのうち····

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