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ティアの一族

よろしくお願いします。

 ティアは、肩をすくめた。

『だから、わたしが共に行くわ。子供を守り、育てるのは、人族も同じ……。

時の許すかぎり、わたしはこの子が幸せに生きていけるよう、全力を尽くすわ』


 それから、ティアは金の瞳を細めながら話を続けた。

『人族の身体は、確かにあなた方竜族に比べたら、弱い。けれどこの手は、様々なものを生み出すことが出来るのよ。考え、工夫することによって、わたし達は他の種族達と肩をならべることも出来る。場合によっては、それ以上のことも。そして、ティアの名を冠するものの精神は最強の部類。この子もまたティアの名を受け継ぐもの。その精神は竜の心を受け止めるほど、広く、たくましい』


--ティア? ……この子もティアなの? と疑問をもつ赤竜。


『そう。わたし達の種族は、人。ティアは、血族をあらわす一族の名。……あなた達、竜族にも一族を示す呼び名はあるでしょう?それと同じよ』


--ああ、確かに。竜族も岩山の一族、海島の一族等、住んでいる場所によって固まっている一族を呼びあらわす名があるわ。 頷く、赤竜。


 それに対して、ティアは悲しそうにほほえんだ。

『わたし自身、個に対する名は、ない。……強いていうならば、1192.ティア――1192番目のティアだけど、誇りをもてるのは、ティアの名のみ。だから、わたしのことは、ティアと呼んで欲しい』


 そのとき、近くで何かが崩れ落ちる音がした。


『いけない、急がなくては……』

そのまま、ティアは赤竜に近づき、先程自ら傷をつけた腕を差し出す。


『お願い。どうかこの血を口に含んでもらえないかしら』


 躊躇う赤竜に重ねて願う。

『どうかお願い。知識の共有には、必要なことなの。この子達を助けるために』


 切羽詰まったティアの様子に、赤竜は恐る恐るぺロリと腕を舐めた。


『ありがとう。……あなたが今までに仕留め、巣に持ち帰った一番大きな獲物は、何?』


 脈絡のない問いに、赤竜は思わず固まるも、頭の中には過去一番の大物がよぎる。


『分かったわ。その大きさ、重さならば、あなたは持って飛ぶことが出来るのね』

ティアは話しながら、赤竜の足元にそっと我が子をおく。


『その子とわたしが生き延びるには、物資が必要なの。今からそれをわたしは出来るだけ取りにいくわ。……もしものことがあれば、合図を送る。そうしたら、あなたはこの子達を連れて巣に戻って』


 ティアは、身を翻し、奥の暗い亀裂に入っていく。


『大丈夫、出来るだけ早く帰ってくるわ。この子達をどうかお願い』








ティアの一族は、地下に囚われています。ティアの一族のことは、物語が進むにつれて少しずつ明らかになります。……分かりにくかったら、すみません。

次は、ようやく主人公視点に戻ります。

読んでいただき、ありがとうございます。

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