嵐~(赤竜)
分かりにくいかも。
よろしくお願いします。
日に日に力強く、大きくなっていく卵の中の子竜たちの鼓動。それと共に、しっかりと結ばれていく親子の絆。目を閉じれば、黄金に輝く番の絆と淡い光を纏った二本の親子の絆がわかる。そして、子竜たちの間には真紅に輝く双子の絆が。
竜族は黄金の絆で結ばれた番同士でなければ、子は出来ない。そして、その番同士でも長い一生の中で子を持つことの出来る機会は数度のみ。そのため、竜族は大切に大切に子竜を守り育てる。大空の覇者となり、番を求め旅立つその日まで。
今回授かった卵は二つ。これは祝福であり、また呪いにもなりうる。
双子の竜は特別なもの。長ずれば、竜族最強となる。
しかし、真紅の絆は命の絆。双子は、命の始まりから終わりまでを共にする。つまり、どちらか片方が命を落とすとき、必ずもう片方の命もなくなるのだ。
二つの卵を見たとき、赤竜は大きな喜びと少しの不安を抱えた。彼女のほんの少しの揺らぎを見逃さず、そっと寄り添う彼女の番。堂々たる体躯の、黒竜の瞳を覗き込んだとき、彼からあふれんばかりの番への想いと喜びが流れ込んできた。
--愛しい愛しい俺の番。
大事な大事な俺の子竜たち。
必ずどんなものからも守るから。
一緒にたくさん美味しいものを食べよう。
楽しいことをたくさんしよう。
共に大空を駆け回ろう。
いつか巣立つその日まで---。
彼女の不安は消えた。それからずっと大事に卵を抱え込み、子竜たちの鼓動に耳をすませる。だんだん大きくなる鼓動、期待、喜び。
--もうすぐ会える。
大きな喜びで満たされていた心に、不安が差し込まれた。
うねり暴れる風の音。大気の振動。
ひたひたと大きくなる不安。
思わず彼を見上げると、彼は卵ごとわたしを抱きしめてくれた。伝わってくる暖かい励ましの心。
ふと、彼が空を見上げた。
その後、息も出来ないような衝撃が体を襲う。咄嗟に狩りをする方の腕で卵たちをかばった。
ばさっ。
羽ばたきの音に目を開けたとき――――
視界に飛び込んできたのは、ただ、一つの、卵。
真っ白になった心で羽ばたきの音を追えば、遥か彼方に稲妻で彼女の黒竜が浮かびあがった。
次、卵の捜索に、です。