わたし
やっと主人公登場です。
初めに覚えているのは、金色の二つの光。まるで闇夜を照らす満月のような、明るくやさしい光――――ゆっくり、ゆっくりとわたしの意識が浮かび上がってくる。
何か、ふわふわする。ここ、どこ?
見回すと、辺り一面乳白色の雲の迷路。なんだかわくわくしてくる。
わーい! テンション高く、近くのふわふわもこもこの雲の山に飛び込む。意外にも感触はふわふわの羽根布団のよう。
おお~念願の雲に飛び込む夢が。でも、曇ってスイジョウキだから、感触はない筈なんだよね~。感触、ハネブトンって。
ん? スイジョウキ、ハネブトンって、何だったっけ? すらすら出てきた言葉に疑問をもつ。
スイジョウキ、水蒸気-水が蒸発して出来た気体。
ハネブトン、羽根布団-鳥のからだに生えている毛、羽根を集めて作られた寝具。
な、何? これ!? 知識が勝手に浮かびあがってくる!
ここではない、どこか。少しの疑問をきっかけに今のわたしではない私が生まれ、育ち、学び、生活している記憶がおぼろげにざあーっと流れ込んでくる。
え、え? 何?! だって、わたしは生まれたばかりなのだ。何故だか分からないけど、それは分かる。いつもやさしいお母さんの声を聞いていた。狭いけれど、心落ち着く温かい場所で。いつも温かいお母さんの心に包まれていたんだもん。
生まれたばかりのわたしは感情的になる。
こんな、こんなの、おかしい! いきなりムズカシイ(すかさず私が難しいと変換。意味ばっちり)言葉を使ったり、考えたりするの!
今までゆったりした感情のみで生きてきた生まれたてのわたし。
既にたくさんの記憶を持ち、言葉で思考する私。
ごちゃまぜな今のわたし。
いつも短くてすみません。次、赤の子竜です。
読んでいただき、ありがとうございます。