2章12 さあ、ショッピング
久しぶりの投稿です。よろしくお願いします。
街の中心部には背の高い建物が並んでいる。
意外。
イメージとしてはファンタジーな可愛い建物だったんだけどな。キノコとかヨーロッパの田舎みたいなのを想像してた。
ニニカが田舎で木やレンガの可愛い家が多かったからか、勝手にそう思ってた。
考えてみたらティファーンもここほどではなかった···っていうかニーロカよりはずっと都会だったわ。
首都は神殿や上流階級の所有地が半分以上を締めており、一般住宅の建てられる土地がニーロカやティファーンに比べて少ないそうだ。
地下には魔霊樹の根っこが張っているので地下には掘り下げられない。そのため神殿の許可が必要でつくっても浅めにして1、2階が限度だとか。
結果、自然と建物は上に高くなっているのだとか(高いといっても8階位かな)
よく見ると低層と高層階の造りが違う事に気づいた。
聞いた所、建物の下の階は、昔魔法で作られた物で上層に行くほど近年魔道具を使って建てられた物だということだった。
元の世界の高層ビルを思い浮かべて、ここもいつか、あんな高いビルが並ぶようになるのかな、とか考えたけど·····ならない気がする。
中心街の町並みは色も素材も様々でカラフルだ。この辺りは商業地区で下層は店が入っており上層階が居住空間。建物の持ち主の住宅だったりアパートだったりする。
「トリスタさん、ニニカのヤクトさん知ってますか?」
「ああ、知ってるよ」
「ティファーンでヤクトさんのお父さんに会ったんですよ。首都にお店があるって言ってましたけど場所わかります?」
「ヒナちゃん行きたいの?」
私の服はだいたいがヤクトさんチョイスだ。割と気に入っている。きっとお店にも私好みの服とか色々あるんじゃないかと思うのよね。
「ヤクトの親父の店はカダルツ商会だな。クレッシェンドでも3本の指に入る大手だ。この先の一番賑やかな通りに店がある」
ヤクトさん、お坊っちゃまだとは思ってたけど、想像以上にリッチなご様子。
メインストリートに面した大きな建物。カラフル&ゴージャス、ここがカダルツ商会か。
中に入ると沢山お客さんがいて、祭の日みたいな活気がある。大盛況のようです。
カダルツ商会のお店だけでなく、貸し店舗があり、色んな種類のお店がはいっているらしい。
壁の所にスタラーダのホテルにあったようなエレベーターがある。魔導式昇降機?まぁエレベーターでいいかな?ホテルにあった物より大きい。こちらは下の大地からの輸入品だとか。
私達は衣料品フロアと日用品フロアに向かう。真ん中が吹き抜けで解放感があり天井にはシャンデリア。しかし空調がしっかりしているのか息苦しさは感じない。
「まるでショッピングモールじゃない·····」
「僕も初めて来た時そう思った」
杉下さんと私の感想は同じ。
レイアウトとかディスプレイとかいくらか違いはあれど、ショッピングモールとしか言い様がない。ここにも雨宮さんの影を感じる。
「あ、そうだ。杉下さん、私はいつまであそこに居るか聞いてないんだけど、何を買っておいたらいいと思いますか?」
「僕も聞いてないけど。ジュノ、何か聞いてない?」
ジュノさんは何か他のことに気をとられていたのか、慌ててこちらを向いた。
「へ?いや、僕も特には聞いてないですけど、ヒナさんの着替えとか身の回り品で必要なものがあれば買うようにとだけ。ケントも買いたい物があれば買っていいと言われてます」
着替えねえ。じゃ、遠慮なくお買い物させていただきましょうか。確かにこちらはティファーンより気温は低めだから、下着追加して、後、少し厚めの上着に買って貰おうかな。
エレベーターで3階の衣料品のフロアに上がる。
「ヒナさん!」
「はい?」
こんな所で私の名前を知ってる人なんていたっけ?
あ、いたわ。
「わぁ、ヤクトさん!お久しぶりです」
「ああ、ホントに!ヒナさん、会えて嬉しいです」
リップサービスありがとうございます。本当に嬉しそうに見えます。さすがプロ。
「ティファーンに行ったと聞いていたんですが、ヴォイスまでおいでだったとは、しかも、この店に来て下さるなんて、ありがとうございます。何という奇跡!」
だから、ヤクトさん大袈裟ですって。
「お父様、お知り合いですか?」
ヤクトさんの後ろから可愛い男の子が···え?お父様?
「ああ、ニニカにお住まいのお客様だ。ヒナさん私の次男です。」
えーーーーっ!ヤクトさんの子供?!しかも次男?
「父がお世話になっております。美しいお嬢様。アルト・カダルツと申します。宜しくお願い致します」
正直で礼儀正しい。しかも父親に似てなかなかの商売人と見た。見た目は12〜3歳位だけど、多分もっと上だよね。
「いえ、こちらこそ。ヒナと申します。ヤクトさんにはお世話になってます。でもヤクトさん、お子さんいらっしゃったんですね」
トリスタさんが、私の横にやって来た。
「ヤクト先輩は店の後継ぎに決まってすぐ一人目と結婚したんだったな。また奥さん増えた?」
「えっ?ヤクトさん奥さん何人いるんですか?!」
あの親にしてこの子、お前もか!そこでニコニコしている可愛い男の子も、いつかは何人もの奥さんを持つのかしら。てか、ヤクトさんてトリスタさんの先輩なんだ?
「まだ二人ですよ。親父と一緒にしないで下さい。親父には5人の妻がいますからね」
「一人で充分だと思うんですけど。まだ結婚もしていない人が要るのに·····」
ユシャさんとかユシャさんとかユシャさんとか···
後、トリスタさんも多分結婚してないっぽい。チラッとトリスタさんを見る。
「ヒナちゃん?僕は結婚できないんじゃなくて、まだしたくないからしてないんだからね」
「ぼ、僕も同じくだから」
何故かトリスタさんだけでなく杉下さんまで、私にアピールしてる。
杉下さんはまだ大丈夫でしょ。
「それで、ヤクト先輩。息子と店で買い物ですか?」
「いや、長男がアドゥーラに入ることになったんで、次男が僕の後を継ぐから、ちょっと見学ってとこだ」
「そうか。ナイトくんはアドゥーラに入る事に決めたんだ。うちを希望してるの?」
「ああ、その節はよろしく頼むよ」
ん?話がよく見えない。ヤクトさんの長男くんはお店を継がないでアドゥーラに入る。だからお店は次男くんが継ぐことになった。
ここまではよし。
で、長男くんはトリスタさんがお勤めの部署にいきたいらしい。んで、よろしくね。
よし、わかった
ところで、トリスタさんのいる部署ってどんな仕事してるんだっけ?
「トリスタさん。トリスタさんのお仕事って何なんですか?アドゥーラでどんな仕事してるんですか?」
「!」「!」
あれ?固まっちゃった。
異世界召喚されたヒロインて愛され特性でも付与されるんでしょうかね?まあ、そうでないとお話進みませんけどね〜。
こういうのチートっていうのかしら?
引き続きよろしくお願い致します。