出会い
よろしくお願いします。
助ける?……助かる?
わたしの子が助かる?!
頭の中で意味が繋がった途端、意識が外へ向かう。
最初に認識したのは、2つの、金に輝く光。まるで番の絆のような、心ひかれる光。
それは、見たこともない2本の足で立つ生き物の眼だった。強い意志できらめく瞳。その中には自分と同じ、我が子を守ろうとする必死さが見て取れる。
諦めて終わりを待つばかりだった心が波立つ。本能が騒ぎ出す。子竜たちを救え!と。
『早く! 早くしなければ、あなたの子が死んでしまうわ! そうなれば、もう片方の子も。そちらへ行ってもよいかしら?』
見慣れぬその生き物は、近づく許可を求めじっと見つめる。その瞳の中に害意や偽りは見当たらない。赤竜が是、と答えると足早に近づいてきて潰れた卵のところで蹲った。卵に触れることなく、注意深く観察している様子だった。
それを赤竜は見守る。極限の精神状態の中で最も大事なのは、子竜たち。それ以外はすべて意識の外へ追いやる。そうでなければ、立てないから。
見慣れぬ生き物――恐らく雌は血まみれだった。両腕にふわふわしたものを抱えている。その中には赤黒い何か。
赤ちゃん? あれがあれの子?
わたしの大事な、壊れてしまったあの子と同じくらい弱々しい。
ぼんやりとした思考を遮って、声が聴こえた。
『この子、身体の損傷が著しくて、身体を救うのは無理だわ……。この子の片割れが必死に絆を保っているけど、もう長くは保たない。この子たち、双竜ね。始まりから終わりまで共にする宿命を背負う、真紅の絆。……けれど、たった一つだけこの子と片割れを救う方法がある』
そういいつつも、こちらを凛と見据えてくる。
『誓いなさい。わたしの子を命尽きるまで守り育て、慈しみ、見守ると。けっして、害したりしないと。そうすれば、あなたは形の異なる新しいこの子と、今腕に抱いているまだ卵の子竜と生きていくことが出来る』
やっと、人が出てきました。
読んで頂き、ありがとうございました。