3章6 謎、村人に何が?
今はニニカにいるマイラちゃんとユシャさんの兄コーリンさんの過去話。
2話投稿の一話目です。苦手な方はスルーして下さい。
流行病で消滅した村の生き残りマイラさんの証言。
当時マイラさんは異世界的年齢6〜7歳と推定される。
事件の数カ月前に神殿関係の人達が村にやって来て村長所有の畑を借りたそうだ。
その後そこは立ち入り禁止になっていた。
マイラさんは遊びに来ていた隣村の友達と村で一番高い木に登って畑の方向を見てみた。広い畑にたくさんの植物が植えられていて、その真ん中には数本何か葉っぱがキラキラ光る植物が植わっていた。
見ているとキラキラした植物は突然グッと大きくなった。すると周りに植えてあった植物はあっと言う間にしおれていった。
驚いたマイラさんは友達と二人慌てて木から降りると家に帰った。
「な、なんだったんだろうね、あれ」
「なんか怖い。私もう帰る」
友達が帰るというので、隣村への道の途中まで送っていった。自分の村に帰ろうとした時、何か嫌な感じがした。誰かが走って来る。思わず道の脇の草っ原に隠れた。
息を切らせて走っていくのは神官服の二人の男だった。確かあの畑の番をしている人達だときいた。あれ?確か5人いたはず。
「早く知らせないと!」
「バカ!逃げるのが先だ!何処までの範囲に影響があるのかわからないんだぞ!」
「しかし、村の人達が!」
「上の奴らは想定内だったんだ。何かあったらその時のことってな。俺達は使い捨てにされたんだ。逃げるぞ!」
え?どういうこと?
「でも、筆頭神官様が!」
「あの人はさっさと転移魔石で逃げたよ」
「ひでぇ!」
「だから、俺達も早く逃げるぞ!」
「お、おう!」
マイラさんは理由がわからなくなり、そこに蹲っていたら意識を失った。
気がついた時にはユシャさんに保護されていたそうだ。
「その時のマイラは軽い魔力枯渇の症状だったんだって」
私の頭の中にこの世界に来る時、空の中から見たキラキラ光る大きな木、魔霊樹が浮かんできた。
「まさか、それって魔霊····」
「しっ!」
ラクシエルさんが人差し指を立てる。アルクくんが私の口を押さえる。
「そうかもしれないし、違うかもしれない。だからヒナ、それは安易に口にしちゃダメ」
「わかった······」
本当になんてこった······
魔霊樹は魔素を生み出すはずなのに魔力枯渇って逆じゃない。
魔力枯渇と聞いてふと雨宮さんの話を思い出した。
その時、突然。
「マリョクガタリナイ」
え?何?
「マリョクコカツ」
「マリョクガタリナイ」
「マリョクガホシイ」
誰かの声が頭の中に響いた。·····頭が痛い。
「ヒナどうしたの?」
「顔色が悪いぞ、大丈夫か」
「だ、大丈夫。ただ、マイラさんそんな目に遭ってたなんて驚いちゃって·······」
アルクくんとラクシエルさんが心配そうに覗き込む。
「マイラって子、ヒナの知ってる子なのか?」
「う、うん。友達なの」
ジュノさんも心配そうに見ている。
「ヒナ聞かないほうがよかった?」
「ううん、大丈夫よ。ごめんね。話、続けて」
さっきの声何だったんだろう·····?
そしてコーリンさんの話。
それは、一番最初の事件で村の消滅の悲劇として有名な話らしい。
コーリンさんのお母さんは腕のいい薬師だったそうで、ニコラスさんは薬を買いに通ううち、つまりそういう仲になったらしい。
ニコラスさんが不在のある日、隣村で病人が出てお母さんはコーリンさんを家に残し出かけていった。
彼女は治癒魔法も使えたので、薬師で治癒師として近隣の村へも出かけて治療も行っていた。朝出掛けて、いつもなら昼過ぎには帰るはずなのに母は戻って来ない。
その時誰かが叫んだ。
「大変だ!隣村で流行病だ!村が封鎖された!」
隣のおばさんが慌てた様子でコーリンの所にやってきた。
「コーリン!お母さんは隣村からまだ帰ってないのかい?!」
「朝出て、行ったきりだけど、どうしたの?」
「よくわからないけど、隣村でなにかあったらしいんだよ。様子を見てくるけど一人で待てるかい?」
「僕も行く!」
渋るおばさんに駄々をこねて無理やりついて行った。
隣村の入口門には役人らしき人達がいて中に入れないようにしていた。
入口門の前には、村人を心配して集まった近隣の人々が役人と言い合いになっていた。
「中に入れろ!ここに嫁いだ娘がいるんだ!」
「この村で働いている子供に会わせてくれ!」
「村の人はどうしたんだ。何があったんだ!」
役人は渋い顔で無視しているが、余りの騒ぎに時々怒鳴ったりしている。
「これじゃ中の様子がわからないね。コーちゃん。出直したほうがいいみたいだね。あれ?コーちゃん?」
コーリンはこの村に何度も来たことがあった。小さい体を利用して、うまく役人に気付かれないように潜り込むことができた。
そして、建物の陰から覗くと、村の中央の広場に沢山の人達が寝ていた。周りには役人、白い服を着た神官らしい人もいた。
地面にそのまま物を置くかのように並べて寝かされている人達の中に、今朝、母が着ていた物と同じ模様の服を見つけた。
「お母さん····?」
それは、変わり果てた母の姿だった。
そのうち、ユシャさん、ルー、ニコラスの話もあるかも。
読んで下さったお客様、ありがとうございます。宜しかったら次もどうぞ。




