麻里子。
授業中。
単調な先生の話を聞き流してると、なんだかいろんなことが頭に浮かんでくる。
この世界には自分しかいないのか?
とか、
周りの人はあたしの意識の中だけの存在なんじゃ無いか?
とか。
なんだか自分だけが特別なんじゃないか、とか。
そんな自意識過剰で厨二な考えが頭の中でぐるぐると。
実際にはそんなことはないし、まりあちゃんだってみーちゃんだって令だって、みんなちゃんと居るってわかってる。
特別なのはあたしだけじゃないし、みんなそれぞれ色んなことに悩み、悲しみ、そして喜んでいるのだと。
理解はしてるのだ。
でも。
ぼおっと空気になるくらいぼーっとしていると、そんなへんな事、ついつい考えて。
頭の中がそんな妄想でぐるぐるしてくるのだ。
ちょっとふにゃぁ。
特にこの社会科の先生はお経かとも思えるくらいなぶつぶつ静かに喋る先生で、あたしの頭の中は眠気と妄想の戦いになっている。
この間なんか、ふっと意識が飛んだ瞬間に当てられたて、そのときの質問に反射的に答えたら偶然正解で助かったけど……。
ほんと注意が必要だ。
眠気を我慢してたら後ろからみーちゃんに突かれた。
はっと顔を上げると先生が席の前まで来てて。
そんなに私の授業は眠いですか? そうボソっと呟いた。
あうあう。
真っ赤になって俯いて。
心の中でごめんなさいと謝った。
☆
放課後。
今日もみーちゃんは部活で遅くなるらしい。
あたしとまりあちゃんと令の三人で帰ることに。
「あ、そうだ。今日は友達と待ち合わせをしてるんだけど、もしよかったらその子も交えて一緒にお茶していかない?」
と、令。あんまり悪気もないっぽい。
「えー? どんなこ?」
「あたしは構わないけどー。っていうか令のお友達ならちょっときになるかな」
まりあちゃんはコミュ力高いからなぁ。あまり気にならないらしい。
あたしは、その……。やっぱり初対面は緊張するし、ねぇ。
っていうか、いつのまにか令の事はまりあちゃんも呼び捨てだ。
なんだか令はちゃんとかくんとか似合わないし、令は令がいちばんしっくりくるっぽい。
最近は令の方でもあたし達のこと、ありあとかまりあとか呼び捨てになってる。
これはこれで距離感近くなった感じで嬉しい。
「それがねー。実はこの学校に今通ってるんだってさー。通用口が違うから正門で待ち合わせなんだ」
え?
ってことはセントイプシロンの子?
「小学校の時に知り合ったんだけどね。私の研究仲間なんだ」
正門に見慣れない子が立っている。セントイプシロン女学園の制服。可愛いんだよねあれ。ちょっと着てみたいくらい。
ストレートロングの黒髪で、前髪がぱっつん。ちょっと知的な感じのする彼女。
「麻里子久しぶりー。元気してた?」
「相変わらずテンション高いわね。令。んーそこの二人がこっちでできたお友達?」
「そうそう。ありあとまりあ。宜しくね」
「かわいいわねー。双子なんだ。そっくり」
「あは。まりあです。まりこさん? 名前似てるねーよろしくー」
「まりこでいいよー。あたしもまりあって呼んでいい?」
「もちろんオーケー。で、こっちがありあ。あたしの相棒。ちょっと人見知りするけどいい子だからー」
「あうあう。ありあです宜しくお願いします」
「あはは。ありあの方はおとなしいんだね。よろしくねー」
「とりあえずミスドでお茶しよっかー」
と、令。
立ち話もいいけど正門じゃ目立ちすぎるね。
周りの目がちょっと気になるくらいになってる。
あたし達は駅前のミスタードーナツまで歩いた。




