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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章8 それぞれの反省会


反省会、というか、誰も反省してないです。


◇サライとレトの反省会(サライ視点)


ヒナと俺達4人でしばらく談笑した後、ヒナは執事のクリストフに案内されて部屋にいったようだ。


ケントは隊員宿舎の自分の部屋に戻るらしい。

俺とレトは、もう一度ドラゴンの様子を見てくると言って外に出た。


「なあ、サライどう思う?」

「どうって?」

「ユシャさんの言ったことだよ。隊長が話をすり替えたけど、あれって······」

「ヒナに魔力があると言ったように聞こえるよな」


異世界人には魔力はないはずだ。

現にケントには無い。それとニニカにいる異世界人のユージという人にも無かったはずだ。


「もうちょいツッコめばよかったかなあ?」

「レト、それよりお前もスキル、バラしやがって。迂闊過ぎるぞ」

「いいじゃん。ここの部隊のヤツラはだいたい気付いてるぞ」


 こいつ、全然反省してねえ!


「外にバレたら困るのはお前だぞ。グルダ様やドラゴン研究室の奴らに知られたら勧誘が今まで以上に執拗で激しくなるのが目に見えてる」


「俺、最初にアドゥーラに採用された時に言ったけど信じて貰えなかったんだぜ。それで、第3警備隊にドラゴンいるって聞いたから希望して入隊したんだ。それを今さらどうこう言われても····知るか!だぜ」


ああ、そう言えばそんなこと言ってたな。レトは昔からドラゴンに関わる仕事がしたいって言ってたっけ。でも、最初は俺も半信半疑だったんだよなあ。


「サライ、いくぞ。さあて、クーリーにヒナのことを探り入れて、それからお説教だ!」


探るのかよ!


俺達は身体強化の魔法をかけてクーリーのいる獣舎に向かった。




◇エルフォンスとユシャ+トリスタの反省会  (エルフォンス視点)



「エル、すまない。フォローしてくれて助かった」

「ああ」


俺の部屋のフカフカのソファにぽすんと半分倒れ込むようにユシャは座った。


棚からグラスを2つ取り、お気に入りの酒と一緒にテーブルに置いた。


「しかし、お前らしくないな。サライとレトは何か気付いたと思うぞ」

「······いずれ、サライとレトには協力を頼むようになるとは思う。その時にはちゃんとヒナの魔力について説明するつもりだ」


俺もユシャの向かいに座り、グラスに酒を注ぐ。

 グラスをユシャに渡しながら言う。


「それだけじゃないだろ。お前、ケントに嫉妬したんだろう?」

「ごふっ!···はあ?!」


口に含んだ酒を盛大に吹き出して、真正面の俺は·····

ご想像の通り顔は、酒まみれになっていた。魔法で乾かす。生活魔法は余り得意じゃない。


「ユシャ〜!」

「あ、すまんエル。お前が変な事言うからだぞ」

「違うのか?ヒナがずっとケントとばかり話してたから妬いたんだろうが」

「ばーか。アイツはペットみたいなもんだ。んな訳無いだろ」


シュン!


「遅くなってすみませ~ん。トリスタただいま参上!」


突然、魔力の気配とともに、トリスタが現れた。


「トリスタ!いくら職務権限で転移が許されてるからといって、無暗に私用で使うんじゃない!」

「はい····すみません」


 まあ、転移が使える者が希少なので、ユシャのような一般人は他に居ない。神殿、警備隊等、俺を含めても100人いるかいないかだろう。


 首都では一般人も警備隊も必要以外、転移を使わない様に神殿により禁じられている。

 だが、神殿警備隊は使用が許可されていて普通に使っている。

 神殿の男性神官や警備隊員は魔力が多く元貴族と言われる人間が多く選ばれる。

そのため、殆どの奴らは選民意識が強い。うちは庶民が多く彼等とは相性が良くない。


「お疲れ、トリスタ。お前のお気に入りのヒナはもう部屋に帰ったみたいだぞ」


俺に叱られて耳の垂れた犬のようにしゅんしたトリスタが、恨めしげにユシャを見る。


「酷い!大急ぎで仕事終わらせて、ユシャさんに頼まれた事も調べて来たのに、その仕打ちは酷くない?あーヒナちゃん会いたかった〜」


トリスタ、お前もか!ヒナは魔性の女か!いや、小動物系か。


「お、調べてくれたのか。助かる。ありがとうトリスタ」

「ユシャ何を調べていたんだ?」


「神殿に忍び込む方法」

「「えっ」」


な!なんだって!思わず固まる俺。

何故かトリスタも固まった。

はっと我に返ったトリスタが、焦ってユシャに詰め寄る。


「ちょっと待ってユシャさん。俺、そんなこと調べてたの?」

「トリスタは何も知らずに調べてたのか?ユシャどういうことだ?」


先日、ユシャからルセラからのメッセージを聞いたことを思い出した。

神殿の奥深くにいる白の巫女であるルセラに会うのは無理に等しい。

トリスタは何を調べていたのか?神殿に忍び込む方法って何だ?


「詳しくはまた次回」

「「何だよ、それは!」」


俺とトリスタの叫び声はユシャが素早く発動した結界のおかげで外に漏れることは無かった。




◇杉下健人、一人反省会


何なんだったんだ?

 ユシャさんは何が言いたかったんだ?

クーリーが魔力を欲しがってたとして、ヒナとどんな関係が?


レトのことは、薄々感じてたけど、

ドラゴンと意思疎通ができてるなんて、本当だろうか。


でも、聞き取れない言葉もあって、会話は完全には分からなかった。ヒナちゃんは凄いな。言葉全部理解してたんだろう。

はあ〜、俺もっと頑張らないと。

ヒナちゃんがこちらで暮らすなら先輩としてもっと色々教えてあげられるようにならなきゃ。


それにしても、ユシャさんて人は、いったいどういう人なんだ?



◇???の反省会


やっぱり無理!

でも、仕事だから!いや、でも無理!明日どうしよう。誰か代わってくれ!




♢ヒナのひとりごと


ふむ....


久しぶりの杉下さんや若そうな(ユシャさん達より)サライさんとレトさんとお話ができて楽しかった。


けど、ユシャさんてばどうしたんだろう?迂闊すぎる。ユシャさんらしくない。


レトさんにドラゴンの話しをして貰えて、楽しくて忘れてたけど、私、このまま首都に残る事になるのかな?

 ニニカには帰れないのかな?

 このままここに居たら、杉下さんと一緒に首都で暮らすことになりそう。

 そしたらルーのこととか、私の魔力のことも話さないといけないと思う。

 まるで、この先が読めない。

やっぱり明日ユシャさんに相談してみよう。


クーリーって、聖獣に近いとか言ってたな···てことは、アルクくんとも近いってことだよね。


····あっ!

アルクくんのこと、ほったらかしだった。




『ユシャもヒナも全然、連絡してくれない。何してんだよ。僕、拗ねちゃうぞ』 byアルク





 次回から更新が少し間が開くかと思います。

ご了承下さいませ。

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