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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章9 あの人とモーニング

宜しくお願い致します。


 目覚めると知らない天井が····

 ああ、首都に来たんだった。

 カーテンの隙間から光が差し込んでいる。

 ん〜〜〜っと伸びをしてベッドから降りる。

 ふかふかの気持ちの良い布団でぐっすり眠ったからか、目覚めは良好。

 昨日はハードだった。飛空船で中央の首都ヴォイスに来て第3警備隊へ。

 そして、ドラゴン見て、食事会してお話して、やっと就寝。結構盛り沢山だったと思うのよね。


 高級そうなカーテンを開けると花の咲く広い庭が見える。この建物は「コ」の字型をしていて庭を囲むような格好になっている。「コ」の字の縦線に当たるところの庭に面している側の3階に私が泊まっている部屋があるのだ。


 ゲストルームらしくお風呂とトイレは付いてるし眺めも最高。

 ただ、チェストとかテーブルとか家具は某ホテルより高級そうなので傷つけたらどうしようかとビビりました。


 着替えて準備が終わった所にタイミング良く、杉下さんが朝食のお誘いにやってきた。


「おはよう、ヒナちゃん。良く眠れた?」

「おはようございます、杉下さん。おかげ様でガッツリ熟睡です」


 杉下さんに連れられて、昨日と違い、今日は2階の部屋に案内された。

 昨日のお食事会は1階の広いメインダイニングと言う場所だった。

 お貴族様って朝食と夕食は食べる部屋が違うんかい!?


 ノックをして扉を開けると、大きな掃き出し窓のある談話室のような部屋で、男の人がお茶を入れていた。

ゆったりとした椅子とテーブルがいくつか並んでいる。掃き出し窓からは出られるようだ。

 ん?窓の外に誰かいる。


「トリスタさん!」


 部屋の向こうがテラスになっていて、そこにも椅子と丸いテーブルが何組か並べてある。

その一つにトリスタさんが座っていて、笑顔で手を振っている。


「やあ、ヒナちゃん。おはよう、久しぶり」

「おはようございます。来てらしたんですね。お久しぶりです。」

「仕事で遅くなっちゃってね。間に合わなくて残念だったよ。ヒナちゃんに早く会いたかったのに」

「またまた~。よく言いますね〜」


 トリスタさん、相変わらずだな〜


「おはようございます『ヒナちゃん、あの···この人は···』」

「『あ、ごめんなさい。紹介しますね。こちらの言葉で大丈夫ですか?』」

「『ああ、お願い』」


杉下さんはトリスタさんが居るの知らなかったのか、ちょっと戸惑っているように見える。


「トリスタさん、この世界に一緒に来た杉下健人さんです。杉下さん、ユシャさんのお友達のトリスタさんです」


トリスタさんが、にこにこしながら椅子を勧めてくれる。


「やあ、話は聞いてるよ。君がケントくんか。会うのは初めてだね。トリスタだ。アドゥーラの広報室にいる。よろしくね」

「よろしくお願いします。杉下健人です」


トリスタさんて男の人にもフレンドリーだな。

 しかし、トリスタさんがアドゥーラの人だったなんて聞いてないぞ。

 まあ、警備隊もアドゥーラの組織のひとつらしいけど、ちょっと意外。

でも、ユシャさんと友達なんだよね?


 勧められて椅子に座ると給仕係なのかさっきの白い服を着た男の人が朝食を準備してくれた。


 見た目がまるでモーニングサービスだ。雨宮さんの教えたメニューかしら。パン、サラダ、目玉焼き、スープにフルーツ。紅茶が添えてある。


「ケントくんはコーヒーで良かった?ヒナちゃんは勝手に紅茶にしたけど良かったかな?」

「はい。大丈夫です。ありがとうございます」

「あ、俺····私もコーヒーで大丈夫です」


 トリスタさんのチョイスかな?

 杉下さん「私」ってかしこまり過ぎですよ。


「あー、いつも通りにしていいよ。俺もケントって呼ばせて貰うから。良いよね」



「はい。えっと····僕は、時々、コトバがちゃんと聞き取れなくて、変な事言ったらすみません」

「気にしなくていいよ。分からない時は何度でも聴いて」


杉下さんの緊張が少し解けた気がする。


「トリスタさん優しい····」

「お、ヒナちゃん俺に惚れた?」

「惚れてません」

「残念〜」


このテラスは私の部屋と同じ向きなので、花一杯の庭が見える。

やっぱりここもお客様用かな?


「あ、他の皆はもう食事終わってるんですか?」

「エルフォンス様は仕事で本部に行った。ユシャさんは朝早く出掛けたみたいだよ」

「サライ達は今、宿舎で食事してる。いつもは僕も宿舎の食堂で他の隊員と一緒に食べてるけど、今日はヒナちゃんがいるから、こっちに来させて貰った」


そうなんだ。杉下さん今日は私がいるから、こっちに来てくれたんだね。


「この後だけど、ヒナちゃんとケントは何か予定ある?」

「杉下さん何か聞いてますか?」

「休みを貰ったからヒナちゃんと街へ行こうかと思って。エルフォンスさんから隊員の誰かを連れて行くように言われています」


街へ!わあ、それは楽しみだ。

この世界の都会ってどんな感じなんだろう。


「実はエルフォンス様とユシャさんから二人のエスコートを任されたのは、このトリスタでございまーす。あ、ジュノもオマケで付いてくるけど気にしなくていいからね」


トリスタさんは立ち上がり右手を胸元にあて左手を後ろに綺麗なお辞儀をした。

なんか様になってる。


「トリスタさん、どこぞの王子様みたいですね。意外と様になってますよ」

「ヒナちゃん、意外はないでしょ。意外は」


トリスタさんが相手だから言える軽口だけど、ちょっと失礼だったかな?


「これでもエリートだからね。舞踏会とか出るし令嬢とダンスなんかもするから。紳士の嗜みだよ、た、し、な、み」


凄い。何だかトリスタさんがホントに王子様っぽく見えてきた。


「エルフォンス隊長もダンスできるらしいよ」

「杉下さんホント?ユシャさんもできるのかなあ?」


トリスタさんがニヤニヤしながら答えてくれた。


「ユシャさんもできるよ。エルフォンス様はそれこそ、貴族だし、ユシャさんも先祖は貴族じやなかったかな?」

「マジか·····」


そう言えば、ユシャさんのお父さんからの手紙の宛先に長ったらしい名前が書いてあった。


『ユーリシアス・シルベール・クロフォード』


やっぱり貴族なんだ。


 でも、ジュノさんも来るのか。杉下さんはジュノさんと仲良いのかな? ちょっと不安。

 





 あの人はトリスタさんと杉下 さんでした。

首都の中心部はヴォイスといいます。魔霊樹中心にして栄えた街です。

 次のお話は更新少し遅くなるかもしれません。

 よしなに。

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