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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第1章
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お姉さん達

来て下さった方に感謝。

蘭香亭の中はただいま、お花畑のよう。


赤やピンク、青に白、ミントグリーン、ラベンダー

と、いろんな色の髪のゴージャス美女達が蘭香亭という小さな中華飯店のフロアに集まっている。

多分10何人かいるのではないだろうか?

その超ダイナマイトバディのお姉さん達の衣装は胸元の開いたセクシードレスだったり、スリットが入って太ももがチラチラ見えたり、セパレートになってて背中やらおへそが見えてたり...

女の私でも目のやり場に困るよ。


なんとか姉妹が従姉妹やら友達やら連れて殴り込みにきたらこんな感じ?

それに、みんなが一度に喋るからなんて言ってるかわからない。

ユシャさんの機嫌がどんどん悪くなるのがわかる。


「やかましい...」

お姉さん達の興奮はおさまらない。

ユシャさん眉間にシワが...


『沈黙!』


え?なんて?ユシャさんが言葉を言った瞬間、静寂が訪れた。


「まったく...」


ユシャさんはため息をつき足を組んで座り直した。


「俺が誰と暮らそうと俺の自由だ。お前等に文句を言われる筋合いはない。それに、俺は一度に喋られても聞き取れるほど器用でもない。順番に話せ。聞くだけは聞いてやる。」


なんという俺様。

それでも、お姉さん達は黙って頷いた。


「で、誰から話す?おっと、『解除』」


あ、魔法使ってたんだ。

最初はピンクの髪のエロ可愛いお姉さん。


「ユシャさんを束縛するつもりなんてないのよ。

突然、女の子と暮らし始めたって聞いてショックで、ショックで...」


菫色の瞳がウルウルして今にも涙が零れそうだ。

次は濃い緑の髪の知的な雰囲気のお姉さん。


「その通りよ。どこからかいきなり連れてきた女性と一緒に暮らしてるなんて信じられないわ。青天の霹靂よ!ずっとユシャさんと一緒に居られるなんて羨ましすぎる」


次は金色の髪の整った顔だちのスゴい美人で、しかもスタイル抜群のお姉さん。


「あなたはあたし達の憧れで王子様なの。今まで誰も人を近づけなかったあなたが、若い女の子と暮らしてるなんて耐えられない。私達とその子の何が違うの?お願い説明してちょうだい。」


マジでユシャさんモテるんだ。

性格は二の次なのか、お姉さん達よ。


「いきががり上とはいえ、こいつとは取り引きしたし、それにまだこいつはまだ子供だ。俺にだって理性はあるつもりだが?」


今度は赤い髪の巨乳のお姉さん。


「ユシャさん、このまま自分好みに育てていこうって考えてるんじゃないの?」


「え~そうなの?」という声が後ろのお姉さんたちから聞こえる。

若紫計画?まさか、それはないでしょう。


「アホか。あり得ん。」


おぉ、バッサリ切った。

今度は神秘的な感じの黒髪の超色っぽいお姉さんだ。紺色を濃くしたような黒髪だけど、黒髪の人ここにいた。


「ユシャさん。騒いでごめんなさい。でも、こんな田舎のメセナだけど、私達だってプライドはあるわ。ユシャさんは優しくしてくれても、女として見てくれない。手も出さない。それでもユシャさんは私達の憧れで、そこに若い綺麗な女の子連れてきたって聞いたから」


私が綺麗?

い、いや、可愛いとかは言われたことは無くはないけど...綺麗だなんて...

悪い気はしないけど、照れるを通り越して恥ずかしい。


「綺麗って、こいつのどこが!?そんなにお前たちが気にする要素があるんだ?」


てか、ユシャさん、なんて言いぐさだ。でも、私も知りたい。そんなにお姉さん達に嫉妬される訳って何?


「私達だって一応魔法レベルは中級者よ。その位わかるわ。この子のオーラは綺麗な色をしてる。魔法を使えないと聞いたけど、魔法なしでこんな可愛いなんて反則だわ。もし、これで性格も良かったら勝てないかもしれないでしょう?」


へ?何?褒め殺し?

オルガさんや、他のお姉さん達も頷いている。ちょ、ちょっと褒め過ぎじゃないかい?世界の美女基準が元々違うのかしら?

ひょっとしたら、これは私の妄想の世界だったとかいうオチじゃないよね?


「お前達の言いたいことはわかった。だが、俺は結婚していないし、する気もない。こいつは妹みたいなものだ。近いうちに、また診療所に行くから今日はこのまま帰ってくれ。お前達これから仕事だろう?」


ハァ、とため息をついた後、疲れたように言った。


「後は、お前達が俺のことを信用するかどうかだけだ。俺のことを信用するか?」


お姉さんたちはやはり納得できないようで、まだ口々に何かブツブツ言っている。


「ふむ、仕方ないな『魅了』『従順』」


今、ユシャさんが何かつぶやいた。良く聞こえなかったけど、また魔法?


「わかりました~。」

「ユシャさん信じてる」

「きっと来てね」

「ユシャさん愛してるわ」


お姉さん達の周りにハートマークが飛び交って見える。いきなり素直になったお姉さん達は、揃っておとなしく帰っていった。


「やれやれ。あんたは相変わらずやり方が乱暴だね。今だけ魔法で解決しても、完全解決にはならないよ。ヒナちゃん、ユシャくんはこの繁華街お抱え医者でもあるんだよ。」

「お医者さんなんですか。」


つうことは、お姉さん達の玉の肌も検分済みか。

ユシャさん何も感じないのかなぁ?まさか男にしか興味ないとか?!


「医者ではなく、薬師だ。診療所に今、医者がいないから真似事程度だ。頼りにはされているかもしれないが、大した事はしていない」

「ちょっと、意味が違うと思うけど。でも相手が誰であれ、あの子達はユシャくんの隣に女の子がいたら許せないんだと思うよ。ヒナちゃんは確かに、何か人を引きつける物を持ってるとは思うけど。ユシャさん、あんたどういうつもりでこの子の面倒を見てるの?」

「いきががり上だって言っただろう。オルガが面倒見てくれるなら、それに越したことはない。店の手伝いとか、家事やらせるなら面倒見るのを喜んで譲るぞ」

「私は無理。このお腹だし、それにお手伝いしてくれる人、もう頼んじゃったから人手増えるし余っちゃうからね」

「出来たのか子供?」


え、オルガさん妊娠してるの?!


「あの人にね、『あなたがいなくなった後、私一人で長い人生を生きるのは寂しいから』って、泣き落とししちゃったの」


えへへ、と笑いながら言っているけれど、なんだか切ない。多分、私達は生きる世界が根本から違うんだ、と何となく思った。


「そうか... 裕司、納得したのか...」


オルガさんはまだ雨宮さんの何倍もの時間を生きることになる。相手が自分より短い寿命しか持たないというリスクを知りながら、結婚して子供を持つ。オルガさん...どんな覚悟があったんだろう。

そんな二人の事情をユシャさんは知っているんだ。


「ま、ユシャくんもヒナちゃんをそんなに子供扱いするなら自分の養女にでもすれば?」

「冗談じゃない!」

「私だってこんな意地悪なお父さんいりません!」

「ほぉ、居候の身分でよくそんな偉そうなことが言えるな。」

「取り引きしたでしょ。出世払いだし、居候じゃないもん」

「いっそのこと魔法でビクにでもしておくか」

「あー職権乱用!」


ビクが何かはわからないが嬉しくないものだとは、なんとなくわかる。(因みに、後で教えてもらったけどビクとは食用にもなる豚に似たモンスターのことです)


「何が職権乱用だ!食うぞ!」

「食欲なら負けないもん!」


訳わからん返ししてしもた。


「プッ!アーッハッハッハッハ!おかしい!」


オルガさんが大笑い。


「あんた達最高!面白いわぁ。二人で旅回りの芸人やれば?」

「やらない!」「やりません!」

「息ぴったりじゃない。仲良くやんなさい。ああ、アルク待たせてるんでしょ。早く行ってあげたら?」

「いや、先にヤクトの店に寄ってくる。ヒナ、ここで待ってろ。オルガ、悪いがもう少しだけこいつを預かってくれ。」

「ああ、いいけど。連れて行かないの?」

「これ以上のゴタゴタはたくさんだ『転移』」

「あっ!」


ユシャさんが何か言ったと思ったら姿が煙のように消えた。


「スゴい...消えた。テレポテーションだ」

「テレ... ?ユシャくんの時空移動初めてみたの?」

「はい。あんなのできるんだったら乗り物いらないですね」

「みんなできるわけじゃないのよ。ユシャくんは特別だから。学生の時、すでに上級魔法使いこなしてたんだから」


それってかなりすごいってこと?ユシャさん顔良くて、魔法使えて、モテモテで反則だな。


「だけど、日常では必要以外は、極力魔法使わないようにしてるみたいなのよね。」


だから家事も魔法でやらないのか。それってユシャさんのポリシーなんだろうか?そういえば、HPとかMPをケチるような発言してたっけ。


「あれ?ユシャさんもう帰っちゃったの?」


若い女の子が一人、ひょっこり顔を出した。




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