3章17 いざ、女子会
前触れなしでヒナさんとハオルチア嬢の女子会?お茶会です。悪役令嬢ものっぽいの書いてみたかったので。
「ヒナさんと話がしたいの」
ジュノさんからパーティー出席する様に言われた翌日。ハオルチアさんから突然お茶に誘われた。女子同士で話したいとか。ちょっと不安だ。
場所はジュさんとのお茶会と同じ庭の四阿。
案の定、お茶会をはじめてすぐ侍女やメイドを下がらせたハオルチアさんが…
「ヒナさんて本当にジュノさんの恋人じゃなのかしら?」
は?口があんぐりと開いてしまう。
いきなりなんてどストレートな質問。まさかハオルチアさんジュノさんに「ホ」の字?(古っ)
「誤解しないでね、ヒナさん。言っとくけど、ジュノさんは私のタイプじゃないから」
私、今、口に出した?
「ふふっ、ホントにわかりやすいわね。モロに顔に出てたわよ」
「コホン、私とジュノさんは本当にただの友達です。誓って恋人とかそういうのではないです」
「わかったわ。ちょっと事情があって私の計画をジュノさんに協力して貰いたくて…貴方からも彼を説得して欲しいの」
「ハオルチア様の計画?」
なんと、ハオルチアさんは少し前に婚約解消したのだそうだ。まさかの悪役令嬢?!
ハオルチアさんは幼い時、祖父同士の約束で侯爵家の三男と婚約していた。伯爵は余り気乗りしてはいなかったが、祖父達の意向には逆らえなかった。
「あ、あのハオルチア様、そんな大事な話を私のような殆ど初対面の庶民に話していいのですか?」
「あらヒナさん、様なんて要らないわ。庶民とか貴族とか気にしなくて良いわよ。貴女には同じ穴の狢になって貰うんだから」
「はい?」
ハオルチアさん、まさか転生者とかじゃないよね!
「もう少し最初から詳しく説明するわね。ある程度は突っ込んだ話もするけど」
ハオルチアさんは現在、トウキクの貴族学園高等部の二年生。母親は彼女が産まれた時亡くなっている。
さて、ハオルチアさんには少し前まで婚約していた。元婚約者はカポック公爵の三男でベンジャミン・カポック。ハオルチアさんと結婚したらハオルチアさんの亡くなったお母様の持つの子爵位を継ぐ。(ハオルチアさんに引き継がれていた)公爵家といえど三男ともなれば成人後は就職するなど自力でなんとかするか養子か入婿しかない。だからハオルチアさんと結婚したら無条件で子爵の位が手に入るからこの上無いラッキーだったはずなのだ。
モンステラ伯爵の子供達は全員母親が違う。離縁したり亡くなったりしていて、現在ジュノさんの母シルビアさんが正妻である。
長男が次期モンステラ伯爵。次男は上級神官。三男は病気療養中。婚外子ではあるが四男中級神官。そして唯一の女子、5番目で長女のハオルチアさんである。
「元婚約者は公爵家の三男。私も祖父は公爵だけど、父は伯爵で爵位は下。でも父は副宰相で神殿との繋がりが強く、この大陸では一目も二目も置かれているし私の母の子爵を継げるから願ってもない良縁だったと思うわ。祖父同士の勝手な取り決めから始まった婚約だったけど、割と上手くいっていたと思ってたの·····」
二人の間に何かあったということね。
「その元婚約者の方はどんな人だっだんですか?」
「割と顔は良かったわね」
「へ?顔····ですか?」
「それと周りに流されやすいかな?」
ハオルチアさん曰く、学園でも5本の指に入るイケメンだったそうで、周りからの嫉妬もかなりあったらしい。
「話が変わるけど私の同級生で侯爵家の令嬢がいるの。エケベリアというんだけど、彼女はベンが好きだったみたいでね」
修羅場の予感がする。
「彼女とはそれほど仲が良いわけじゃなかったけど、嫌われてはいないと思ってたの。でも、私が婚約してから様子がおかしくなったの」
「おかしくなったというのはどう言う事ですか?」
「最初はわからなかったけれど、何人かの令嬢と一緒にコチラを睨んでいたの。それから間も無く私の悪い噂や悪口が広まったのよ。私は父の権力を使って公爵の子息である彼と無理矢理に婚約を結んだとか下位の令嬢を虐めているとか。根拠のない事ばかり。調べたらエケベリアが主導でやっていたってわかったの。それから少しして、ベンから婚約破棄するっ言われたの。事実無根なのに何を言っても信じてくれなかったわ」
「つまり、噂とか悪口の方を信じちゃったんですね」
「···まあ、そういう事ね。私に直接聞けば良いのに鵜呑みにしちゃったみたい」
わあ〜、ダメ男だ〜。
「だと、思っていたんだけど……エケベリアは何のツテだかコネだか、結婚相手に伯爵位を継がせる権利を手に入れたの。私の悪口、悪い噂、そして伯爵位をエサにベンと彼の親を口説いたらしいの。私は結婚しても子爵だからね。どっちが得かって天秤にかけられたのよ」
「酷い····」
「まあ、噂や悪口はなんとか出来たし、破棄ではなく解消になったの。貴族ではよくある事だから、それはまだいいの。」
いいんかい!
「ベンとの関係が微妙になって来た頃の事よ。勿論まだ婚約中だったんだけパーティーでのエスコートを断られたの。仕方ないから従兄弟にお願いしたの。そしたらベンの奴、エケベリアをエスコートしてたのよ!」
「ひどっ!」
「そこで言われた事が腹が立って…」
「な、なんて言われたんですか?」
「ベンジャミン様、麗しく高貴な貴方は私達のような高貴かつ美しい者と共にあるべきですわ。ご覧になって。平凡なハオルチアさんのパートナーは平凡な方ですこと。とってもお似合いだと思いませんか?皆様」
「本当に」
「そうですわね」
「「「オホホホ…」」」
取り巻き達とそんな会話をハオルチアさんに聞こえるようにしたですって。
はあ?なんと言う上から目線。ハオルチアさんめちゃ美少女だよ。
「凄く失礼よね!確かにエケベリアは綺麗な子だけど私だけじゃなく従兄弟のことまで言われてすっごく腹がたった。ベンも戸惑ってはいたけど、エケベリアを止めなかったの。そしたらエケベリアったら調子に乗って、『イモルチアには旨味がないから綺麗な蝶は近づかないのね。』ですって!しかも私の近くまで来て言うのよ!あのエセベリアは!」
イモルチアにエセベリア……エケベリアって人、性格かなり悪いのかも。
ハオルチアさんも負けてなさそうだけど。
ハオルチアさんが言うには、こちらと元婚約者の祖父が亡くなった時点で雲行きがちょっと怪しかったらしい。
また、エケベリアさんの親である侯爵がハオルチアさんの父親モンステラ伯爵をよく思って無かったらしく、エケベリアさんのために空いていた伯爵位を無理矢理に用意したようだ。
カポック公爵も三男が伯爵位を貰えることに目が眩んだのかハオルチアさんと婚約解消して、新たにエケベリアさんと婚約をすると言う案に応じたようだ。三男とはいえ可愛い息子だからなぁ。モンステラ伯爵、よく婚約解消に応じたなあ。
しかし、どいつもこいつもオトナ気がなく無い?いや、オトナだからか。
「父もカポック公爵が嫌いだったみたいで、喜んで解消したのよ。私にはもっと良い相手を見つけてやるって言ってたわ」
伯爵、子供か?!
ハオルチア嬢は悪役令嬢ではないようです。このくだり、もう少し続きます。お付き合い下さいませ。
つまんなかったらごめんなさい。ふゆいちごは結構楽しみました。