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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章15 伯爵邸の庭にて


 本日1話目。来て頂きありがとうございます。



「やあ、中央の繁華街で会って依頼だけど覚えてる?」


 中央の繁華街?ちょっとチャラい感じの若いイケメン?

 ········································。


 「!」


 思い出した!


「中級神官のナイジェルさん!」


 あの時のナンパ野郎!


「わ、すごい。名前までちゃんと覚えてくれてたんだね」

「ヒナ、こいつ誰?見られたからには処分する?」


アルクくんいきなりはダメだからね。ここは他所様のお家だし。


「あれ?ヒナちゃんの彼氏?ジュノとは本当にただの友達だったのか?」


 この人なんで、私の名前知ってるのよ!?あの時私は名乗ってなかったのに。それにジュノさんのことも知ってるなんて。


「アルクくん、この人はただのナンパ野郎よ。知らない人だから口聞いちゃダメ」

「知らない訳ないでしょ。さっき中級神官までつけて名前よんでくれたのに」


 怪しい。怪しすぎるナイジェルさん。なんとか木から降りてナイジェルさんに向き合う。


「不審者だからお屋敷の人よばないとね」


 そう言って大きく息を吸って口元に手を当てる。


「わかったわかった。本当の事話すから大声を出すのはやめて」


 まさか、彼もアドゥーラ関係者?でも神官って言ってた。


「改めて自己紹介するね。ナイジェル・モンテスラ、ここの四男です。中級神官なのは本当だよ。普段は中央の神殿にいる」


 なんと!伯爵の息子?あの時私に声をかけたのは偶然じゃないよね。


「お察しの通り、あの時は父からの命令で君のことを探っていたんだ。シルビアさんの息子とどう言う関係か調べろって言われてね」

「やっぱりこいつヤっちゃっていい?ヒナのこと探ってたなんて怪しい」

「わ、ヒナちゃんの彼氏激しい!」

「彼氏じゃないですよ。アルクくんは弟みたいなものです」

「ガーン、僕弟なの?お兄ちゃんだと思ってたのに····」


 アルクくん、君のどこにお兄ちゃん要素があるのかな?皆にも聞いてみるべきだと思うぞ。


「なんだ?騒がしいと思ったら、ヒナとアルクと·····誰?」


 ラクシエルさんに気づかれた。あ、ジュノさんとハオルチアさんも来た。


「ナイジェルお兄様!」

「やあ、ハオルン」

「変な呼び方はやめて下さい。ちゃんとハオルチアと呼んで下さいませ!」

 

 よくわからないけど、お兄様って言ってるから、まあ間違いなく伯爵の息子みたいだし、大丈夫かな。


「皆様、紹介致しますわ。私のすぐ上の兄、ナイジェルですわ。中央の神殿で神官をしていますの。で、何故ナイジェルお兄様がここにいらっしゃるのかしら?」


 あまり歓迎されてない?遠慮ない関係なのか?


「仕事で来たんだけど、伯爵から僕も次のパーティーに出るようにと言われたものでね」

「まあ、何故なんでしょう。あれだけナイジェルお兄様を公の場所には出さないようにしてたのに。お父様ったら何を考えているのかしら」


 ん?公に出さないって…


「部屋に帰る」

「ジュノ大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ」

「ハオルチア嬢、これで失礼します。お返事は後ほど」

「ええ、良いお返事をお待ちしておりますわ。今日はお茶にお付き合いくださりありがとう存じます」

「じゃ、僕もこれで。ヒナちゃん、また後でゆっくり話そうね」


 いや、話す事なんて無いんですけど?

 ハオルチアさんとナイジェルさんは話しながら屋敷に戻って行った。仲が良いのか悪いのかわからない。


「話聞いてたんだろう?」


 ジュノさんが私とアルクくんを睨む。


「いやあ、最初の方ちょっとだけだから…」

「ごめんジュノ。僕がヒナを誘ったの。ジュノ女の子苦手だし、ラクが居るから大丈夫だとは思ったんだけど、やっぱり心配で·····ごめんなさい」


 ジュノさんは軽く息を吐いて、俯くアルクくんの頭を撫でた。


「アルクにまで心配されるなんて情けないな。ごめん。俺こそ心配かけて」


 どう見ても弟タイプだよねアルクくん。見ていたラクシエルさんも はあ、とため息をついて、小さな声で「アルクは好奇心が歩いてるような物だから仕方ない」と呟いたのを私はしっかり聞いたのだった。

 アルクくん、天然なのにあざといぞ!



「で、ハオルチアさんの話ってなんだったの?あ、聞いちゃいけないかな?」

「パーティーに一緒に出て欲しいそうだ。しかも3日後だ」


 なんだって!ぱーちー!さすが貴族!うわあ、何かの小説みたい。





   *******

  


 その後、ハオルチアとナイジェルは…


「え?ジュノくんをパーティーに誘ったの?無理じゃない。彼、庶民として育ったんだよ(女の子苦手だし)」

「だって、ジュノさん綺麗なんだもの。それに一応シルビアさんの息子だから義理の兄でしょう?ナイジェル兄様と同じよ」

「だったらエスコートは僕でもいいじゃない?」

「ダメよ。ジュノさん位クオリティが高くないと」

「クオリティって···何する気なのハオ」

「ナイジェル兄様もイケメンだけど、彼女達を完膚なきまでに凹ませる事ができるのはジュノさんしかいないと思うの」

「いや、彼は女性が苦手·····」

「だからナイジェル兄様も協力してよね!」


 困ったな。ジュノくんってヒナちゃん以外は対応できないよね。


 僕の母は庶民でしかも母と伯爵は婚姻関係では無かった。いわゆる私生児だ。一応伯爵の息子として引き取られたが、それは神官になるのが条件だった。

 そんな僕にも同じように兄と呼んで懐いてくれるハオルチア。

 彼女には婚約者がいた。しかし、少し前に婚約解消したらしい。経緯は知らないが一時はかなり落ち込んでいたのは知っている。元婚約者はパーティーに参加するのだろう。

 ジュノくんを巻き込んで良いものか。

 こんなことを父に相談する訳にも行かないが、ジュノくんはやはり断わるだろうか?取り敢えず様子を見ることにしよう。







 








 引き続き、2話目投稿予定です。宜しくお願いします。

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