表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
102/114

3章8 ジュノの父親は何者?


 来て下さってありがとうございます。

ジュノさんの父親の情報をラクシエルさんか語ってくれます。


 ニコラスが帰ってきた。


「··········」

「コーちゃん·····遅くなってごめんね」

「遅いよ遅過ぎるよ······なんで、なんで早く帰ってこないの!なんで旅なんか行ったの!なんで、なんで·······お母さんが、お母さんが·······わあぁ〜〜〜っ!」

「ごめん、ごめんね·······。ごめん·····ごめん·······ううっ」


 二人で一晩中泣きながら母の事を話した。


 それから······ニコラスと俺は旅に出た。

 


  *********



 「とまあ、だいたいこんな事があったということだ」

「ゔうっ······ぐすっ」


 コーリンさん、ユシャさんのお兄さん大変だったのね。

 あれ?でもユシャさんとは血はつながってないってこと?

 もしかしたらルーもそうなのかな。


「ヒナ?何泣いてんの。ヒナが泣くことないでしょ」

「アルクくん、悲しくない?突然お母さんが亡くなっちゃうなんて、私なら耐えられない」

「ヒナ、僕達聖獣は、親がいないから。親とかよくわからないんだ」


 そう言えば、聖獣は何故どうやって生まれたか、わかってないとか聞いたような。


「ゴメン。アルクくん、ラクシエルさん」

「いいよ。僕達にはわからない事だもの。人間は親しい人や大切な人がいなくなると悲しいんだろう」

「そうだよ。アルクくんが居なくなったら私は悲しいよ」

「よくわからない······でもね、でもね、僕もヒナやラクやユシャが居なくなったらやっぱり嫌というか悲しいというか、寂しいと思うんだと思う」

「アルクくん、ありがとう」

「ヒナ、私も皆がいなくなるのは嫌だと思う」

「ラクシエルさんもそう思ってくれるのね。ありがとう」


 二人にお礼を言うと二人とも「何故お礼を言われたかわからないよ」と複雑な顔をした。

 アルクくん達はアルクくん達なりに私たちに寄り添おうとしてくれているのかもしれないと思うと、なんか嬉しい。


 話が逸れたけど、ユシャさんはマイラさんの村の事件頃から、この話を調べているらしい。エルフォンスさんも一緒に調べ始めたが、エルフォンスさんはアドゥーラの一員である立場上あまり公に調査できなくて(神殿が絡んでいるから)ユシャさんに依頼と言う形で調べているそうだ。

 そりゃ気になるよね。今までいくつもの村が無くなる、つまり全滅してるんだもの。

 生き残りは他にはいなくても神官や立ち合った人から話は聞けないんだろうか?


 「後手後手になって関係者は亡くなってたり行方不明になってるのが殆どだ。神官から話を聞くのは難しい。まあ、あちら側と言う事だしな」

「あちら側······」


 事を起こしたのは神殿側、魔霊樹が関わってるからってことね。




 はい!気分を切り替えて次はジュノさんに関わる話です。

 

「それで、明日伺うモスラ伯爵「モンステラだよ」その伯爵の情報はどうなの?」


 今度はジュノさんから訂正が入った。いいじゃない、モスラだろうが、モンスターだろうが!


 その伯爵家については、ラクシエルさんが調べてきたらしい。


 モンステラ伯爵の父親は現トウキク王の弟、つまり王弟で伯爵は王の甥にあたる。

 現王は間もなく退位の予定。王太子フィカスが後継者として立つ。そして第二王子ヘデラは宰相。第三王子パキラは騎士団長。第四王子は亡くなっている。


 モンステラ伯爵は王弟の三男で末っ子だ。長男がモンステラ公爵を継ぐ。次男は大神官。モンステラ伯爵は副宰相だ。従来の仕事の他にもいくつかの役職を兼任している。


「ラクシエルさん役職を兼任って何をしてるの?」

「王族関連の各行事やトウキクにある神殿の細々とした事とか、城側と神殿の連絡役をしている。神殿に駐在している神官の衣食住はトウキクが面倒をみているからね。そのせいもあってトウキクでは神官になりたい人間は多いそうだ。他の仕事より報酬が良いらしい」

「えーっ!そうなの。ジュノさん。本当?」

「聞いたことがある。高位神官だと屋敷が充てがわれて貴族並みの生活をしてるって」


 この世界の常識ってわかんない。神官だとか神に仕える人って清貧なイメージを勝手に持ってたけど、そうとは限らないのかも。だってさ、中央の神殿も豪華だったし、あの催事、ライブイベントも結構派手だった。お金使ってるって感じだった。偏見はいけないけどモヤモヤする。


「で、ここからが本題だ。もしかしたら、王子の誰かの庶子がジュノの父親かもしれない」

「「「ええっ!?」」」


 マジで?王族だと?!私だけじゃなくジュノさん、トリスタさんも全然予想だにしてなかったようだ。


「私の予想では亡くなっている第四王子の子供ではないかと思う。婚姻する前に亡くなっていて、子供の存在も公にはされていないが、どこかの貴族に預けられていたようだ。だから、認知されてないし母親も不明だ。それがジュノの父親だとしたら、神殿にいるらしいと言う情報は手に入れている」

「母は父のことは何も言ってなかったし、教えてくれた事もなかった。本当にそれが俺の父親なのか?」

「ジュノがお腹にいる時、突然失踪したそうだ。ジュノの母親はずっと彼を探していたみたいだ。聞くところによると、ジュノの母シルビアは男爵家の長女だったが、父親のわからない子供を産んだと勘当されたらしい。まあ身分が違い過ぎるから秘密の付き合いだったんだろう。そのジュノの父親は魔力が人並み外れて多かったらしい。ここでは身分差と魔力の多さは比例していることが多い。魔力に差があり過ぎると出産はかなり危険だと言われてる。ジュノが良く無事に生まれたもんだな。」

「俺の魔力が異常に多いのは親父のせいだったんだ·····」

「しかも、ジュノさんが生まれる少し前に行方不明になっているなんて······」


 でも、今神殿にいるって?

身重のジュノさんのお母さんを捨てて神殿に·······ということは出家しちゃったの?なんで?なんで?

 皆、なんてヘヴィな背景を抱えちゃってるのよ。

 ホントにますます話がわからなくなっちゃった。







 



 読んで下さってありがとうございます。

ジュノさんてば王族の血が····

 あるあるな展開ですが、まだまだ秘密があります。続けて読んで下さると喜びます、ふゆいちごが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ