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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第1章
37/114

海の見えるホテル

久し振りの更新です。楽しんで頂けたら嬉しいです。


「息子で悪いかよ!」


そんなセリフを言ってるけど、貴方どう見ても美少女ですけど・・・

息子ってことは男の子だよね?男の娘ってやつ?それとも女装趣味?オカマ?ゲイ?コスプレイヤー?

いや、どうでもいいけど男の子なのに綺麗すぎて妙に凹む。

でも、その顔でその言動、声もさっきより少し低め。ちょっとしたギャップ萌え。


「アレックス!乱暴な言葉遣いは止めなさいといつも言っているでしょう。それに、その格好も元に戻してきなさい」

「わーったよ…」


アデリーナさんに怒られて…そのまま、どこかに行ってしまった。


「ごめんなさいね、ヒナさん。アレックスはユシャさんに小さい頃から憧れててユシャさんの弟子になりたいってずっと言ってたんです。しかもまだ諦めていないみたいなんですよ。でも今日は何故、女の子の格好なんかしてたのかしら?」


いつも女の子の格好してるわけじゃないんだ。ちょっと残念、可愛いのに。

ユシャさんは今までも弟子はとってないみたいだし、何か理由でもあるのかな。

そういう話、私とはしないからなぁ。


「申し訳ないですが、今でも弟子を取る気はありません。たまに教える位ならいいのですが…」

「いえ、それはいいの。わかってますから、気にしないでね。さ、それよりお部屋に案内するわ。いらっしゃいな」


アデリーナさんに案内されホテルの中へと進む。

ホテルの中には先程転移してきた場所よりかなりゆったりとした客用転移スペースが設けてあった。本当ならここに転移するはずだったんだ。さっきの場所って一体なんだったんだ?


しかし、広いし綺麗だし、元の世界に普通にありそうな感じのいいだホテル。

広いロビーには観葉植物や花が飾られ、カフェコーナーもある。大きなソファーがいくつも置いてあり、お客さん達が座って談笑している。

天井は吹き抜けになっていて、大きなシャンデリアが吊られてあり、キラキラ輝いている。前に見たビオーラクラというモンスターを思い出してしまった。

クロークの横には、人の乗れる程の大きな鳥籠の様な物が3個並んでいる。アデリーナさんが手前の鳥籠の扉を開けて乗るように促す。


5~6人は乗れそうな広さだ。

エレベーター?


「アデリーナさん、これは魔力道具ですか?」


いつの間にか、アレックスくんが一緒に乗り込んできて、私の質問には彼が答えてくれた。

ついさっき消えたはずなのにいつの間にあらわれたんだ?あんたは忍者か。


「これは僕とパパが作ったんだ。オリジナル魔法道具で『魔力昇降乗用篭』正式名は考え中だけど、魔族から買ったんじゃなくて、設計から考えて作ったんだ。凄いだろう」


と、実に誇らしげだ。

髪は肩くらいになり、普通にシャツとズボン姿だ。アデリーナさんの髪色は濃い青だけどアレックスくんは金髪だ。お父さんに似たのかな。うん、男の子の姿になっても、やっぱり可愛いし綺麗。元々が美少年なんだ。

アベルくん達もイケメンだけど、アレックスくんは綺麗と言った方が正しいな。


「それは凄いな。アレックスはアンデルさんの才能を受け継いだんだな」

「えへへ…」


アレックスくん、ユシャさんの言葉に照れながらも嬉しそうだ。

アンデルさんというのは、お父さんの名前のようだ。お父さん大好きっ子なんだね。


「アレックス、さっきの転移スペースもお前が作ったのか?」

「うん」

「そうか。良くできていたぞ。お前は魔法陣とか魔法道具づくりの方が向いているかも知れないな。普通に転移して行ってしまった」

「ユシャさんの魔力の特性を研究して、特殊な地場を作ったんだ。実は、あれもパパに手伝って貰った…」


あの転移してきた所も作ったんだ。確かに凄いな。

ユシャさんの言葉にはにかむアレックスくんはめちゃくちゃ可愛かった。二人の様子に萌えてしまう私は腐女子だったのか。



エレベーター擬きで案内されたのは5階だ。因みにこのホテルは6階建て。

1階がロビー、レストラン、土産物屋売り場。

階は事務所、貸し会議室、住み込み従業員の部屋、作業場。

3階から5階が客室。全65室とのことだ。

6階にバーラウンジ、展望レストラン、オーナー家族の部屋。

屋上にイベントステージ及び屋外レストラン。庭にも各種色んな用途の建物があるので、明日にでも案内するとアデリーナさんが言ってくれた。

テレビで見た元の世界の高級ホテルに負けてない感じだ。



「さあ、どうぞ。窓からはドラゴンシード島も見えますよ」


扉を開けてくれたアデリーナさんに促され部屋の中に入ると、大きく開かれた窓がありバルコニーがあり、外の景色が見えた。


「わあ、すごい!」


海と島が見える。人工海だと聞いていたけど違いはわからない。水平線は見えるし、本物の海水か見てもわからないけど本物の海の風景に見える。なんか風も潮の香りがしてる気がする。

沖に見える島らしき影、あれが今回のユシャさんのお仕事の目的地ドラゴンのいる島、ドラゴンシード島のようだ。


この部屋、広いし綺麗だし窓からの景色も最高、スイートルームってこんな感じかな?

え?それって、めちゃくちゃお高いんじゃ?しかも新婚さん用なんじゃ?


「こんな良い部屋を頼んだんですか、エルは?」

「他に空いてないし、他でもないユシャさんが女の子連れて来るって言うから、うふふ…」

「いや、仕事で来たし、そういう関係じゃないですから!」


ユシャさんキャラ変わってないですか?アデリーナさんに完全に負けてるような…

ていうかこの部屋警備隊持ちなんですか?私も一緒だけど、いいんだろうか。


「心配しなくていいわよ。ちゃんと寝室は別にしてあるから、でも、ユシャさんも男の子なのね~」

「アデリーナさん…誤解です!って言っても無駄か」


それより、さっきからアレックスくんが私のこと睨んでるんですけど?

ちょっと怖い。美少年の睨む顔って迫力あるな。


「では、ごゆっくり。アレックスいくわよ。お邪魔様~」


アデリーナさんは抵抗するレックスくんを連れて部屋を出て行った。


「アデリーナさんは相変わらずだな…」

「昔からのお知り合いなんですか?」


ユシャさんはクッションの置かれたソファにドスンと座る。

ソファの前のローテーブルには南国らしい花が飾られた花瓶と果物が山盛り置かれている。

私は向かいのソファに座った。

ソファには薄い水色のカバーがかけてある。座るとひんやりした。これも魔法?


「アデリーナさんは親父の元奥さんだからな」

「そ、そうなんだ」


つまり、元義理のお母さんって訳なんだ。

ユシャさんが子供か……頭の中にちびユシャさんをイメージしてみる。可愛かったんだろうな・・・


アデリーナさんはユシャさんのお父さんと別れてから、民宿みたいな冒険者向けの小さな宿を経営していたアンデルさんと知り合い、アンデルさんの熱烈なアプローチに絆されて結婚したそうだ。

結婚してからは、アンデルさんに好きな魔道具の研究をして貰うために、アデリーナさんがホテルを仕切るようになった。アデリーナさんには才能があったのか、ホテルは急成長。


支配人としてホテルを切り盛りして頑張り、今ではティファーン内にホテル・アデリーナは3店もあるのだそうだ。


アンデルさんはホテルで使える魔道具も発明したりアイデア魔道具も作っているそうだ。

でも、あまりお金になる物は作っていないみたい。コストが高かったり、材料が手に入りにくいものだったりと、大量生産が出来ないものばかりのようだ。私の使い捨て召喚バングルもアンデルさんの発明品らしい。

微妙な、というか残念な天才?



ところで、アレックスくんだけど、今まで女装したりしたことはなかったそうで、ユシャさんも理由がわからないと言う。

ユシャさんは弟子を取るつもりはないので、最初からずっと拒否し続けているのだとか。

面倒くさいだけなのかもしれないな。

その話はそこで打ち切りになった。


「そうだ。ユシャさんはあのドラゴンシード島の様子を見に行くんですよね。私もちょっとだけ連れていっては…」「ダメだ」


間髪入れず断られた。


ドラゴンシード島とは、ドラゴンの産卵場所だ。飛行できるドラゴンが産卵子育ての為に集まるという島のひとつだ。後一ヶ所、北地方にもそういう場所があるが、今はドラゴンは集まっていないそうだ。

島には国の研究所があり、その付近は関係者以外立ち入り禁止。部外者である私はもちろんダメ。残念…


「今年はちょうど火竜の産卵の年で、卵が孵り親達が神経質になっている。しかも何故か今まで以上にピリピリしていると報告が来ている」


「ユシャさんはそれを調査するために来たんですか?」

「俺は調査員の護衛だ。竜に近付く人間は少なければ少ないだけいいからな」


つまり、何人も護衛つけるよりも、一人で何人分もの働きができるユシャさん一人で十分だと…?

どんだけ力買われてんだ。




そしたら私、明日から何しよう…

考えて甘かったかも。



年下率高いなと、ふと気付いた。深い意味は有りません、はい。

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