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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章9 私は知らなかった。


 おいで頂きありがとうございます。

 悩めるジュノさんに誰かお言葉を!

良かったらお読みください。


 ジュノさんのお父さんは、モンステラ伯爵の従兄弟にあたる···らしい。

 ジュノさんのお母さんは相手が元夫の従兄弟だと知ってて再婚したんだろうか?


「シルビア、つまりジュノの母親はジュノの父親の行方を探すうちにモンステラ伯爵に辿り着いたんじゃないかと思うんだ。」

「モンステラ伯爵が親父の失踪に関わっていたということか?」

「そこは、はっきりは分からないがシルビアがそう考えた可能性はある。彼女は夫の正体を知らなかったようなんだ」

「はあ?」

「平民だと言っていたらしい。自分の父親は冒険者だとね」


 何か訳ありだったってことだ。確かに身重で夫が行方不明って大変なことだとは分かる。でも、いくら父親を探すためとか言ってもジュノさんの扱い酷くない?

 ジュノさんは母親の再婚相手の家に置いて行かれ(そこでは酷い目に遭ってたみたいだし)最後は孤児院に居たんだよね。孤児院でも色々あったみたいだけど。

 確かに子連れで夫探しって大変だろうし、半端ない苦労したんだろうけど。

 ····むぅ、やっぱり納得いかない。


「状況だけ見ればそういう推測も出来るということだ。ジュノが生まれる前、シルビアが付き合っていたのがそいつらしいって突き止めただけだから」


 沈黙······


「俺は·····」


 何とも言えない空気の中、ジュノさんが吐き出すように言った。


「俺は別に今更、親父に会いたいとは思ってない。今回だって来るつもりはなかったんだ。ただ、貴族からの招待で断れないって言われたから来ただけだ」


 複雑だね。私はそんな経験無いしジュノさんが何を考えているかもわからない。普通に両親と暮らして育った私にはジュノさんにかける言葉がみつからない。


「いいんじゃない?」

「はぁ?」


 トリスタさん?今はバーディさんだけど、この感じはいつものトリスタさんだ。


「母親に会って聞けばいいじゃない。なんで自分を置いていったんだって。親父は誰で何故いなくなったんだって聞けばいいんだよ。せっかくのチャンスなんだからさ。今を逃したら聞けないかもよ」


 た、確かにそうかも知れないけど、そんなに簡単に割り切れないんでは?


「トリスタさん他人事だと思って勝手な事言わないでください」

「確かに俺は他人だけど、他人だから言えるんだ」


 私にはよくわかんないよ。トリスタさんとジュノさんの思いや考え方とか、私には口出し出来ない雰囲気。


「トリスタは孤児だったんだよ。ある意味ジュノと同じ」

「!」「!」


ラクシエルさんから衝撃の事実。


「俺は物心着いた時は孤児院にいたんだ。ある時、俺の特殊スキルに目をつけたヤツがいてね、俺を養子にした。そいつの教育のお陰で俺はアドゥーラに入れた。ま、そいつは今は引退してる俺の元上司なんだけどね」


 トリスタさんが孤児だったなんて全然想像もしなかった。私ってみんなの事、何にも知らないんだな。


「俺には父親の記憶も母親の記憶もない。もし分かるなら俺が何処の誰だったのか、どうしてあの孤児院にいたのか聞いてみたいと思ったことはある。だが今の俺を結構気に入ってるんだ。だから聞いてはみたいと思うけど聞いてどうこうしようとは思わない。ジュノくんがどうしても嫌なら聞かなくてもいい。だが、知る機会を得られるなら聞いてみるのもいいんじゃないか?」


 ジュノさんは俯いたまま黙ってる。まさかトリスタさんが元孤児だったなんて·····


「俺の話は参考までに。どうするかはジュノくんが決めればいいんだから。よく考えてみたらいい。時間はあんまり無いけどね」

「ありがとう······トリスタさん」

「ん~ここではバーディ兄貴とでも呼んでくれ」

「アハハ何それ」

「トリスタ照れてる」

「おまえらなぁ、まったく聖獣ってやつはこの繊細な心の機微ってやつがわからないから····」


 アルクくんとラクシエルさんが笑いだして何だか和んだ。


「あ、そうだ。ヒナ、なんかこの前さ金の聖獣とかなんとかって言ってたでしょ?」

「アルクくん何か分かったの?」

「噂だけど、北に金色の動物がいるらしいって。聖獣かどうかはわかんない」


 北?それは北のダッハということ?


「そう言えば、俺も聞いたことがあるな。金色のやつ。でも、確かにそれは聖獣じゃないかもしれないな。なんでも群れで暮らしているらしいし、下手したら人を襲うとか何とか?」

「えー!ヤダ!人を襲う聖獣なんて!バーディさん本当なの?」

「いや、だから、聖獣じゃないかもしれないって。噂聞いただけだから」


 トリスタさんは情報通だから、いろんな噂知ってるかもしれないと思ってたけど、そんな情報まで知ってたんだ。


 トウキクでの予定が終わったら次はダッハまでいかなくちゃだわ。


 夜も更けてきたのでそろそろ解散する事にした。


「あ、トリス…じゃなかったバーディさん」

「ん?何ヒナちゃん」 


 完全にトリスタさんに戻ってる〜。


「バーディさんのスキルって何なんですか?」

「前にユシャさんのスキルの話した事覚えてる?」

「はい」


 そう、ユシャさんのスキルは人の心が読める事。子供の頃は大変だったらしい。魔道具だか魔具で押さえていたけど今はコントロールできるらしい。


「俺のは子供の頃から自分の意思で使えたんだ。生活スキル1つと特殊スキル2つ持ってる」

「えっ!3つも!」


 ちょっと自慢気。でも生活スキルと特殊スキルって種類があるの?


 私が大きな声を出したので聖獣ズと話していたジュノさん達がこちらを注目する。


「トリスタさんて3つもスキルもってるんですか?!凄い!僕なんか特殊スキル1つも持ってないですよ」

「え?特殊スキルって皆持ってるんじゃないの?」


 ジュノさん特殊スキル無し?魔力多いのに。しかし生活スキルというのを持ってるとのこと。


「ヒナちゃん説明が足りなかったね。ゴメンゴメン」


 つまり、皆が持ってるのは普通のスキルで(生活スキルとも言う)、特殊スキルというのがあって、ユシャさんやトリスタさんはそれを持ってるってことらしい。


「ジュノ、特殊スキル持ってる方が珍しいんだよ。トリスタとかユシャとかは規格外だから」

「でもラクシエルさんトリスタさんは特殊スキル2つって特別どころじゃないですよね!」


 あ〜もう皆完全にバーディさんじゃなくてトリスタさんって言ってる。


「どんな特殊スキルなんですか?」

「それは企業秘密。仕事に使うからね」

「ユシャさんのはバラしたくせに…」

「ユシャさんのは、ここに居る皆はもう知ってるから今更じゃない」


 それでも不公平だ〜!


「さあ、明日は伯爵邸だよ。ヒナちゃんはもう部屋に帰って休んで。部屋まで送るから」


 急にいいオジサンぶっちゃってもヒナさんは騙されないんだからね。いつか聞き出してやる!




 


 












 いよいよ伯爵邸に乗り込みます。

 モンステラ伯爵の思惑とは?母シルビアの行動の意味は?乞うご期待。

 なんて言ってつまんなかったらゴメンナサイm(_ _)m

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