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ひみつのアリアちゃん  作者: 友坂 悠
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眠れない夜の猫。2

眩しい朝陽がカーテンの隙間から覗いてる。

もう朝かぁ。

なんか変な夢を見ていた気がするんだけど、忘れちゃった。

なんだかよく眠れなかったような気もするし。ごちゃごちゃ考え事してた気もするけど。

そんなことよりお腹が張ってる。おトイレにいきたくなって随分我慢してる状態みたいな。

お腹を押さえると漏れちゃいそうで危ない、と、おもうんだけど、以前より何故か我慢できるっぽい。

絶対に女の子の方が男の子よりかまんし辛いだろうと思ってたのに、っていうか多分それが一般常識だと勝手に思ってたのに、何故かそうじゃなさげ。

っていうか、あたしの元のが人一倍我慢できない状態だったって事? ひょっとして。

あーん、もうへんな事ばっかりでごめんなさいなんだけど、これはほんと不思議なのでもうちょっと詳しく話しておくね。


もとのあたしの体にあったものは、男の子のそれだった。

っていうかこんなこと話すのも嫌だったけど、なんだか今なら話せるっぽい。

その男の子のそれ、は、もう長い間機能していなかった。

というかあたしが殺したのだ。薬漬けにして。

そうしたあたしにあったものは、もうふつうの機能は死んでいて、正直ついているだけの状態で、筋肉みたいのも衰えてる感じで。

おしっこなんかもあんまり我慢できなくなっていた。油断すると漏れるのだ。じわっと。

悲しいことに、一度は我慢できなくておトイレに座る直前に、恥ずかしいことに、ぱんつを下ろす直前に、漏らしてしまったこともあった。


それ、が、不思議なことに、今。

ちゃんとした女性のあそこになった今、なんと、我慢できるのだ。

どういう理屈なのかわからないけど、じわっと湿ることはあっても、根本的には我慢できる。不思議なことに。


って、こんなこと不思議不思議って言ってるのはあたしだけなんだろうけど、こんなことは誰にも共感されないだろうけど。

ふにゃぁ。

長々こんな話題でごめんなさい。


こんなばかなことを考えながら、あたしはおトイレに急いだ。


トイレに行って一息ついて、今はまだ5時。

そっか。まだ早いな。とか考えて。


何か夢を見ていた筈なのに、思い出せない。

夢のなかでいろんな事考えていた筈なのに。


(おきたのかい? アリア)


あ、ナイン。

(おはよう)


廊下に出ると足元に黒猫がまとわりついてきた。

最初は普通に真っ黒かとおもっていたけど、ところどころクリームで、ちょっとピンクがかってる。

すっかりうちのペット然としてるんだけど、いいのかなこの子。


マリアはまだ寝てるよ、君はもう起きるのかい?


ナインの言葉は相変わらずあたしの頭の中だけに響くらしい。

まりあちゃんにはにゃーにゃー可愛く鳴いているようにしか見えないらしいし。


あれから、あの初めての日から十日が過ぎた。

まだあたしはその後一回も夢奴と戦ってない。

翌日、この子がいつの間にか枕元にいると思ったら、あっという間におかぁさんとまりあちゃんを籠絡した。

すっかりかわいいかわいいって懐いてる。

正体は謎のままだし不思議だけど、まぁしょうがないかってまりあちゃんもいうし。まいっか。


(戦いたいの? アリア)


そんなことないよ。平和が一番。怖い思いなんてしたくないもん。


(ならいいけど)


いいの?


(まぁね)


ふーん。


ほんと、不思議な事を言う猫だ。


なんにしても起きちゃったので、このまま朝ごはんの準備するかな。

今日は時間があるからお弁当も持っていこう。

おかぁさんは出張中だからまりあちゃんとあたしの分だけだけど。


昨夜の残りのお味噌汁にベーコンエッグと納豆の朝ごはん。

お弁当は冷凍のハンバーグ湯煎であっためて、ゆで卵半分に切ってまりあちゃんとはんぶんこ。

カットキャベツにミニトマトとカイワレのサラダにごはんにふりかけ。

すごく簡単。三十分はかからずに用意終わったので、そのまま朝の散歩に出かけた。


朝の日差しがまだ柔らかい。昼間はもうずいぶん暑いけど、この時間はかなり心地よい風が吹いてる。

マンションの階段を降り、駐車場を抜けると公園があるんだけど、ここの緑のおかげで空気も澄んでるきがする。

なんだか自然のパワーをもらってるような気分のまま公園の隅の茂みをみると、子猫がいた。

うずくまって、もぞもぞしてる。

一瞬、捨て猫? って思ったけどどうやら違うらしい。

兄弟猫があと三匹と、それを温かい目で見守ってるお母さん猫。

薄サバのお母さん猫は、たぶん前見た事ある猫。最近みないなぁと思ってたら、子供産んでたのかぁ。


あたしが近づくと子猫たちは一瞬で茂みの中に潜り込んだ。

薄サバおかあさんだけが残り、こっちを警戒するような目つきで見てる。


大丈夫だよ、危害とか加えないよ。

そう心の中でしゃべって、にっこり笑顔を向けると、薄サバおかあさんもなんだか安心したみたいな顔になって茂みにもぐりこんで行った。


うちの町には猫が多い。

飼い猫か野良の子かわかんないような猫もいっぱいだ。

裏道にはけっこう猫がまったり寝てたりするし、屋根のトタンの上にいるのとかも見た事ある。

あたしなんか猫を見るとにゃーって言って近づいてなんとか触れないかなとか手を伸ばしてみるんだけど、たいていの猫は警戒心が強いから逃げられる。

たまーに、しゃがんでゆっくり近づくと触らせてくれる子もいるけど、そうなったらラッキー。

一度触れると今度はその子の方からすりすりすり寄ってくれる。

ちょっと至福な瞬間。


ナインと他の猫って、基本見た目はぜんぜん変わらないのに、なんていうか存在感が違う。

普通の猫は喋らない、とか言うだけじゃ無い。

その存在自体が猫に思え無い、なんだかオーラが違うっていうのかな、そんな感じ。

見た目はかわいい猫なんだけどな。


(失礼だな)


え?


そんなこと考えながら散歩してたらいきなりナインの声。


聞いてたの? あんた。


(あんたよばわりなんだ)


うー。


そりゃいきなりだとそうそうちゃんと意識出来ないし、しょうがないでしょ。

っていうか何? 普段からあたしの心聞こえてるの?


(そりゃそうさ)

(そんなに大声で考えてたら、嫌でも聞こえるさ)


う、なにそれ。あたしの心覗いてる、とかじゃなくて、聞こえるってこと?


(ほんと失礼だな)

(人をノゾキ魔よばわりするんだ)


そいうわけじゃないけど。


(ま、いいや。ふつうこんなの信じられないだろうし)


ねぇ、ほんとどういう……


どういうこと? って説明求めたかったけど、そこでナインの存在感が途切れた。

今はもう近くにいないらしい、それだけは解る。


ほんとにもう。

都合のいい時だけ現れるんだから。


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