2章15 夢で逢えたら(ルセラ)
昨日、活動報告ぬかってまして、もし前回分読んでない方がいたらごめんなさい。陳謝!
ユシャさんのお母さんは白の巫女?!
待って待って!ちょっと待て!
ユシャさんのお母さんはユシャさんがいるのに巫女になったの?
頭ん中グッチャグチャになってきた。ユシャさんが大きくなったてから巫女になったの?
だって、白の巫女になったら神殿から出られないんでしょう?
だったら、ユシャさんはお母さんが巫女になってから生まれたとは考えにくいし。
ユシャさんが242歳、ルーが白の巫女になって約100年。間が142年?つまりルーの前の巫女がユシャさんのお母さんな訳?
······頭の中整理できない。
「トリスタさん、あの····」
「おっと、また口滑らせちゃった。ヒナちゃんが相手だと、つい色々喋っちゃうな。またユシャさんに叱られそうだ。だから、ごめん。この話はこれでおしまい。ユシャさんにはナイショにしてね」
「はい···」
そう言われると、もう聞けない。トリスタさんズルい。そんなの聞かされたら気になって眠れないよ。
警備隊に帰ると、すぐ夕食の時間になった。
今日からは第3警備隊では少ない女性の使用人の方が私の世話係として付いてくれた。
ほとんど話し相手ということらしい。私が寂しくないようにしてくれたのかな? 穏やかな感じの明るくて可愛いおばちゃまで、見た目は50歳くらい、お名前はリナリナさん。
実年齢は···聞けなかった。ただ、執事のクリストフさんより大分若いそうだ。魔力が少なく普通のヒト族の年齢に近い、とだけ教えてくれた。
魔力の少ない人と多い人では年の取り方が違うらしい。少ない人程、大人になると普通のヒト族に近づいていくそうだ。
リナリナさんの御主人は元警備隊員で随分前に事故で亡くなったそうだ。その後、子供も独立したので、働いてはいるが、のんびり悠々自適なお一人様ライフを楽しんでいるらしい。警備隊に住み込みで働いている数少ない女性の一人。若い頃はアドゥーラにいて武芸の嗜みもあるそうだ。
リナリナさんが宿舎に帰り、私もベッドに入る。
そう言えば、トリスタさんの仕事のこと聞くのすっかり忘れてた。
今日は色んな事が有り過ぎて眠れそうにない。
····寝てた。だってルーが現れたもの。
『ヒナ〜久しぶり!元気そうね』
「ルーこそ。超久しぶりなんだけど、何してたのよ。ずっと連絡もよこさないで。私がどこに居るかわかってる?」
『わかるわよ。近くなったから、ヒナの存在を強く感じるようになったもの。今日は神殿にも来てたでしょ』
「知ってたんだ」
『ええ、もちろん。ユシャのお祖母様にも会ったみたいね』
「あ、そうだ。ユシャさんのお母さんてルーの前の巫女なの?」
『わたしの五代前かな。ユリシア様』
「五代も前なの!」
『そうよ。在位期間が短い人もいるからね。ユリシア様が10年位、イサラ様10年レイディア様30年ミルフィーヌ様30年メイ様60年、そして私よ』
「ルーが巫女になって100年位たつって聞いたけど、ユシャさんが242歳だからたった140年くらいの間にそんなに巫女が変わったのは何故?」
「それは············」
ルーが言葉に詰まる。
相変わらず少女の姿のルー。なんだか小さい子を虐めてるような気分になる。本当のルーの今の姿はどんなだろう。
「えっと、ルー。次のイベントにルーも出るって聞いたんだけど、本当なの?」
なんか居た堪れなくなって話題を変える。
『あ、ええ。ちょっとね』
「みんな騒いでたよ。白の巫女がイベントに参加するって異例なんでしょ」
『まあね。神殿側にもやむを得ない事情ってのがあってね。見に来る?』
「行きたいけど、チケットいるんでしょ?手に入らなくない?それともコネで手に入るとか」
エルフォンスさんに言ったら手に入るかも。ルーからは無理だろうし。
『ユシャが何とかするんじゃない?』
「ユシャさんが?」
『ユシャにヴォイスに、神殿に来いって呼びつけちゃったから。上手くいけばユシャに連絡取れるかなーって思って』
「呼びつけたって···何しようとしてるのルー。大体、私を召喚した理由だってちゃんと教えてくれないし、ルーは何を考えてるの?私に何をさせたいの!それはユシャさんを巻き込む必要が有ることなの?!」
はっ、つい感情的になっちゃった。ユシャさんが絡んだからかも。私、ルーに八つ当たりしてる。
「ごめん、言い過ぎた。ルーにはルーの事情があるのに····」
『ううん、わたしの方こそごめんなさい。ヒナにいっぱい辛い大変な思いをさせてるのに、まだ全部言えなくて』
いや、そこまで辛くて大変な事はしてないと思うけど。
ルーこそ、なんか凄く大きな秘密とか抱えてたりしないよね?
『そろそろ、あなたの中の魔法が安定してくると思うから訓練しててね。最近練習もしてないでしょ?ちゃんと訓練してないと、いざ使う時にコントロールできないわよ』
「私の中の魔法?」
『あなたには私の魔法を100種以上伝授してあるから。その為に魔力を増やして来たんだもの』
「はいい〜?」
何?魔法を伝授と言うことは、まだ知らない色んな魔法が私に使えるようになったと?
いくつか魔法が使えるようになったけど100種以上もあったの?
『あ、もう時間がない』
ルーの姿が薄くなって来た。
『普通の巫女はね。大体長くても50年位で代替わりするのよ。私は魔力が多くて強力だから保ってる。それと、巫女の多くは心を壊してダメになるの。私は目的があったし、それに私って鋼のハートだから···なんてね』
マジ?巫女の仕事って、心が壊れる程大変なの?祈るとかだけじゃなくて?
「あっ、ルー次は!またすぐ会えるよね!ルー!」
「ルー!」
カーテンの隙間からはいる光で部屋がぼんやり明るくなっていた。
まだ早い時間みたいだけど、しっかり太陽は出て来ている様子。
は〜····なんか疲れた。寝てただけなのに。
巫女の話、もっと知りたい。ルー、鋼のハートなんて言ってたけど大丈夫かしら。
ユシャさんに聞いても教えてはくれないだろうな。
ルセラのお話もいずれは書きたいと思ってます。
見た目詐欺なのは察している方多いと思いますが、残念美少女、定番だと思っているのって私だけ?