地獄
最近はチェスにはまってます。
何故だ…
何故こんなことになってしまったんだ…
「もう1回!もう1回だけ別のゲームで勝負しよう!!」
凛が紅に駄々をこねている。
この光景とその台詞今日で28、いや29回目か…
部長が凛の対応をしてる間に少し思い返してみよう。
まず、トランプをすることになりました。
華ちゃんすごい!凛わかりやすっ!
あれ?残りは俺と凛だけ??
ここはなんとしても負けなければ!
ここから先は確か
━━━━━━
「じゃあ引くぞ!」
気合いを入れて凛のカードから1枚引いた。
これがjokerじゃなかったら俺は・・・いや、俺たちは地獄に引き込まれる。
頼むっ!こいっ!!
「・・・!!」
よっしゃあぁぁぁ!jokerキター!!
おっと、喜びを顔に出したら凛に疑われるな。危ない危ない。
これで凛が6か9を引いてくれればー
「あぁ!joker引いちゃった…」
「えええええええ!!!」
ー2/3でペアそろって上がりというこの状況でなんで
joker引くんだよ!あ、俺も同じ状況でjoker引いてたな。
クソっ!またjoker引かなければっ!
もし勝ったりしたら明日から凛を除く天文部から冷たい目で見られてしまうじゃないか。
そんなゾクゾ・・・いや、ガクブルすることにはなりたくない!
「今、ゾクゾクって言いかけておらんかったかの?」
「そんな事はないっ!そして俺のプライバシーを侵害しないで!!」
俺は決してMじゃない!
っと、話が逸れた。早くjokerを引いてこの勝負を終わらせなければ。
またも気合いを入れて1枚引く。
そのカードは・・・
「・・・スペードの・・・6・・・・・」
「「「!!?」」」
「あぁ、負けちゃったー…」
いえ、ある意味あなたの勝ちです。そして、負けたのは俺です。
「(何しとるんじゃっ、海人!!)」
「(どうしてくれるんですかっ、センパイ!!)」
「(海人くん、信じてたのに~)」
「(いや、無理だろ。2回連続で引く確率なんて1/9だぞ)」
「それがなんじゃっ!それくらい気合いで引いてみせぃっ!!」
紅が怒って小声で喋ることを忘れてる。
「ま、まぁまぁ紅。落ち着けって」
そんなことをしていると
「くっ、もう1回だ!今度は違うゲームにしよう!」
なんてことを凛が言い出した。
まぁいつものことだから驚かないが、ここは絶対に断らなければ!
「いいや、駄目だ。今日はもう終了だ」
「なんで海が決めるの。それとトランプやめたら何をするつもり?決まってないならあと1回くらいいいじゃない」
「ほ、ほら。宿題とかさ…」
「終わってる」
「予習とかしなくて大丈夫か?」
「半年先まで予習済み」
「復習ー」
「ーもすでにした」
「・・・」
「よし、やりましょうか!」
凛に口論で勝てる気がしない・・・
いや、今のは口論というより普段の凛が完璧すぎて声も出なかっただけか。
てか、ホント普段は完璧だな。なんでゲームだとあんなにもキャラが変わるんだ?
「じゃあ、今度は私がゲームを決めさせてもらおう」
「どうぞどうぞー」
凛が決めるゲームだったら凛が得意なやつだろう。
みんなも別に異論はないようだし。
「次のゲームはこれで!」
そう言って凛が取り出したのは
「「「「・・・人生ゲーム・・」」」」
いや、これはほぼ運の強さで決まるし確かに凛も何度かビリじゃないことはあったが・・・長い・・
でもこれで凛が勝てばそこで終わるわけだし、我慢しますか。
「まぁ、いいじゃろ。では順番はさっきの順位が悪い順でよいか?」
「「「「異議なーし」」」」
ということは凛→俺→紅→茜→華ちゃんというわけだな。順番が決まったら華ちゃんがテキパキとみんなにお金を配ったりして、準備する。
それぞれ3000円貰ってスタートだ。
1回目は1か2を出すと1000円、3~9を出すと5000円、10は10000円が貰える。その後、数に関係なく同じマスまで進む。
「じゃあ回すぞ」
凛の最初の数は・・・・・1・・・
「・・・べ、別にこんな程度気にしてないぞっ」
すごく気にしているっぽいな。
「ま、まぁ最初はどんな数でも貰える金額が違うだけで、マスは一緒なんだしいいじゃないか」
「そ、そうじゃ。それにこの時貰える金額なんぞ、最終的にはあまり関係なんのじゃからな」
「凛センパイ、まだ始まったばかりですよ!」
「凛ちゃん頑張れ~」
続いて俺の番だ。
俺は早く終わらせたいのでさっさと回す。
ルーレットの動きが少しづつ遅くなっていき、10から1に変わり・・・そうで10に戻ってきた…
「・・・」
凛が恨めしそうにルーレットと俺を睨んでくる。
「ほ、ほら次は紅だぞ」
「うむ」
紅、茜、華ちゃんの全員が回し終わり2週目に入る。
1週目の結果は
凛-1、俺-10、紅-10、茜-10、華ちゃん-10
となった。
凛はもう燃え尽きている。
嫌な予感を抱きながら俺達はゲームを進めた。
1時間後、やっと最後の人がゴールし、これから金額を集計する。最後の人とはもちろん凛である。
「結果発表です~」
華ちゃんがみんなの金額を聞いて発表に移る。
「第1位、37万9000円で私です~」
華ちゃんは運ゲーでも強いな~。
「第2位、25万6000円で海人くんです。
続いて第3位、22万1000円で茜ちゃんです」
俺も今回はついてたのか2位になることができた。
しかし、重要なのはここからだ。凛が4位に入ってないと1時間かけて行った意味が消えてしまう!
「では、第4位、ではなくて2人の金額を発表したいと思います~」
なんでわざわざそんなことを?・・・まさか凛のやつまたビリなんじゃ・・・。
「まず、紅ちゃんの金額は、17万8000円です~。続いて凛ちゃんの合計金額は・・・18万4000円です!」
え・・・ということは凛が勝ったのか・・・?
や、やったー!!!!
「借金が!!」
「・・・・・・・・・・・はい?」
「ですから、凛ちゃんの合計金額は借金18万4000円です~」
・・・まて、思考が追い付かない。
え~と、これはどういうことだ?
「じ、じゃあ妾は4位なのか?」
「そうですよ~」
「凛センパイがビリ??」
「そうですよ~」
凛がビリ?ということは当然
「~~~!!?もう1回勝負して!!」
こうなるわけだ…
てか、どうやったら借金を18万も抱えられるんだよ…
「妾も全部は把握しておらんが、株が貰えるイベントで妾たちより有利になった次の番に、株が大暴落というイベントに止まっておった気がするぞ」
なんという不運!
あいつ今日下校中に電信柱にぶつかって気絶とかしないよな?
「・・・するかもしれんの」
「そうか。って俺のプライバシー!!?」
「もとよりないじゃろ」
「あるわっ!」
最近は否定できなくなってるのが怖いです。
「みんなも別にいいようね。じゃあ次のゲームはまたトランプに戻って、ポーカーでもしましょう!」
あ。返事するの忘れてた。そしてそれを肯定と取られてまたゲームをする羽目に…
━━━━━━
てなことを何度も何度も繰り返し、こんな10時過ぎまでずっとゲームをしてるわけだ。
いつもは運要素が強いやつでたまに凛が勝って終わるのだが今日はとことん調子が悪いようだ。
ポーカーの次は七並べ、大富豪、一九三、ダウトなどなど・・・。
トランプもネタが尽きたらオセロ、チェス、囲碁などの1vs1で時間がかかるもの。まぁ相手が凛だから早く終わったけど。もちろん凛の負けだ。
最終的にはじゃんけんやあっち向いてホイやらをしていた。なのに今まで1勝もしていない。
ある意味才能かもしれないな・・・。
「わかったわかった。じゃがあと1回だけじゃぞ?」
「もちろん!今度こそ勝つよ!!」
どうやらまた勝負することになったらしい。
「それで、ゲームはなんなのですかー?」
茜が眠たそうに聞いている。華ちゃんはもうすでに半分寝ている状態だ。みんな疲れ始めて勝負は2人か3人でしている。あとの人は休憩だ。
「ダーツだ。今度こそ勝ってみせる!!」
なんでこの部室にダーツなんてあるんだ…
ダーツは紅が相手をするみたいだな。
じゃあゆっくり休むかー!
「終わったぞ」
「早っ!?」
今始めたばかりだろ!?
「凛が盛大に外して、妾が適当に投げたのが見事真ん中に刺さってしまったのじゃ」
「凛はどこまで負け続けるんだ…」
「凛が勝てるゲームを見つけなければ夜中までしてそうじゃな」
凛が勝てるゲームか…
「・・・あ」
「なんじゃ?」
「クイズの出し合いで勝負すれば凛、無敵じゃね?」
「・・・・・・」
眠そうにしていた茜たちも起き上がり、全員で挑んだ。そうして完膚なきまでに叩きのめされた。
・・・今度から困ったらこれして終わらせよう。
こうして天文部の地獄は終わった。
「ように思えたのじゃが…」
「変な台詞追加すんなよっ!?これで終わりだ!!」
いつものことなんですが、話が一気に進みますね。
もっとゆっくりしたペースで書けるようになりたい…
次話は星の話できるかな??