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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第1章
28/114

日々、精進です。

随分、間があいてしまいました。

ブクマして下さった貴重なお客様ありがとうございます(感涙)楽しんで頂けたら幸いです。


冬期に入ると温暖なニーロカも肌寒くなる。朝晩はグッと冷え込んできた。

着替えを済ませ自分の部屋の扉を開けると、いつものようにアルクくんがお座りの姿勢で私を待っていた。

顔を洗い歯を磨いた後アルクくんに声をかける。


「アルクくん行こうか?」

『うん。僕はいつでもOKだよ。今日はちゃんと予定時間に起きられたねヒナ』

「うっ、それを言わないでよ」 


耳が良いアルクくんは、音で私の様子が分かるらしい。


私は今、まるでジャージの上下のような服を着ている。

ニニカでよろず屋を営んでいるヤクトさんに「運動しやすい服を」と注文したら、ヤクトさん本人がわざわざ家まで届けてくれた。ベビーピンクで袖口と裾が絞ってあり、そこに濃いブルーのラインが入っている。

最近、下の大地で流行ってるデザインだそうだ。ちょっと派手な気はするけど可愛いから、いっか。

その下には薄手の半袖シャツ。


「思った通りだ。やっぱりこの色はヒナさんに良く似合う。着心地はどうですか?」

「ピッタリです。ヤクトさんありがとうございます」

「ヒナさんの頼みなら、いつでもどこでもかけつけますよ」


ヤクトさんは何故か私のことがお気に入りだという。私のどこを気に入ってくれたやら···


「ヤクトがロリコンだったとは知らなかった」

ユシャさんが不機嫌そうに言うと、ヤクトさんは

「私は女性を見る目はユシャさんには勝ってると思いますよ」

と反論していた。

何でも、ヤクトさんは見ただけで女の人の身体のサイズがわかるらしい。

ん~それって、女性を見る目っていうのかな?



扉を開けて外に出るとひんやりとした空気に思わず首をすくめる。今日も空はよく晴れてる。

ユシャさんに言われたというのもあるけど、(退院した次の日から、運動はしていたけどほぼサボってた)朝のランニングを始めた。


魔法を使う度、ヘタレてしまうようじゃ役に立たないから、体力つけようとマジに頑張ってます。

アルクくんは約束通り、毎朝付き合ってくれている。

私は早起きが苦手で、その上寒いのでなかなか起きられない。そのため、よくアルクくんを待たせてしまうけど、ユシャさんにたたき起こされる前には、なんとか起きているからセーフ····だよね。


アルクくんとのランニングから帰るとユシャさんと朝ごはんを作る。

食べると、私は学校の送ってもらいユシャさんは仕事(多分)に行く。


授業が終わったらミーク達とお喋りしたり時間を潰す。

私以外みんな魔法が使えるので、みんなが子供の時、新しい魔法をどうやって覚えたとか、どうやってコントロールを鍛えたとかの話を聞いている。とても参考になるよ、みんなありがとう。


そしてみんなと別れた後は蘭香亭でユシャさんを待つ。帰ったら寝る時間まではユシャさんと魔法の練習。

最近はこんな毎日の繰り返し。


私は学校では魔法の授業を受けていない。

本来は魔力がだんだん大きく強くなるから、多少失敗しても事故に繋がることは殆どない。

しかし、私のように魔力が不安定な上、多く強いと失敗した時、何が起こるかわからない。

他の生徒が一緒に授業を受けていたら巻き込まれる可能性も大きく大事故になるかもしれない。

と言うことで、習うなら個人授業でないとダメなのだそうだ。

私の魔力、徐々にだが増え続けているらしい。


「お前は目を離すと危ない」

とユシャさんにも言われた。まったく、人のことを危険物みたいに·····でも、確かに危ないのは本当だから仕方ない。

ちょっと凹む。



私のランニングコースはユシャさんの畑に向かう道だ。アルクくんのお散歩コースの一部でもある。

ユシャさんの畑までは家の周りよりは緩い結界が張られている。

だからここに来たあの日、モンスターに遭わなかったのかな?

この道には妖精もいて、走っていると時々ついてくる。

小さくてふわふわ浮いてて可愛い。大きさはだいたい5~10㎝位で小さな半透明の羽根が付いている。

走るスピードを上げると羽を必死で動かしてついてくる子が何人(何匹?)かいる。最近はその子達とも少しお話できるようになった。


「ヒナってユシャと同じ人間?」「ヒナ、髪どうして真っ黒?」「ヒナ、遊ぼーよ」


とか短い言葉しか言わないけど、周りをいつも笑いながら飛んでる。

最初はこちらを見て笑ってるだけだったから、進歩したって事かな?妖精さんって恥ずかしがり屋が多い?




冬期は元の世界で言う3学期みたいな時期で学年度の最後だ。

卒業式ではないが、高等科の学校へ進んだり単位をすべてコンプして、仕事に就いたり、専門職に弟子入りしたりする人を送る会が開かれる。


アベルくん、オリオンくん、シドくんの三人は春期からは少し離れた大きな町の高等科に進む。距離的には通えるくらいなのだとか。しかも、なんとミークとソールくんも高等科に通うのだ!


「あれ?言ってなかったっけ?」


聞いてないよ!

実は、ミークとソールくんは下の大地で基本教育は受けており、15歳で中等科を卒業していたのだった。

ミークはこちらに慣れるためと、友達が欲しくて学校に入学したそうだ。

ソールくんは高等科入学までの空きの期間、カジャク師匠の修行。これからは学校の休みの日や長期休暇だけ修行ということだ。本人は学校にはあまりいきたくないらしいけど。


マイラさんと私は涙目。

「でも、まぁヒナがいるだけましか」

マイラさんましって·····。

まぁそうだけど、なんか釈然としないぞ。私もみんなが居ない学校は寂しいけど仕方ない。


「休みの日には会えるんだし、今まで通り遊べるよ」

「うん···」


ミークがそう言って慰めてくれるけど、やっぱり寂しいな。でも、私には高等科に行けるだけの実力はない。


今日は授業後、進学者への細かい連絡事項があるとのことで、進学組と別れて私とマイラさん二人だけで蘭香亭にむかった。


「私もちゃんと将来のこと考えなきゃいけないなぁ。氷華楼か宝珠楼で働こうかな?」


マイラさんが突然そんなことを言い出した。

えっ?!だってだって、マイラさんはアベルくんが好きなんでしょ?マイラさんがお店に出るようになったら、多分アベルくんとは(ふたりは今、付き合ってるわけじゃないけど)どうなるの?

雇用主、つまりアベルくんのお父さんは息子と店の使用人との恋愛を認めてくれるのだろうか。

お店のお姉さんがお付き合いしてるお客さんと結婚したとか言う話もあるとは聞いてるけど、アベルくんはいわゆるお金持ちでいいとこのお坊ちゃまで、本人達が良くても周りが許さないんじゃ?

しかも、技楼ってことは·······


「ヒナ、なんて顔してるのよ。別に娼婦になる訳じゃないわよ。私、働いてお金貯めてオルガさんみたいにお店でも開こうかと思ってるの。ただ幸せな家庭築くにしてもまだまだ人生長いんだし色々チャレンジしてみないとね。でも、今までみたいな短時間じゃ、そんなにお金を貯められないから、本格的に働こうかと思って。」


確かにこの国の魔法が使える人達はかなり寿命が長い。色々チャレンジするのもアリかもしれない。マイラさんがいうには氷華楼にはバーやカフェもあると言う。そこでの仕事は娼婦をするわけではなくて普通に接客みたいだ。

娼婦と言う仕事はこの国では合法だそうだし差別するつもりはないけど、やはり日本人で女子である私は抵抗がある。でも、偏見は持ちたくは無いとは思ってる。

好きな人がいるならなおのこと···無理じゃないかと、余計なことを考えてしまいました。

マイラさんごめん······


「ヒナ、氷華楼は他にも色々な仕事してる人がいるのよ。ユシャさんに変なこと吹き込まれたんじゃない?」

「え?そんな事無いと思うけど?」

「ユシャさんヒナのことからかって楽しんでるみたいだからな~」


そ、それは····否定できない。私、考えすぎました。

スミマセン·····




***********




とある午後、ユシャの家の前にて······


「では、初歩魔法からいくぞ。まず火種になるくらいの炎を出してみろ。それから徐々に大きく」

「はいっ。」


魔力を集めて、小さな炎をイメージして·····


「ふぁいあ!」


指先にライターのような炎がポッと燈る。続けてそれを少しずつ大きくしていくのだ。

今日は学校が休みで、朝からユシャさんと魔法の練習。いわゆる見極めをして貰っている。


「その大きさを維持して。」

「はいっ!」


バレーボール位になった火をそのサイズでしばし定着させる。


「よし!飛ばせ!」

「はい!」


ポテッ


ジュワッ


「···あれ?」「······」


炎は30cm程進んで落ちて消えた。

お、おかしいなぁ~


「····ま、なんとか調整は出来ているようだが、まだまだだな」

「はい······」


私、魔法の才能ないんじゃないかなあ···


「そうだな。次の課題は物を動かすことだな」


念動力とかハンドパワー的なアレですか?

ルーは私にそこまでチートになる力を与えてくれてないのね。

私を過剰評価していたのか、どっちかわからないけど、頑張るしかないよね。

私の魔法修行まだまだこれからのようです。



***********




数日前、有ることに気がつき、カジャク導師を訪ねた。


「ユシャ、どうした?お前が突然来るなど珍しいな」

「導師、訓練中に申し訳ありません。ちょっと、お時間よろしいですか」


導師は少し怪訝な顔をしたが、弟子たちに訓練を続けるように言い、俺を自分の部屋に招き入れた。


「何があった?」

「いえ、そうではなく気がついたのですが。魔法が使えない人間を魔法が使える様に出来る魔法が古代魔法にあると導師は言われました。しかし本来魔力自体の無い人間は魔法を使うことは出来ません。ヒナはルセラの力によって体力を魔力に変換することで魔法を使えるようになっています」


古代魔法はいまやほとんどが禁呪魔法として一般には秘匿、封印されている。何故、ルセラが知ったのかはわからない。


「魔法を使うためには魔力がなければ、意味がない。実際ヒナは魔力が増え続けているようじゃしな」

「それと、雨宮の話で聞いたあの組織ですが、異世界から召喚した人間の体力を魔力に変換して吸い取っていたのではないでしょうか?」


確か、聞いた話だと数人ずつ施設から連れ出された人間が帰された時の様子が魔力枯渇寸前の状態に似ている。


「しかしルセラの他にもそれほどの力を持つ物が居るというのか?」

「まだ過程の域でしかありませんが、ルセラが使っているのが古代魔法で、それを使える者が他にも居るとすれば考えられることではないでしょうか?白の神殿だったら彼女に近いほどの魔力を持つ者もいると思います」

「まさか!しかし考えられなくは無い」


そして、それ程多くの魔力を必要とするのは····


「「魔霊樹か!」」




実は、まだ半分も話が進んでいません。

私も日々、精進したいと思います。m(_ _)m

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