2章2 ツンデレとイケオジ発見
すみません!
昨夜は寝落ちしてしまいました。
次こそなるはやで更新したいと思います。
なんですと!?
この大穴をあけたのは、ユシャさんのお父さん····と聞いて、驚くと同時に少し納得している自分がいる。
まあ、ユシャさんのお父さんだったら多分、魔力も多いだろうし強いだろうなとは思う。
でも、なんで?
とんでもなく悪い人だったりする?だからユシャさんはクソ親父って。
実はめちゃヤンチャボーイ?
「ヒナ、アホみたいに口開きっぱなしだぞ」
「はっ!」
私の口はポカーンと空いたままだったらしい。は、恥ずかしい。
「えっと······ユシャさんのお父さんがどうしてそんな事したのか理由を聞いてもいいですか?」
「聞きたいのか?」
頭をコクコクと上下する。
「ある魔導師と喧嘩したんだ」
「喧嘩······ですか」
ユシャさんは少し考えるように間を開けると。
「そいつが俺のことイジメたから」「······は?····はあっ?何ですか?それ」
な、何?
意味がわかんない。どゆこと?
子供のケンカに親が出た?いや、子供じゃないとか?大人なら尚さら·····
えーっと、ユシャさんのパパは、息子が虐められたからって、虐めた相手と喧嘩して······魔法で超大きい穴をあけちゃった(多分魔法だよね)?
「簡単に言えばそういうことだ」
「あんな大きな穴があくような喧嘩して両方ともタダじゃ済みませんよね普通」
「まあな·····」
でも、この間会った時は別になんとも無さそうだったし······
ということは、かなり以前?しかもこの穴、観光名所っぽい扱いになってるよね。
「随分昔の話だ。俺はまだ子供だったし、親父も相手もかなりダメージを負った。そして俺は師匠に預けられた。これで、この話は終わりだ」
あれ?ユシャさんのお母さんはどうしてたの?
なんか、複雑な事情があるみたい。
気になるけど聞きにくい。
てか、ユシャさんの子供の頃って、やっぱり可愛かったんだろうなあ。
いつの間にか眼下には緑が広がっていて、畑とか牧場が見えてきた。
大穴エリアから抜け、首都の郊外に入ったようだ。
中央って都会ってイメージだったけど、ここでも農業やってる人いるんだ。
視界の先に白い大きな木と街が見えて来た。
·····あれが首都ヴォイス。
**********
ヴォイス側の空港カナベルに着きました。
イスのクッションはイマイチだったからちょっと腰とお尻が痛い。
うーんと伸びをする。最近走ってなかったな。
レイハスほどではないけど、ここの空港も結構賑わっている。
空港ロビーに降りる前に、下の大地から来た人は、出口チェックをされていた。
私達はチケットを渡しただけでOK。
「確かお迎えの人が来てくれるんですよね、ユシャさん」
「ああ、迎えの車が待ってるはずだ」
本来、移動は獣車か魔法陣を使う。
転移は高度な魔法のため使える人は少ないらしい。
簡単に転移しまくってるユシャさんは普通じゃ無いってことだ。
ただ、首都では、余り転移を使ってはいけないらしい。理由とか詳しいことは良く知らないけど、許可がある人以外は特に長距離転移禁止だそうだ。
だから転移の使えない人や魔力の少ない人は、乗合獣車を利用する。
今回は私が一緒なので特別に部隊の乗り物を出してくれたのだとか。
ありがたや。
空港の外には各方面に向けた乗合獣車が待機している。
「ユシャ様!」
若い男の人がこちらに向かって走って来る。
彼がお迎えの人かな。肩まであるミルクティー色の柔らかそうな髪を揺らしながら、笑顔でこちらに向かって来る。
白っぽい詰め襟の服を着ている。文官の制服かもしれない。
綺麗な爽やか青年って感じ。
「ユシャ様お久しぶりです」
「ああ、元気そうだなジュノ。話は聞いていると思うが、こっちがヒナだ。ヒナ、第3警備隊の文官のジュノだ。今回、お前とお前の友人世話をしてくれる事になっている」
「浅田妃奈です。お世話になります。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。ん、真顔。
さっきまでの満面の笑みはどこへ?
「第3部隊文官のジュノです」
あれ?あれれ~?なんか感じ悪くない。この人もユシャさんの崇拝者?初めて会った時のアレックスくんみたいに私のこと敵視してるとか?
「あ、ユシャ様あれがうちの獣車です」
3人で歩いて駐車場みたいな場所に来た。
並んでるのは普通に馬車みたいな獣車だ。大きさはさまざま。
ジュノさんが指差したのは、前に御者席がある馬車みたいな形の黒い獣車。向かい合わせで4人乗れる。
獣車を引くのは乗合獣車用の生き物より華奢だけど足の太い鳥みたいな生き物だ。チョコ○か?
行き先は第3部隊。隊員宿舎とドラゴンの訓練施設と飼育基地を兼ねているそうだ。
ジュノさんは御者席からしょっちゅうユシャさんに話しかけている。
「ジュノ、ちゃんと前向いてろ」
「大丈夫ですよ。この子は賢いから、ほっといてもちゃんと送ってくれますよ」
なんか、ちょっと不安になってきた。私、彼に敵認定されてない?
私の方はチラッっとも見ない。
マジにユシャさん大好きっ子ですか······
仕方ないからずっと景色見てましたよ。
空港は町外れにあるので、周りは木々や畑で時々農家らしき家も見える。
やがて背の高い壁になった。壁沿いをしばらく走っていたけど、ユシャさんが「ヒナ、もうすぐ門だ。後少しで着くぞ」とのたまった。
はい?門?着く?
さっきから背の高い壁の横をずっと
走ってたけど、もしかして壁の向こうは、実は目的地だったりします?
そう言えば、杉下さんの手紙でもかなり広いと書いてあったような·····
確かに広そうだ。
途中から壁がフェンスに変わり、入口らしい場所に着いた。
門番がいて門の扉を開けてくれる。
その、真っ直ぐ奥には絵葉書で見るような美しい建物があった。
しかも門まで両脇が森なんてお伽噺のお城ですか、ここは!
ユシャさんと2人、獣車を降りる。ジュノさんは獣車を戻しに行った。
広い玄関ポーチには背の高い男の人が待っていた。
「ユシャ様、ようこそ。お久しぶりです。ヒナ様ですね、ようこそ。私は本館の執事を任されておりますクリストフと申します。ケントも、すぐに参ります。さ、お二人とも中にお入り下さいませ」
おおっ、執事!ダンディな紳士だわ。背筋がピシッと伸びて姿勢がいい。見た目はユシャさんやエルフォンスさんより随分上(日本人的に40歳代か?)に見えるけどカッコいい。
「ヒナ、お前、クリストフみたいなのがタイプだったのか?」
少し見惚れていたら、ユシャさんがボソッと耳元で囁いた。
ギャー!耳が!耳が死ぬ!
ジュノはユシャさんファンでヒナに嫉妬してるっぽい。仲良くなれるかな?
クリストフさん、一家に一人いて欲しい憧れの執事です。元第3部隊隊員です。
登場人物まだまだ増えます。
頑張れふゆいちご!と誰か言ってくれないかなあ。