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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章21 ヒナをどうする

 大変御無沙汰しております。

 こそっと投稿。


 


 雨宮さん達がその施設を脱走したのは施設に来てからしばらく経った(雨宮さん曰く多分3~4ヶ月過ぎた)ある夜。


     ******

 

 監視役の男達を皆で拘束することに成功した。 

 彼らは魔法は使えるが身体を使った戦闘は不得手だったようだ。

 魔法を使われる前に気絶させ、頭に布(自分達の服)を被せ、手足を拘束し、閉じ込めた。

 椅子などを使い扉や門を壊して外に出た。目の前には暗い森が広がっていた。 

 捕まる可能性も考え、互いの連絡は取り合わないこと。知らない振りをすることを取り決めた。


 そしてバラバラに逃げた。追手が来たのはわかった。ただがむしゃらに逃げた。ここがどういう場所かもわからないまま、とにかくこの場所から離れようと。


 今から考えるとあまりの計画性の無さと無謀さに呆れる。よく助かったものだと思う。他の人達が逃げ延びられたのか、捕まったのかもわからない。

  

     ******



 ·····というのが、ユシャさんが雨宮さんから聞いた話である。


 その施設のあったと思われる場所は中央から東の深い森の奥、神殿の所有地ではなく、ある元老院議員の私有地だった。


 それからは調べる事もできないまま、時が過ぎた。 


 


 閑話休題。

 話は私の魔法修行についてである。


 いつから始めるか。どういう名目で大学に通うか。どこから通うか。一人で通うか。誰かを付けるか。等など。


「誰かの養女になるとかいかがでしょう?」

「ユシャの養女でいいんじゃない?」

「えっ!やだ」

「オレが嫌だ」


「田舎から出てきた学生にすると

か?(向こうの世界ではそうだったしね)」

「ヒナさん確かにニニカに住んでたよね。でも知り合いに会ったりしない?」

「知り合い?」

「ヤクトとか商用であちこち行き来してるし、後、今は魔力の多い子減ってきてるから、近いうちに優秀な子を飛び級させて首都の学校に来させる話が出てるらしいんだ。ニニカから知ってる子が来たりしない?」


 確かに!アベルくん達とか。

 有り得る!

 皆が私のことをユシャさんちに居候してた異世界人だというのはニニカでは気付いてる人は多いと思う。


「ヤクトには俺が話をつける。それとトリスタに手伝わせる」

「もう。ユシャってばトリスタにあまり無理言うんじゃないよ。あの子だって忙しいんだから····」

「エルにも相談して色々考えたんだが俺達と直接関係が繋がらない設定が望ましい。ヒナにはこのクレッシェンドでの戸籍を作ろうと思う」

「ユシャってば、もう決めちゃってるんじゃない!私達に聴く意味って何?!」


 私、日本人じゃなくなっちゃう!?


「ヒナにはリナリナの孫になってもらおうかと思ってる」

「はい?」


 この世界には珍しくリナリナさんには子供が三人いたそうだ。

 一人っ子が多い。獣人や魔力の少い人はその限りではないらしい。

 リナリナさんの子供は、一番上が女の子で結婚して南のティファーンにいる。二人目は男の子でアドゥーラにいて、任務中で居場所は秘密。もう一人も男の子だけど、事故で亡くなっている。

 私はその一番下の息子さんの忘れ形見と言うことに。

 息子さんは結婚はしていなかったけれど、この世界では事実婚が多くわざわざ婚姻の形を取る人は半分位だそうだ。

 もちろんリナリナさんも許可済。

 だったら早く言ってよ!


「だから今まで通り容姿を変える魔具と新しく魔力を少なく見せる魔具を装備して貰う」

「新しい魔具ですか?これ」


 ユシャさんに新しいバングルと新たにピアスを渡される。


「容姿変えただけじゃダメなんですか?」

「アホ。お前ほどの魔力を持った子供なんぞ一般人にはいない。目立ってしょうがないだろうが」

「そ、そんなに私の魔力増えてるんですか!?」


 すぐそばでスーさんとフィン様がコクコクと頭を上下している。


 た、体力つけ過ぎた?

 そう言えば、クーリーに会いに行ったり、水竜見に行ったりするのに歩いたり走ったり仔ドラゴンと遊ぶのも結構体力必要だった気が·····


 魔法の練習はしなかったけど、しっかり生命エネルギーは増やしていたのか。

 警備隊では一般の人達には杉下さんと同じで魔力無い設定だったから、魔法の練習は無しでいいか、とか思ってサボってた。そのツケが·····


 魔力がかなり多い人でないと他人の魔力量なんてわからないし、先入観もあるから変に思われてなかった節がある。

 もしかして、ユシャさん、魔具を注文にいったり、私の戸籍ロンダリングのために走り回ってたの?だから、いつもいなかったの?


「大事に使えよ。ほれ」


 ユシャさんは無造作に私の手に魔具を持たせると背を向けた。

 ん〜····スーリヤさんとフィン様が生暖かい目で見ている気がする。


「それはそうと、魔力のこと杉下には話したのか?」

「あっ!まだです····」


 うわぁ·····言い出しにくくて先延ばしにしてたんだった。

 さすがにもう話さないと不味いよね。あ〜杉下さんごめんなさい。


「明日からリナリナと細かい打ち合わせをしよう。スーリヤ、ヒナを何とかお前のクラスにねじ込んでくれ。設定は任せる」

「何と言うゴリ押し!はいはい。わかりました。何とかします。で、いつから来る?」


「神殿の祭礼までに手続きを済ませたい。二日前にはこちらの手筈を整える。それで大丈夫か?」

「わかった。ヒナちゃんは大丈夫?」

「あ、はい····多分···」


 あれよあれよと言う間に話が進んでいく。私が呆けていたのでスーリヤさんが声をかけてくれた。

 ほんっとにユシャさんはなんでもかんでも勝手に一人で決めて····


「というわけで、明日ニニカに帰る」

「えっ!何がというわけでなんですか?ぜんっぜん脈絡がありませんけど!」

「お前話聞いてたか?こっちに移り住むんだからニニカの片付けが必要だろう。挨拶もしないとな。友達にも」

「あ····」


 そうだ。オルガさんやミーク達にお別れ言わないと。次、いつ会えるかわからない。もしかしたら、ヒナとしてじゃなく、リナリナさんの孫として会うことになるかもしれない。



 新しいバングルとピアスをつけてスーリヤさんの研究室を出る。

 空はうっすらと赤みが差し始めていた。


「パザさん、次会う時はヒナとしてじゃないかもしれないね」

「大丈夫です。ワレにとっては名前や姿が変わろうともヒナ殿はヒナ殿です。またワレとお話して下さい」

「〜〜〜〜〜パザさ〜ん」


思わず小さなパザさんを抱き締める。パザさんが焦ってジタバタしているのがわかる。ありがとうパザさん。


ユシャさんに暗くなる前に帰るぞと促され挨拶をしてその場を離れた。





「パザくんは女泣かせだねえ」

「スーリヤ先生、パザは男前でモテるのですよ」

「フィンよりも?」

「もちろん」

「フィン様スーリヤ様何を言ってるのですか!」


見た目は分からないがパザは多分真っ赤になっているのだろうな、とフィンは思うのだった。

 





 

 ユシャさんは忙しくて単に報連相ができていなかったというか、忘れていたんじゃないかと思います。

 私にとってはやっぱりパザさんがイケメン(*´ω`*)

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