過去
今回は視点を変えてみました。
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私は昔、迷子になったことがある。
・・・まぁ大体の人が経験してるとは思うけど。
私が迷子になったのは親戚の家に遊びに来たときだった。
親戚の家の近くに公園があるらしく、1人で行けるだろうと思い、出てきたのだ。
その結果が迷子。
3時くらいに家を出たはずだから3時間もずっと迷子状態だった。
親に公園に行く言ってきたから、まだ心配してないかも知れないが、さすがにそろそろ様子がおかしいと気付くだろう。
でも、今自分がどこにいるか分からないのでとても不安だった。
歩き疲れた頃、ちょうど川沿いの道だったので休むことにした。
座り込むと自然と目に涙が浮かんできた。
これからどうなるか分からない不安に襲われ、どうしようもなく涙が溢れ出てきた。
抑えきれずに声まで漏らして泣いていた。
何人か私の後ろを通ったはずだが、誰も声をかけてくることはなかった。
そんな中1人だけ声をかけてきた人がいた。
顔をあげると私と同い年くらいの男の子が話しかけてきていた。
男の子の顔を見ると泣き声を大きくしてしまった。
たぶんやっと私を助けてくれそうな人に会えたことが嬉しかったんだと思う。
・・・顔が怖かったとかそういうことじゃないはずだ。
泣いてつっかえながらも優しく聞いてくれる男の子になんとか説明することができた。
そして一緒に探してくれると言ってくれた。
しかし30分経っても見つからず、もう会えないんじゃ・・・という考えが頭をよぎり、また泣きそうになってしまった。
すると男の子は私に好きなことを聞いてきた。
私の好きな話で励まそうとしたんだと思う。
私の好きなことは"星を見ること"だった。
だったというか今も同じだけど。
ちょうど公園があり、そこの滑り台の上に座って夜空の星々について色々話した。
男の子は全く知らないことなのに熱心に聞いてくれて、私も嬉しくなった。
今も話した内容を少しだけ覚えている。
その1つがカッシーニの間隙だ。
難しい言葉だが、覚えたてでそれを誰かに自慢したかったんだと思う。
星の話をしてる間は時間や自分の状況を忘れることができた。
どれくらい経ったか分からないが、男の子が急に私の話を止めてきて少し悲しかった。
しかし、私の両親が近くにいるかもしれないと聞き、自分の状況を思い出して嬉しくなった。
行ってみると本当に両親が近くにいた。
私はまた泣いてしまって男の子にお礼を言うこともできなかった。
次の日、また公園に行けば男の子に会える気がして公園に向かった。
期待通り男の子は公園にいた。
私は昨日言えなかったお礼をたくさん言った。
それから男の子は今日の夜もここで星の話をして欲しいと言ってきた。
私はお礼をしてもしきれないくらいだし、なにより男の子に星の話をするのはこちらからお願いしたいくらいだったからすぐにOKした。
夜に公園に行くと両親に言うと、さすがに昨日の今日なので両親も来ることになった。
両親の前で男の子と話すのは少し恥ずかしかったが、話始めると楽しくて、そんなことは気にならなかった。
1時間くらいすると両親にそろそろ帰ると言われ、名残惜しさを感じながらその場を後にすることにした。
だが、別れ際に男の子が明日も話してくれとお願いしてきて嬉しかった。
星の話ができるのもそうだが、男の子と明日も会えることが嬉しかった。
翌日から夜はいつも公園に行き、男の子と話すようになった。
しかし私は親戚の家に遊びに来ているだけなので、すぐに地元に帰ることになった。
帰る前日にやっとそのことを男の子に伝えることができた。
その日はあまり上手く話すことができなかった。
別れの言葉もまともに交わせないまま、私はこの町を後にした。
その後の男の子がどうしているかは当然わからないが、私は男の子にまた会えた時に星の話をもっと詳しく話せるように勉強を頑張った。
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・・・・・ジリリリリリリリッ!!
朝6時にセットした携帯のアラームが耳元で鳴っていた。
まだ半分ほどしか覚醒していない思考のまま、手探りで携帯を見つけ、アラームを止める。
何か昔の夢を見ていたような気がするけどよく思い出せない。
「・・・起きるかの」
ベッドからのそのそと起きて朝食を作り、それを15分かけて食べる。
それから弁当を作って包む。
料理の片付けを終えて今日の授業の準備をしてから、髪の手入れなどをする。
それが終わるとすでに7時半を過ぎていて、制服に着替えてから弁当と鞄を持ち、家を出る。
・・・こうして柊紅の一日は始まった。
まずこんな短いのに投稿が遅かった言い訳を…
それは、これじゃない小説を書いていたからです!
おかげでちゃんと書けて投稿までできました。
それから1~8部の誤字などを直しました。
あとは何もないかな~
感想などを貰えると嬉しいです。