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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章10 いざ、伯爵邸


 やっとモンステラ伯爵のお屋敷に。

すみません。まだ何も起きてません。



 いよいよ伯爵邸訪問。

 朝食後、再び転移陣で王都アルマリに向かう。それから最寄りの転移陣で貴族の屋敷のある地区に向かう。

 転移ステーションの直ぐ近くに獣車を停めておくスペースがあり、そこには獣車が何台か停まっていた。どうやらタクシー待合場所的な場所らしい。この獣車に乗って伯爵邸に行く。

 王都内での近距離移動はやはり獣車で上位貴族等は獣車を数台所持している家もあるそうだ。


「わあートウキクの獣車ってキレイ、屋根があるし形もオシャレ。」

「侯爵家や公爵家の所持してる獣車はもっと豪華ですごいよ」


 とすかさず答えてくれたのは、意外に物知りなアルクくん。ニニカや中央の獣車はシンプルなんだよね。トウキクには貴族の豪華な獣車があるんだ。


「そうなんだね。見てみたいな。お姫様が乗ってたりして」


 バーディさんとジュノさんが生温かい微笑みをくれる。私なんか変な事言った?

 そこに真っ白な豪華アンド綺麗な獣車が止まった。ちゃんと車を引くドラゴンにも口輪やタスキみたいな所に刺繍や飾りが付けてある。シンデレラの馬車とまでは行かないが乙女心を擽る仕様だ。


「わあっ、めちゃくちゃ派手だけど凄く綺麗」

「あれは王族の獣車だ。誰か客を送って来たんだろう」


 なるほど納得。王子様やお姫様が乗っててもおかしくない豪華さだもの。

 ······しかし残念ながら降りてきたのはおじさんだった。従者らしき人を2人連れていて、そのま転移ステーションに入っていった。


「おじさんだった······」


 つい、声に出してしまった。残念過ぎる·····テンション下がる〜

 

「プハッ!」「ククク···」「ははっ」「アハハ!ヒナらしい」


 ジュノさん、ラクシエルさん、バーディさん、アルクくんである。笑われた。フィン様とクリス様は堪えている。

 そんなに笑わなくてもいいじゃない。私が膨れているとバーディさんが、「あれは神官ですよ。神官服ではないのは内密に王族の誰かに面会していたから乗っていたの依頼でしょう」とフォローしてくれた。

 え?バラしていいの、それ。


 

  *********



「彼らは転移ステーションに着いた頃だな。許可したものの、やたら人数が多いが誰を連れてきたんだ?」


 不機嫌そうに書類をめくる伯爵の言葉に傍に控える執事が答える。


「アドゥーラの関係者と下の大地の魔族の王族だそうです」

「魔族の王族?」

「王の末の王子と王弟だということです」

「何故そんな人物が·····厄介だな。いや、しかし考えようによっては利用できるかもしれん。丁重におもてなししろ」

「かしこまりました。皆に伝えておきましょう」


 伯爵ではあるが王家の血をひく彼の屋敷は広い。また、神殿との関係も深く権力もある。それなりに野心もある。


「あなた、お約束は····」

「わかっているともシルビア。私の目にかなえば創世主様と会わせてやろう」

「大丈夫ですわ。きっとあの子はあなたの、いえあの方のお眼鏡にかなうはずです」


 ヒナ達の知らない何かが動き出しているようである。



  *********



 獣車タクシーが伯爵邸に着いた。

 お屋敷でかい·····庭は警備隊よりは狭いみたいけど建物がでかい。一体何人が住んでるんだ。


「わあ、広いね大きいねヒナ。ニニカの学校よりずっと大きい」


 比べる対象が間違ってるよアルクくん。ニニカとここを比べちゃいけません。レベルが違い過ぎる。

 門の前で獣車を降りると、執事だというおじさんが待っていた。執事さんに案内され屋敷に入り応接間に通された。


「伯爵様と奥様はすぐ参りますので、こちらでお待ち下さい」


 直ぐにメイドらしき女の子がテーブルにお茶とお菓子を用意してくれた。こんな豪華なふかふかソファに座りお茶するなんて初めて。

 美味しいお茶とお菓子にテンションが上がる私と違ってジュノさんの表情は少し硬い。


 やがてドアがノックされ先程の執事さんが入って来た。


「失礼致します。皆様お待たせ致しました。伯爵様がいらっしゃいました」


 スラリとしたイケオジと、その後ろから凄い美女が!

 ジュノさんのお母さんかな。ちらっとジュノさんを覗き見たら·····ちょっと顔が強張ってる気がする。


「初めてお目にかかります。アドゥーラのバーディ・アウル補佐官です。エルフォンス第三警備隊隊長よりジュノさん達のトウキクでの案内の役目を申し付けられております」

「アウル補佐官世話になった。よく来てくれたねジュノくん。皆さんもようこそ。オズワルド・モンステラです。伯爵位を賜っております。こちらは妻です」


 やっぱりジュノさんのお母さんか。ジュノさんに似てはいるけどジュノさんとはタイプの違う美人だ。


「伯爵の妻、シルビアと申します。久しぶりね、ジュノ」

「初めてお目にかかります伯爵、ジュノです。·······お久しぶりです」 


 空気が、空気が、重い!緊張する!


「伯爵、ご紹介させて頂きます。こちらは下の大地から来られた魔族の王族の方々で、縁あってご一緒する事になり勝手ながらこちらにもご同行して頂きました。今回は許可を頂きありがとうございます」


引き続き、バーディさんがフィン様達を紹介する。


「下の大地の魔族の国タプセームの王の息子でフィノルド・パルコルス・タプセームと申します。突然の訪問を快く許可して下さったと聞いております。感謝にたえません」

「同じくタプセームの王弟、クリストバル・ダラスといいます。甥と共にこのトウキクを観光しております。滞在を許可頂き感謝致します」


 モンステラ伯爵はフィン様達の挨拶ににこやかに答えている。貴族は本音を言わない、顔にも出さないと聞いてるけど、こういうをキツネとタヌキの化かし合いって言わない?例えが悪いかな。


「そちらの可愛らしいお嬢さんは、ジュノくんの恋人ですかな?」

「えっ?!」「なっ!?」


 アルクくんとラクシエルさんは挨拶を終えて私の順番になっていたらしい。


「「違います!」」


 ジュノさんと私の声が被った。確かに私はジュノさんの隣にいるけど、すぐにそういう方向に考えないで欲しい。


「あら、違うの?ごめんなさいね。やっとジュノにも彼女ができたのかと思っていたのに」

「くっ。貴女に言われたくないんですけど······」


 ジュノさんが呟く。小さな声だったので、両隣にしか聞こえてないだろう。


「ご挨拶が遅れました。ヒナと申します。ジュノさんとはユシャさんの縁で知り合いました。「ただ」の友人です。今回は「偶然」同時期にトウキクに来る用があり、「たまたま」同行させて頂くことになりました」


 どや!ジュノさんと私は何でもないアピール完璧じゃない?なんでみんな可哀想な子をみるような目なのよ。


「伯爵様、まずは皆様をお部屋に案内してよろしいですか」


 執事さんの言葉に皆ホッとしたような顔だ。やっぱり貴族って言うだけで緊張する。フィン様達は別だけど。でも、ジュノさんのお母様って天然?わざと?

 

 執事さんと侍女さん達に案内されてそれぞれの部屋に行った。


 その後、ちょっとしたトラブルが。まさか、そんなことになるなんて。

 私はちょっと気を抜いていた。

 










 






 

 貴族の屋敷の描写ですみません。字数が増えすぎるのでカットしちゃいました。

 次回、ヒナちゃん以外の誰かに災難が。

 誰かな誰かな〜。楽しんで書いております。また、次も読んで頂けると喜びます。ふゆいちごが。

 

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