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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章12 食事が何故か苦痛だった件


 来て下さったお客様ありがとう御座います。楽しんで頂けたら嬉しいです。

 場違いな所に来てしまったと落ち着かないヒナちゃんを見守ってあげて下さいませ。


 また、色々考えてしまう。皆が私を構ってくれるのは、ユシャさんが私の世話をしてるから?

 私の魔力はルーからの貰い物。つまりはルーの力。

 私自身には何があるだろう。私の強み、私の魅力、私の力、それって何だろう?


 

 部屋に戻り悶々としていたら、昼食に呼ばれた。

 同じ階だったので、廊下でジュノさん達に会うことができ、一階にあるという大食堂に向かった。

 何故かフィン様とクリス様は後から来ると言う。


「多分、彼らは魔族とは言え王族だから待たせる訳には行かないという伯爵の判断で最後に入って貰うんだろう」

「その通りで御座います」


 バーディさんの言葉に案内してくれている侍女長さんが答えた。忖度というやつですか?


 伯爵邸の大食堂は警備隊の大食堂に負けないかなりの広さだ。

 しかも装飾が豪華。テーブルにはアレンジメントされた花。天井には魔道具のシャンデリア。椅子も高そう。銀の食器、カトラリーが並んでいる。

 ちょっと待って!昼食でこうなの?これ使いこなせるのか私。


 私達の後、すぐに伯爵達が入って来て、またそのすぐ後にフィン様達が入って来た。

 一人ドレスを来た可愛らしい女の子がいる。誰だろう。

伯爵の隣、シルビアさんの反対側の席に着いた。

 伯爵達が誕生日席の側。シルビアさん側にジュノさんラクシエルさん、アルクくん、私。女の子側にフィン様、クリス様、バーディさん。


「皆さん、こちらは私の娘でハオルチアといいます」

「始めまして、ハオルチアと申します。王都の学院に通う学生です。皆様にお会いできて光栄ですわ」


 お姫様だ····リアルお姫様だ。サイドの髪を編み込んでリボンで止め、後ろに垂らした髪はふわふわと波打っている。色はピンク。乙女ゲーのヒロインか!


「実は息子は三人いるのですが、長男は別に住んでおります。三男は中央の神殿で神官をしております。家にいる次男は病弱で今日は寝込んでいるのです。そのうちご紹介させて頂きます」


 主にフィン様とクリス様が伯爵と話すような形になっている。

 シルビアさんはジュノさんに話しかけているけど、ジュノさん素っ気ない。ハオルチアさんがチラチラとジュノさんを見ている。

 やっぱり気になるのかな。


 食事は向かいのバーディさんの様子を見様見真似でなんとかした。何でアルクくんやラクシエルさんはちゃんとカトラリー使ってる。聖獣もマナーを習うのか?


 美味しいであろう豪華ディナーがどこへ入ったかわからない。自分で作るカップラーメンの方が絶対美味しいと思う今日の私。


「ヒナ、大丈夫?」

「アルクくん、めちゃ疲れた。ご飯食べるだけでこんな疲れたの初めてかも」

「ふふ、お疲れさま。ジュノもずっと話しかけられて食べた気がしなかったみたい」


 今、アルクくんは私の部屋に来ている。ランタナさんと新しいアルクくん担当の侍女さんが来てお茶を入れてくれている。


「ヒナ様、何かつまめる物をお持ちしましょうか?」

「え、いいの?」

「あ、僕も欲しい。お菓子があるといいな」

「かしこまりました。では少しお待ちくださいませ。デイジー行きましょう」

「はい。では、ヒナ様アルク様、失礼致します」


 アルクくん担当の新しい侍女さんデイジーさん。小柄で可愛いな。この人は大丈夫そう。

 二階には小厨房が2つありお客さんの軽食やお茶がすぐ準備できるようになっているのだそうだ。便利。


「さっきね。ジュノのとこにシルビアとハオルチアから話がしたいって伝言があったんだって。別々にだけどね」


 うん?シルビアさんは久しぶりの母子対面だったし話したい事はあるだろうけど、ハオルチアさんは何だろう?


「で、ジュノさんはどうしたの」

「シルビアは夕食後に部屋に来るみたい。ハオルチアは明日の午後、お茶するんだって。ジュノに聞いたらまたヒナに報告してあげるね。ラクも同席させて貰えないみたいだから気になるって心配してたんだよね」

「そうなんだ」


 その話、私が聞いちゃっていいのかな。

 少しして、ランタナさん達が軽食とお菓子を持ってきてくれた。ちょ、ちょっと多すぎない?

 ランタナさんとデイジーさんを無理やり仲間にしてお茶会を始めてみた。


「い、いいんでしょうか?私達まで」


 ランタナさんとデイジーさんが恐る恐るお菓子に手を伸ばす。


「いいの、いいの皆で食べた方が美味しいよ。アルクくんもいいよね」

「僕はヒナがいいならいいよ」

「あの、お二人は···」

「友人、つまりただのお友達、弟みたいな感じかな」


 アルクくんが小さな声で「僕の方が年上なのにぃ」と呟いてた。そっちか!気にするのは。


 夕食も豪華過ぎて何を食べたか覚えてませーん。

 おやつ食べ過ぎたからだろうと言うツッコミはいりませんからね。

 お風呂は贅沢にも各部屋についていて、普通に一人で入りましたとも。その後あっと言う間に寝てました。気付かなかったけど心身共に疲れてたみたい。



 翌日。

 朝食後、アルクくんとジュノさんの部屋に押しかけた。バーディさんとラクシエルさんは既に来ていた。

 今回もまたフィン様達抜きで話をすることになった。仲間外れにするつもりは無いんだけど、共有してる情報が私達とフィン様達では違うし、向こうも関わりになりたいと思ってるとは限らないしね。


 侍女さん達にはお茶を出して貰ってから下がってもらった。


「昨日の夜、母が俺の部屋に来たのは聞いてる?」


 皆頷く。ジュノさんから話すから後で集まって欲しいと言われたのは朝食に向かう時だった。アルクくんと私は話を聞く気満々だったけどラクシエルさんとバーディさんは私達ほどではなかったけど気にはなってたみたい。

 バーディさんはジュノさんの意思に任せるって感じだし、ラクシエルさんは部屋が隣だから聞こうと思えば聞こえたんじゃないかと思うんだよね。聖獣だし身体の大きさ変えられるから小さくなって忍び込むとか·····しないか。


 ジュノさんは少し躊躇うように俯いた後、顔を上げ話し始めた。


「母は部屋に入って来て、開口一番。なんて言ったと思う?『ジュノ、あなた…魔力減っちゃったの?』だってさ」


 は?なんで?







 





 ジュノさんのママは天然かつ思考が飛んでる感じ。年齢的にはユシャさんより少し上かな。元夫激ラブ母。世の中には色んな人がいますよね。

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