2章11 彼の事情2(ジュノ)
本日2話目です。まだの方、良かったら1話目から読んでね。
街までまだ少し時間があるという事で、ジュノさん女の人が怖いと思うようになった理由を話してくれた。
全部、話さなくても良いと言ったけど、私に不快な思いをさせたこともあるし、ユシャさんにも申し訳ない。自分もケジメをつけるというか、気持ちを切り替えたいので、よかったら聞いて欲しいと言われた。
「じゃ、念の為、防音の魔法を使うよ」
トリスタさんが魔法を使った。
御者の人は警備隊関係者ではないし、ジュノさんも聞かれたくないだろう。
ジュノさん綺麗なだけの男の子じゃなかったんた。
杉下さんはジュノさんが女嫌いとは聞いていたけれど、理由は知らなかったようだ。
『僕も聞いていいんだろうか?』と独り言のように呟いていた。
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ジュノさんのお母さんはとても綺麗な人だった。魔力はまあまあだったが、スタイルが良く声も良かった。見た目は妖精のように儚げで美しかったが、性格は少し、いやかなり奔放だった。
ジュノさんは父親を知らない。
結婚はしていなかった。
母が結婚することになったのは、ジュノさんがまだ幼い時だった。
相手はお金持ちの商人で、妻が5人、子供はそれぞれの妻に一人ずつ女の子ばかりで5人。ジュノさんは母の連れ子として、その家で一緒に暮らす事になった。皆ジュノさんより年上。
新しい父親は血が繋がってなくても良いからジュノさんを後継ぎにしたいと言ったそうだ。
それって爆弾発言じゃない?
女の子には店は任せられない譲れないってことだよね。
ジュノさんの義姉達の母親はそれが気に入らなかった。
自分たちの娘の中から後継ぎが決まり婿養子を取るものと思っていたらしい。
それからは、虐められたり、脅されたり、殺されかけたりもした。義姉達にも虐められた。母親は遊び歩いていて、ジュノさんに目を向けなかった。
そんな最悪な日々を過ごしていたが、大恋愛だと盛り上がって結婚したはずの母があっさり離婚した。
新しい恋人ができたからだそうだ。
母親はジュノさんを置いて家を出た。
怒った元父親は、ジュノさんを孤児院に入れた。ジュノさんは、あの家族から離れられて逆にホッとした。
孤児院の優しいシスターのお手伝いをしたり、自分より小さい子の世話をするのは楽しかった。
平和な日々だった。
しかし、ジュノさんが大きくなるに連れ、新しく入った若いシスターや、慰問に来た貴族や裕福な商人の令嬢から言い寄られた。
ジュノさんは母に似て容姿は完璧だった。
挨拶しただけで恋人扱いされたり、目が合っただけで自分を愛しているのだろうと迫ってきたりした。
毎日逃げ回った。また違う地獄だった。それ以来若い女性が苦手、というか怖くなった。
若い女性の前では極力笑わない、目を合わせない、声をかけない。
それが、自分を守る方法だと思った。
そんなある日、孤児院の院長が知り合いだったユシャさんにジュノさんのことを相談した。
ユシャさんはジュノさんをしばらく預かった後、エルフォンスさんの所に連れてと行くことにした。
働いて自立させるために。
ジュノさんがユシャさんを慕っているのは、エルフォンスさんの所に預ける前に、色々教えてくれたからだという。
それ程魔力も多くなく、文系タイプだったジュノさんに文官の仕事ができるように一般常識を教えたり、家庭教師を付けてくれたりしたのだ。
「ユシャさんて、元々面倒見がいい人だったのね」
「ヒナちゃんも色々面倒見られたものね」
「トリスタさん、それ、言わなくていいです」
ジュノさんが私を個人的に嫌ってるわけじゃないのは分かったけど、でも、やっぱり私は女なんで、無理なのでは?
「ジュノさん、無理だったら言ってね。出来るだけ近付かないように気をつけるから」
「ヒナさんが僕を変な目で見ていないのは、なんとなく分かった。気にしないように努力する。今までごめんなさい」
「大丈夫だよ。ジュノ、ヒナちゃんはユシャさん大好きだから、君には目もくれないから」
「えっ、そうなんだ」
「ヒナちゃん、そうだったんだ」
トリスタさんはニコニコしながら、杉下さんとジュノさんは、少し好奇心に滲ませながら、私をマジマジと見た。
「トリスタさん!!なんで今そういうこと言うんですか!」
トリスタさんのバカー!
「だって、知らない世界に来て杉下さんともはぐれてこころ細かったし。ユシャさんは側に居て親切にしてくれた大好きなお兄さん的な人なの。変な誤解しないで!」
「ヒナちゃん凄く動揺にしてる···」
「顔真っ赤だし説得力無しだね」
杉下さんとジュノさんがなんか内緒話してるけど、聞こえてますから!
そんな何やかんやで、街に着いた。
しかし、既に私のHPはほとんど0てすよ····
そんな私にトリスタさんが元気に言った。
「さあ、着いたよ。ヒナちゃん、お詫びに後でユシャさんの実家に連れて行ってあげるから機嫌直してね」
えっ!?実家?ユシャさんトウキク出身では?首都には家があるとは言ってたけど。
「あー僕も行きたい!」
「それなら僕も一緒に行きます」
ジュノさんと杉下さんも行くんかい!
「ユシャさんの母方の実家なんだ。ユシャさんはトウキク出身てことになってるけど、まあ、色々あってね。内緒だよ」
3人揃って首を縦にブンブン振った。ジュノさんは、
わかるけど杉下さんもユシャさんに興味あるんだ、意外。
「ふふ···きっと君達びっくりするよ」
これで今回のストック終了です。また書き溜めてから更新したいと思います。
しばらくお待ち下さいませ。
また、宜しくお願い致します。