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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第1章
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熱きレディズルーム

やっと体調回復。少しずつ誤字脱字、修正をしていきたいと思います。見直してから投稿してるはずなのにまだまだある~(泣)



なんだ、ここは?

私が最初にこの施設の前に降り立った時の感想である。


「ヒナ、ここがスタラーダの観光テーマパーク『スタラーランド』だ」


アレックスくんがドヤ顔で説明を始めた。

なんでも、この浮遊大陸クレッシェンドで、いや、この世界でも有数の娯楽施設らしい。

色々な乗り物を始め、海が近いので海の生き物を集めた動物園(水族館でいいのか?)や、ちょっとしたショーやイベントも行われたりもするそうだ。

そして、来場者の三割強が下の大地からの観光客だとか。パザさん達のご主人もここが目当てなのかな。

なんていうか、元の世界ののネズミの国とか何とかハイランドとかを色々ごちゃまぜにした遊園地という感じ。楽しくないわけがないだろう。

私もユシャさんにOK貰えたから、楽しみにしたんだよね

そして今朝、ホテル前の乗り場から出ている乗合獣車でやってきたのだ。


「うわ~俺超久しぶり!20年位ぶりだっけか」

「ユウジが色々アドバイスしてかなり変わったって聞いてたけどすげぇな!」


アベルくん達の言葉に何とも言えない気分になる私であった。

雨宮さん、向こうの世界取り入れすぎじゃないですか?帰ったら少し自重するように言おう。

朝早い時間にもかかわらず家族連れやカップルが、楽しそうに笑いながら次々と入場していく。もちろん下の大地の人達らしい団体さんも何組かいる。

私達も早速チケットを購入し施設の中に入る。


「ここには、ティファーンのことがわかる資料館みたいなのもあるんだぜ。海の生き物も見えるし、行ってみないか?」


まずはアレックスくんのお勧めであるティファーンの歴史民族史料館みたいな所であるというティファーンミュージアムという建物に向かう。



う~~~ん。水族館?ティファーンミュージアムは海に関するものが中心のようだ。

巨大な水槽に、小型の海竜のような生き物や大きなエイに似た物、他にもカラフルな小魚達が踊るように群れては離れ泳いでいる。壁には魔法陣のようなものやティファーンの歴史のことを書かれたパネル。

魔法陣はレプリカらしいけど、横に説明文が添えられている。

このティファーンの人工海には幾つかの魔法陣が設置してあり、真下にある下の大地の海に設置してある対の魔法陣を通して海水を汲み上げているらしい。壁に飾られた魔法陣はそのレプリカだそうだ。

円の中央から外にかけて沢山の文字だか図形だかがびっしり刻まれている。所々に宝石のような石(本物には魔石?)がはめ込まれている。真ん中には少し大きめの穴がある。そこには特別な魔石を嵌めるらしい。

その美しく精巧な図形はまるで芸術品のようだ。

これ作った人凄すぎる。

人工海の水平線に見える部分からは溢れた海水がそのまま下に流れ落ちていると言う。

すげぇ。そこ、ちょっと見てみたい。巨大な滝みたいな感じかな~




「何、あの女?アル様に馴れ馴れしいったら!」

「あの方に近付いていいのは····」

「そう、わたくし達だけよ」



なにやら不穏な視線を感じて振り向くと柱状の幾つもの有る水槽の影から女の子が3人こちらを睨んでる。


「ア、アレックスくん···あのお嬢さん達って、お知り合い?」

「ヒナ、目を合わせちゃダメだ。気付かないフリしてろ」


え~~~っ?!大丈夫なのか?それ。

アベルくんとオリオンくんは気付いてない様子。年も近そうだし結構可愛い子達だけど、お友達じゃないのか?


「次いこう、次!」


アレックスくんに急かされてその場を離れる。どうやら、アレックスくんの知り合いなのは間違いないみたいだけど、関わりたくない人達のようである。


彼女等は、この後もずっと私達の後をコソコソとついてきた。

尾行してるつもりみたいだけどバレバレなんだよね。

姿隠す魔法とかないのかな?あ~、高位魔法の中にあったみたいだから難しいのか。



アトラクションを幾つか楽しんだ後、中にあるフードコートで飲み物を飲んでひと休みする。

さっきの女の子達はつかず離れずでずっと後をついて来ており、今も少し離れた席に座りこちらを見ている。

隠れるつもりはもうないのか?


「ティファーンの海は作られてから、まだ300年位なんだ。5コの魔法陣で水を汲み上げているんだけど、そのうちの3コはお祖父ちゃんが作ったって聞いてる」

「すげぇな。アレックスのじぃちゃん魔法技師なのか?」


アベルくんが聞いたこと無い単語を言ったぞ。


「アベルくん魔法技師って何?」

「今は数える位しかいないけど、魔法道具や魔法陣の職人でもマスタークラスの人のことなんだけど、大きさ、素材に関係なくどんな物にでも精密な魔法陣を描ける人に魔法技師という称号が与えられるんだ」

「凄いね。アベルくんよく知ってたね」

「ヒナ、ユシャさんの師匠もそうだったらしいよ」


シェローデイルさんも!?なんて多才な人なんだ!


「そうだよ。だからパパは一時シェローデイルさんの所にも教えを乞いにいったらしいよ」

「そうなんだ。アレックスくんのお父さんも魔法技師なの?」

「いや、パパはまだ技師じゃないんだ。技師になるには試験に合格することと、審議会に認定されるほどの凄い物を何か作り上げなきゃいけないんだ」

「巨大魔法陣とか?」

「う~ん、まぁ魔法陣に限らないみたいだけど、画期的な魔法道具とか建物とかかな」


う~む、上級職になるのは何でも難しいんだね。どんな職業でも専門家や達人とか鉄人と呼ばれるようになるのは生半可なことじゃないんだろうな。

ユシャさんも超級魔導師とかだって聞いたし、そんな風には見えないけど、かなり努力したんだろう。

…ということは、アレックスくんも技師を目指してるのかな?

かなり魔法も使えるみたいだけど、魔導師にはならないのだろうか?


「次、どこにいく?」

「アレックス他にお薦めは?」

「そうだなあ···」


あ、その前に···


「ごめん。私ちょっと野暮用に···」

「え?」「···」「わかった」


順番にアベルくん、オリオンくん、アレックスくん。

アレックスくんは色々気がつく。アベルくんはまだまだだな。オリオンくんは分かってても知らんフリするタイプか。


「なんだよ?わかってないの俺だけ?」

「アベル···お前顔は良いのにな···」

「オ、オリオン、それは言い過ぎ。···アベル、まあ·····がんばれ」

「おまえらなあっ!」


正解はトイレです。

さっきからついて来るちょっと気になる彼女達に隙を見せたつもりなんだけど、のってくるかな?


おぉ!トイレは水洗だ。

雨宮さんの指導か?だったらグッジョブです!あ、ホテルもそうだった。

手洗いには鏡があり海をイメージしたのか壁には綺麗な貝殻をあしらっている。なかなかオサレ。

魔法の灯りらしき壁のランプも貝モザイクになってる。


「わぁっ!」


いきなり、後ろから誰かが襲ってきた。鏡に影が映ったので辛うじてよけた。

あ、ニニカで私を襲ってきた女の人だ!トイレには私の他には誰もいない。ヤバイ!

彼女の手には小さな瓶が握られており、蓋を開けようとしている。まさか、あの中に私を吸い込ませるつもりとか?見たことない物なのに、何故かそう思った。

これって、かなりピンチな状態?



「やっと一人になったわね。って何やってるの!」

「ちょっとあんた!なんで私達より先に手ぇだしてんの?!」

「デイ、カラ、その女はうちの隊員じゃないわよ!」


私達をつけてきた女の子達がやってきた。タイミング悪いなあ、もう。


「何だ?!お前達は」

「あなたこそ何やってるのよ!私達はそこの黒髪に用があるのよ。順番守ってちょうだい。 私達がずっと尾けてたんだから」


いや、今はそういう問題じゃないんだけど···


「小娘ども、痛い目を見たくなかったら引っ込んでなさい」

「オバサンこそ引っ込んでてよ!」

「オバサン···」


あ、それって大人の女の人に言っちゃいけないと思うよ。


「そうよ。私達が先よオバサン」

「だから、オバサンはさっさと出て行きなさいよ」


やっぱり最初から尾行してたんだね。

私を襲おうとした彼女(仮にアサシンレディさんとでも呼ぼう)は私からは二十代半ば位に見える。

片や尾行してきた彼女達(KYガールズとでも呼ぼう)は15,6歳位だろうか、多分アレックスくんの学友だと思う。

アサシンレディさんからどす黒いオーラを感じる。


KYガールズは彼女の逆鱗に触れたようだ。


「言わせておけば、このガキども~~さっきからオバサンオバサンと!!」

「「「 ひっ!」」」


アサシンレディさんの迫力にKYガールズも押されてる。


「いや、お姉さん。あなたの目当ては私でしょう?い、いいんですか?」

「礼儀知らずの小娘達!先にお前達等からだ!」

「「「きゃ~~~~~っ!!」」」


アサシンレディさんの手に魔力が集まる。こんな狭いところで魔法打つの?!


「ダメッ!」


思わず彼女の腕を取り自分の手を重ねて叫ぶ。


魔法消去ディスペル!」


女仕掛け人の手に集まった魔力が霧散した。できた!魔法を取り消せた。


「え?」

「魔法を止めた?」

「あれって···」

「上級魔法よね?」


そ、そうなの?気を取り直してこの場を取り繕おう。


「もう、ダメですよ。お姉さんこんな狭い所で強力な魔法使ったりしちゃ。みんなに迷惑だから出ましょ。ほらお嬢さん達も。ほらほら」


呆気に取られてる4人を笑いながら外へと促す。


「あ、どうも。お騒がせしました。すみませーん」


トイレの入り口付近で中の様子を伺っていた人達に謝りながら外に出たら、アサシンレディさんはいつの間にか居なくなっていた。

ま、ひとまず一件落着···でもないか。まだ、KYガールズがいた。


「あの、ありがとう···」


リーダーらしき女の子が私に気まずそうにしながらもお礼を言ってくれた。あら、割と素直。


「えっと、まあ、なんかもともとは私が原因みたいだったし。あ~私は浅田妃奈、みんなにはヒナって呼んで貰ってます」

「私はパラディナ、こっちがデイジー、そっちがカランダ。私達はアレックス親衛隊よ」


アレックス···親衛隊?

はぁ!?





読んで下さってありがとうございます。

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