自己紹介
前回はぐだぐだで部員を紹介する時間さえなかったが、今回は真面目にやるぞ!
・・・いや、本当にやる気はあるんだよ?俺は。でもさ
「センパーイ、お腹減りましたー」
「私も空いたわね。なんか食べに行きましょうか?」
「妾は別に構わないぞ」
「いいですね~。あ、私美味しいケーキ屋知ってるですよ~」
・・・それをさせてくれないのがこいつらな訳ですよ。
「なんじゃ?海人は行かないのか。じゃあ一人で留守番じゃな」
「いつの間に行く事決まったんだよ!だったら俺も行くよ!!」
という訳で行く事になってしまった。
まぁ、歩きながらでも紹介することはできるし別にいいか…
学校の玄関を出たところで、腰の近くまである髪を揺らした一人の女の子が近付いて来た。
「海人君はどんなケーキが好きなんです?」
この子は小咲 華。天使のような笑顔がとても可愛い女の子だ。俺と同じ2年生で誰にでも優しく接してくれるいい子ちゃんだ。
「海人君聞いてるですか~?」
「あぁ、えーっと俺はチーズケーキが好きだよ」
俯いてた俺の顔を覗き込むように見てきて一瞬ドキッとした。ふんわりとした髪がいい匂いと共に鼻を擽った。
「へっくしょい!」
・・・擽られてくしゃみが出てしまった。
華が「あはは~」と苦笑いを浮かべささーっと離れて行ってしまった。
俺の天使が…
「一瞬たりともお主のにはなっておらんがの」
俺の前を歩きながら何を食べようか考えている子は桜井 茜。今年の4月下旬に入部してまだ2ヶ月しかたってない1年生だ。
とか思ってたら目があった。しかも寄ってきた。
「センパーイ!センパイはどんなケーキが好きなんですか?」
・・・それ2回目です。
「俺はチーズケーキが好きだな」
「そうなんですか!奇遇ですね!」
「なんだ?お前もチーズケーキが好きなのか?」
「いいえ、嫌いですよ?」
「じゃあ何で奇遇っつった!?」
「あ、間違えました。大嫌いです!」
「なぜもっと悪い言い方に!?」
「そりゃもちろんあれです!・・・あれです!!」
「どれだよっ!?」
こいつはよくふざけるから疲れる。だが、その後はいつも満面の笑みで俺を見上げてくる。それを見たら疲れなんて吹き飛んでしまうからどうにも憎めない。
「単純じゃの」
華ちゃんと話しているのは霧山 凜。黒髪ロングヘアーで常に落ち着いた口調は高2とは思えないオーラを周囲に放っている。
ちょうど話が終わったのか今度は俺に近付いて来た。
「海は何のケーキが好きなんだ?」
・・・もはや狙ってるんではないだろうか?
一応答えるが…
「俺はチーズケーキが好きだな」
「まぁどうでもいいけどね」
「じゃあなんで聞いたんだよ!?」
「うるさいわよ」
そっちがつっこませるようなこと言ってきたのに!
理不尽だ!!
でも凜の静かな雰囲気にはうるさいつっこみは確かに合わない。でもボケてくる。なんていうジレンマ!
「うるさいのぅ」
・・・そしてさっきから俺の心の言葉に茶々を入れてくるのが柊 紅。150cmもない身長で凛と同じ高2には見えない。中2の方が似合いそうである。
「気にしとるんじゃ!触れるでないっ!」
・・・だ、そうだ。
関係ないがこいつの紅と書いてくれないと読む名前や、髪がさらさらな真紅色ということは個人的にお気に入りだ。
「きゅ、急に何を言っとるんじゃ!恥ずかしいじゃろうが…」
後半の方が少し小さくなっていくのが可愛い(妹的な意味で)。本当の妹はこんなに可愛くないが。
「あ、そうじゃ。お主はどんなケーキが好きなのじゃ?」
「ぜってー分かっててやってるよな!?」
最後に俺が副部長の星空 海人だ。ちなみに部長は紅。本当は部長になりたかったんだが、星の知識に関してはまだ及ばないので納得している。
ちなみに"まだ"というところが重要だ。
と、まぁ特徴のない俺を含めた5人で天文部をやっている。
はい、自己紹介終了!疲れたー!!
「あ、補足じゃ。凜は妾のことをアカと、海人のことをバカと呼んでおるぞ」
「最後の補足で何嘘吐いちゃってんの!?」
天文部の日常はまだ1日も終わってない。