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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章11 男子達の災難


 来て下さってありがとう御座います。

楽しんで頂けたら嬉しいです。


 伯爵邸は三階建てだ。

 私達は客間があると言う二階にあがり案内された部屋に入る。 


 フィン様とクリス様は隣同士。その隣がジュノさん、ラクシエルさん、バーディさん、アルクくんと順番に並んだ一人部屋。皆と違い私だけ部屋が離れている。私が女の子だから?

 今は他に泊り客がいなくて私達だけのようだ。それにしても、一体何部屋有るんだろう。巨大ホテルかっての。


 貴族の屋敷は初めてだけど、よくテレビで見たヨーロッパの世界遺産の某宮殿を思い出す。綺麗な壁紙、廊下のふかふかな絨毯、部屋の中の調度品を始めそこここに置いてあった高そうな壺や彫像。リアル貴族のお屋敷は私には住める気がしない。

 絶対汚す、壊す、落ち着かない。


 案内してくれたのは侍女さんでお茶とお菓子を持ってきてくれたメイドさんらしき人とは衣装が少し違っていた。侍女さんの所作もなんとなくキレイ。高位貴族の屋敷に勤めてる侍女は貴族令嬢もいるそうだから、そうなのかも。


「ヒナ様がご滞在の間、お世話をさせて頂きますランタナと申します。御用がありましたらなんなりとお申し付けください」


ヒナ様って····照れる。私は様なんて言われるような身分じゃないし、なんだかこそばゆい。


「あ、ありがとうございます。ランタナさん、私に様はいらないです。ヒナと呼んで下さい」


「ヒナ様はお客様ですので、どうかお気になさらず、私のことは気軽にランタナとお呼び下さい」


 わあ〜小説の中の侍女さんみたい。やっぱりランタナさんも貴族のお嬢さんなのかしら?


「私は平民です。ランタナさんこそ貴族のご令嬢ではないのですか?」

「お気になさらずに。今はただのランタナですわ」

「ごめんなさい。嫌なこと聞いちゃいましたね」


 ランタナさんは笑いながら、両親は爵位返上しましたので、と話してくれた。重いはずの話をサラッと流された。結局「ヒナ様はお客様です。無理です」と押し切られてしまった。上からの言い付けには逆らえないか。

 でも、何故か気が合って仲良くなってしまった。


「ヒナ様といると落ち着くと言うか安らぎますね。ヒナ様の魔力の波動?とでも言うのでしょうか。心地よいです」


 そんなこと言われたの初めて。さらに照れる。でも聖獣や妖精が寄ってくるのは魔力に惹かれるとかなんとか聞いたような聞かないような····人間しかり?


 私の担当になったランタナさんとはいい感じなんだけど、他の部屋はどうなんだろう?各部屋に担当がつくなんて使用人の数凄く多いんだろうな。

 呼び鈴代わりの魔道具を置いてランタナさんが部屋を下がる。次は昼食に呼びに来てくれることになっている。


「ヒナ〜!助けて〜」

「わっ!何いきなり。どうしたのアルクくん」


 私の目の前にいきなりアルクくんが現れた。魔法で飛んできたの?

 

「あのね、僕を部屋に案内した女の子がね。しつこいの」


 はい?しつこい?部屋に案内した女の子って侍女さんだよね。


「何か用事はないか、お茶をいれようか、マッサージしましょうかって煩くて、断ってもなかなか部屋から出ていかなくて逃げて来た」


 あちゃー。もしかしたら他の人も?

 バーディさんは?


「大丈夫だったよ」


 まあ、大人だし対処は慣れてるか。

 ジュノさんは?


「煩い娘だったがもう1人の年嵩の侍女が謝りながら連れて行った」


 侍女長が一緒だったのか。

 ラクシエルさんは?


「ちょっと睨んだら青くなって出ていった」

「ラクシエルは見た目クールだし無表情だと怖いかもね」

 

 とは、アルクくんの解説。

 やっぱりラクシエルさんは氷の麗人って感じ。

 クリス様は?


「何?何かあった?うちは何もないけど?」


 うーん。文句言わせないオーラか?

 フィン様の部屋から声が?


「だから、なにかあったら呼ぶので一人にして貰えませんか。本当に大丈夫ですから」

「いえ、お着替えとかもお手伝いさせて頂きますので」


 あら、大変。フィン様襲われてる。隅っこに追い詰められてる子猫みたい。


「フィンを脱がすより君の着替えを手伝った方が楽しそうだけどね」

「ひっ·····!」


 クリス様がフィン様に迫ってた侍女さんの耳に息を吹きかけながら、とんでもないことを言っている。


「あ、いえ、あの、私は、御用がないようですので失礼します。おほほ」


 皆も来てるし、侍女さんは慌てて部屋を出ていった。


「はぁ、叔父上助かりました。あ、皆も来てくれたのですか」

「お前もまだまだだな。しかし、ここの使用人の教育はどうなってるんだ」


 ランタナさんはそんな事しないよね、きっと。


「後で母に言っておきます。申し訳ありません」

「ジュノが謝ることじゃない」

「そうだよ。ラクの言う通り。伯爵の躾が悪いの」


 躾····まあ、確かに。


 その後、皆で娯楽室のような所にいたら、侍女長だと言う人が執事さんとジュノさんのお母様と問題の侍女達を連れて謝りに来た。複雑な気分。


 後で聞いた話だけど、貴族家によっては侍女にお客様の夜の相手をさせるとか、侍女の中には婚姻目的や愛人になりたいと自ら迫っていく人もいるとか。

 この世界のモラルはどーなってるのよ!

 確かにニニカにも娼館はあったけと、なんかそれとは違うと思う。

 でも、魔力の多い人はやっぱりモテるみたいだね。

 聖獣ズは魔力の塊、しかも見た目もいい。アドゥーラの人間ならばサラリーマンと思われるだろう。

 フィン様も魔族で美形、しかも王族ときたら魔力も身分も申し分無いし。

 ジュノさんは見た目は超美形だし、血は繋がらないけど伯爵の身内と言えなくも無い。


 うわっ、私だけめっちゃ普通だ。悪かったわね凡人で。

 でも、隠してるけど、魔力は余るほどあるんだから····

 と言っても、ルーの力を借りてだけど。·········凹む。

 






 

 




 このお話の貴族のお屋敷や設定は作者の妄想の産物です。建物等はテレビや本等で見た物の記憶を寄せ集めております。余り深く追求しないで頂けると助かります。

 その辺りはご了承下さいませ。

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