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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第1章
36/114

男もイロイロ

新キャラ登場です。ヒナちゃんやユシャさんとどう関わっていくか。

他の人達ももっとだしたいですけど、遅筆ゆえのダラダラ展開です。

申し訳ありません。

楽しく書いてはいますが、読んでる方にも楽しんで頂けるよう頑張ります。


今、なんて言った?


5番目の···奥さんってか!?


「私はヴォイスを本社として東西南北に支店を持っております。もし、ご来店頂けた時は出来る限りのおもてなし、融通させて頂きますので、是非お立ち寄り下さい。それでは失礼します」


私達に挨拶をすると、バドさんは5番目の奥さんの腰を抱きながら迎えの獣車に向かって歩いていった。

私はぽかんと口を開けたまま突っ立っていた。


「カダルツ商会のバドだったのか。豪商だと聞いているが、かなりのやり手らしい。情報収集で雑誌位読んで記憶していたのかもしれないな」

「でも奥さんが5人てちょっと多くないですかぁ~」


ほんっとに、この世界の男の人って·····


「そんなに怒るなよ。お前の世界じゃどうか知らないが、ここではよくあることだ。本店に本妻、各支店に一人という計算だとそんなものか。各支店を奥方達に任せていると聞いた。にカダルツ氏ほどの大商人ならそれだけの甲斐性もあるってことだ。だから、妻が5人位いても不思議はないぞ。もっと多くてもおかしくないくらいだ」

「ふ~ん」


私的にはあり得ない!


「····だとすると、俺についての情報源はヤクトかもしれないな」

「ヤクトさん?」


ヤクトさんてあのヤクトさん?

ニニカで万屋みたいなお店やってる、あの軽い感じのヤクトさん?


「ヤクトはヤクト・カダルツ。バド氏の長男だ」


ええーーっ?!


「父親であるカダルツ氏に会ったのはこれが初めてだが、なかなか侮れない御仁のようだ」


そう言えば、ヤクトさんと顔立ちが似ているような···見かけはダンディーだけど、女好きは家系なのか?

そこでヤクトさんの私に対する態度を思い出してみた。うん、確かにバドさんと親子だな。納得。


「でも、なんでそんなお金持ちが護衛もつけず一人で乗合獣車で移動してたんでしょうね。危なくないですか?」

「バド氏は元警備隊員で腕っ節も魔法も一流だから、そこらへんの冒険者より強いらしい。それにヤクトによると、カダルツ氏は、市井に紛れて情報収集するのも大事だと常日頃から言っているそうだ。ヤクトは、スケベ親父のただの趣味だ、と言っていたがね。確かにあちこちに愛人もいるようだし」

「···ふ~ん」


短い時間だったが仲良く話したりして、良い人だなと···確かに良い人だとは思うけど、そういう所は私的にはがっかりだな。


本人の預かり知らぬ所だが····私の中でバドさんの株が見事に下落した。


ヤクトさんは2番目の奥さんの子供でタピ支店を任されているそうだ。

本店にいる最初の奥さんにはなかなか子供ができずヤクトさんが生まれた随分後に女の子が生まれた。

奥さん同士は仲も良く良い関係を築いており、本店の奥さんとヤクトさんのお母さんは特に仲が良くカダルツ商会はヤクトさんが継ぐことになりそうだとのことである。

ヤクトさん、御曹司かい。びっくりだ···



********



今夜の宿は冒険者向けの宿で、一人部屋は狭くベッドはやや固かった。日本で言うビジネスホテルみたいだけど、もっと殺風景で狭い。

一階が食堂兼居酒屋で冒険者らしき人達が沢山居て賑わっていた。

料理は···美味しいとは言い難いが不味くはない。それなりって言う奴。材料を持ち込めば料理してくれるそうだ。


次の日もう一回の乗り換をしたらやっと目的地だ。そこの泊まる宿のベッドがもう少し柔らかいといいな。




翌日、朝から乗合獣車に乗り次の乗り換え予定の町についた。

人口海に面しているので潮の香りがする。

マジ海水なのか?!


「もうこの辺りなら大丈夫だろう」

「何が大丈夫なんですか?」


乗合獣車から降りたユシャさんが私の腕を取る。


「いくぞ。『転移』」

「えっ?!ちょ、ちょっと待って!まだ心の準備が!」


ぎゃ~~~っ!





********




酷い!ユシャさん酷いよ!


気がつくと南国風の花が咲き乱れる庭園(?)が目の前にある。私達はその庭園の丸い円の中に立っていた。

転移酔いはしなかった。ユシャさんは私が転移酔いしない距離だと判断して転移したみたいだ。

でも、ちゃんと一言いって欲し····一応言ったか。


さて、転移してきたこの場所。

『ユシャ様、ホテル・アデリーナへようこそ』と書かれた立て看板があり、その文字の下に更に『VIP待遇お客様用特別転移スペース』と書いてある。

ホテルの客用の転移スペースなのか、足下には魔法陣の様な物が書かれており、周りには綺麗に花も飾られているし、歓迎されてる様子だけど、誰もいない。しかし、この転移スペースやたら狭いぞ。


「おかしいな。普通はロビーの転移スペースに着く予定だったんだが···」


「ユシャさ~ん!」


声と共に何かが飛んできた。『それ』はまさに飛んできた···のだ。

ユシャさんは素早くそれを避ける。


ドシャッ!


ユシャさんに避けられ、『それ』は地面に落ちた。痛そう···

『それ』は人だった。


「いった~い。ユシャさん避けるなんて酷い~」


女の子?


背中まである柔らかそうなふわふわの薄い金色の髪。白磁のごとく白い肌。ぱっちりとした薄紫の瞳、桜色の唇。


美少女である。断言するよ私。

美少女だ!大事なことなので二回言いました。


「懲りない奴だな。今度はなんだ?」

「ユシャさんが弟子にするかお嫁さんにしてくれるまで、諦めないから」

「お前、また誰かに妙なことを吹き込まれたな。誰だ?お前に余計な事を言ったのは」

「ユシャさん、その子はいいの?ユシャさん一緒に暮らしてるって聞いたよ。若い女の子ならいいの?女の子ならいいの?」

「おい、話を聞け」


あらら···

ユシャさんの嫁候補ですか。私にとってはライバル···なのか?


「あらあら、だぁれ、そんな所に転移スペース作ったのは?まあ、ユシャさんいらっしゃい。お出迎えもせずごめんなさいね」


大きな建物、多分そちらがホテルの本館だろう。そこから女の人が出て来て私達の所やってきた。

黒のシンプルなワンピースが上品さを感じさせる。さり気なくつけているネックレスや指輪も良いものだろう。セレブな奥様風。語れるほど詳しい訳じゃないけれどエレガントとはこういう人を形容するのだろう。動きというか、物腰が美しい。

この人と張り合ってはいけない···と本能的に悟った。何者?


「ママ、またユシャさんに振られた~」


ママって、この子のお母さんなの?見た目は30歳前、若く見えるけれどこの世界では見た目に惑わされてはいけないとわかっている。でも、こんな14、5歳ほどの大きい子供がいるようには見えない。


「またお世話になります、アデリーナさん。ヒナ、このホテルのオーナー夫人で支配人のアデリーナさんだ」

「こんにちは。浅田 妃奈です。この度はお世話になります。宜しくお願いします」


そっかあ、オーナー夫人で支配人って美人で仕事も出来るスーパーウーマンなんだ。うん、できる女は外見も上等ってことか。かっこいい♪


「まあ、ご丁寧に。ようこそお越しくださいました。こちらこそよろしくお願いします、アデリーナ・タナーです。こちらは息子のアレックスです。精一杯おもてなしさせていただきます。我が家だと思ってお寛ぎ下さいね」

「え?息子さんですか?」


思わず、息子と言われた美少女をまじまじと見てしまった。


「息子で悪いかよ」


えええ~~~~~~っ!!!!





またまた、「ええ~~~~っ!」出ました。

だって物語に美少年は必要です!(決定事項)

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