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てんもんぶっ!(更新停止)  作者: ソフトクリ~ム
16/17

再び訪れる地獄

一応この前書きにも書いておきますと、この前投稿済み小説を編集してたらPCがばぐって2話分消えてしまいました。さらに消えたうちの1話が話の途中だったのでなくなると流れがおかしくなってしまいます。本当に申し訳ありません。

「海人のできた妹の天音あまねです。よろしくお願いします」

「何ひとつできてないだろ・・・」


衝撃の邂逅かいこうを果たした後、天文部のみんなをリビングに通して着替えた天音も続いてリビングにやってきた。・・・ちなみに俺はその間ずっと倒れていることを義務付けられた。


「へ~、センパイに妹なんていたんですね~」

「あぁ、特に聞かれなかったから言ってなかったけどな」

「妾も初耳じゃぞ」

「別にお前にだけ特別に話す理由はないだろ?」

「それはそうじゃが・・・」


なぜか不機嫌になる紅と対照的に天音はずっとニコニコしている。

天音が入ってきたことによっておかしな状況になってしまったがどうしよう・・・。


「・・・そうだ。そういえば天音、BS2台持ってなかったか?」


今日の目的の根本的な部分を忘れていた。もしなかったら自腹ものなのに。


「あるけど・・・どうして?」

「よかった。今日はみんなでマリカーってゲームをしようって話なんだ。だから1台貸してくれ」

「へ~」


天音は俺と天文部のみんなの顔をぐるりと見渡してから面白いことを思いついた、とでもいうような表情をした。


「うん。そういうことならいいよ!」

「そっか。ありがと―――」

「た・だ・し!私も一緒にしていい?」

「う~ん・・・」


それは俺の一存で決められるわけじゃないからな・・・。

他の人の反応を伺ってみる。みんなも顔を見合わせてアイコンタクトで会議を始める。やがて結論に至ったのか紅が話し始めた。


「もちろん大歓迎じゃ!むしろ海人はいらんの」

「おいこら!」

「なんじゃ海人、ノリ気ではなかったんじゃないのかの?」


相変わらず卑怯なことで。そこはほら、いつも見たく心を読むなりして察してくれればいいものを!

・・・心を読まれることをいつものように、ってだいぶおかしくなってるな。


「まぁよい。では茜、説明頼むぞ」

「はいは~い。じゃあまず凛先輩と華先輩はこれどうぞ。・・・えっと~、天音ちゃん、だったよね?」

「はい!天音です!」

「じゃあ天音ちゃんもBS持ってきてもらえるかな」

「わっかりました~!」


天音はびしっ!と手を上げて返事をすると元気よくリビングを飛び出していった。


「あの~」

「ん?どうしたんだ華ちゃん」


天音が消えた後、華ちゃんが控え目に手を上げる。


「大したことではないのですが、長時間するとしたらここには全員が座れるだけのスペースがないようですので、足とか痛くならないかな・・・と」

「あぁ・・・」


確かにリビングにはソファーが置いてあるがせいぜい3人くらいしか座れない。

食卓の周りに木の椅子があるのだが、ゲームするときって騒いだりしてよく動いちゃうからなんか柔らかいソファーとかの方に座ってやりたいよな~。


「海、どこかみんな座れる部屋とかないかしら?」

「う~ん・・・」


少し考えるが思いつかない。

居間なんか畳でリビングより痛めそうだし、あとはそんな部屋なんか残ってないだろ。


「持ってきました~!・・・って何してんの海人?」


俺が腕を組んで唸っているとBSを両手に天音が帰ってきた。


「リビングじゃみんながソファーに座れないからどこかいい場所ないかって考えてたんだ。まぁ最悪ここでもできるし、俺と天音と紅が我慢すればいい話だ」

「なぜナチュラルに妾がソファーから外されておるのじゃ!?」


紅のツッコミはスルー。

これはリビングですることになるかな~。


「な~んだ、それならいい場所があるじゃない」

「は?」


簡単に言ってのける天音。そんな場所あったか?


「何悩んでんの?海人の部屋でやればいいじゃん」

「・・・はぁ!?」


簡単に言ってのける天音。本当に何を言ってるんだこいつは!?


「だって海人のベッドなら四人は座れると思うし、私と海人は座布団があればいいでしょ?もし座布団が嫌なら詰めれば私一人ベッドに座れるだろうし」

「俺だけ座れてないじゃん!あとそれならお前の部屋でもいいだろ!」

「分かってないな~、これだからバ海人は・・・。いい?年頃の女性である私はたとえ兄のバ海人でも入れたくないんだよ」

「バカと俺の名前を混ぜるな!そんなに上手くないからな」


だからそのドヤ顔やめろ。うざいぞ。


「それからお前この前俺を部屋に呼びつけたじゃねーか」

「はぁ?何言ってんの?」

「何言ってるって・・・この前のこともう忘れたのかよ」


だいたいいつも下ネタ言ってくるこいつに限って部屋に入れたくないとかありえないだろ。


「バ海人、そんな事実はありません。妄想も大概にしてください」


若干引いたように天音が言う。

というか実際この前あったことを言っただけなのに引くとか理不尽だろ。


「海人、お主妹にまで手を出す妄想をしておるのか。・・・キモイの」

「キモイわね」

「気持ち悪いです~」

「キモイですよ」

「・・・・・・・・・・」


さらに天文部の女性陣も天音に味方をする。

・・・うぅ、みんな天音のことを信じやがって!俺は頻繁に嘘を吐く狼少年じゃないんだぞ!

しかしこうなってしまっては俺が何を言っても信じてはもらえないだろう。


「さて、海人も静かになりましたし、みんなで海人の部屋に行きましょー!私が案内しますので着いてきてください!」

「「「はーい」」」


俺は諦めてみんなの後を追った。






「じゃじゃーん!ここが海人の部屋でーす!」


天音がバンッと勢いよく扉を開け、俺の部屋がみんなの目に入る。俺も後ろから自分の部屋を覗いてみる。

ベッドには漫画や小説が散らかり机には筆箱と教科書が広がってる。だが散らかっているのはそれくらいのものだ。自分でもそこそこはきれいにしているつもりだし、実際友達の家よりはきれいだろう。

・・・ただひとつ、床を覗いては。


「・・・海人、聞いてもよいかの?いや、絶対答えるがよい」

「は、はい。なんでせう」

「妾の目がおかしくなっておらんなら、海人の部屋の床には女物の服が見えるのじゃが」

「あ~、え~っと、はい、俺の目にも見えます」

「なぜじゃ、答えろ」


ノータイムで紅が聞いてくる。他の3人も無言でプレッシャーをかけてくる。

・・・なんてことはない、真相は昨日の夜に俺の部屋で漫画を読んでいた天音が寝間着に着替える時にそのまま置いていき、俺が掃除を怠っただけなのだが・・・天音の方を向き、視線でおいこら!と問い詰める。その天音は手を合わせて口パクで『ごめん、忘れてた。てへっ!』と伝えてくる。・・・口パクを読める俺は自画自賛だがすごいかもしれない。いや、天音ならたぶんこう言うだろうって予想もついたからだけど。


「はぁ~、海人、また私の寝間着を部屋に投げっぱなしで。乾いた洗濯物は早く畳んで欲しいな!先輩方聞いてくださいよ~、洗濯物を畳むのは海人の役割でいつも部屋で畳んでるんですけど何の恨みか私のだけはなかなか畳まないで部屋に投げっぱなしにするんですよ~」

「へ?ほ、ホントなのか?」


急にふられた俺は慌てながらもせっかく天音が作ってくれた言い訳に乗っかる。


「そ、そうなんだよ!天音の奴いつも俺ばっかりに任せるからつい最後の方に回してそんままほっといちゃうんだよ」

「まったく、今度から直してよね!」

「お、おう。気を付ける」

「むぅ、そういうことなら・・・」


俺と天音の二人が勝手に話を進めていると天文部4人も納得したように追及を止めてくれた。

今回は天音に助けられちゃったな。・・・もとを辿れば天音のせいだった。


「・・・それにしても意外と整っているんですね~。男の子の部屋ってもっと散らかっているのかと思ってました~」

「確かにそうね。そ、それより男子の部屋なんて初めて入るわ。緊張するものなのね」


凛にしては珍しくそわそわと落ち着かないように部屋を見渡していた。

対照的に茜はまるで緊張した様子がない。さっそく部屋にずかずかと入って物色し始めた。

・・・おい、そこには何もないぞ。だからいじるな!


「私は男子の部屋どころか家に入るのも初めてですね。あ、あと先輩の家に入るのも」

「わ~、よかったね海人!後輩の初めてを一気に3つも貰えるなんて!」

「初めてと言う割にはものすごいくつろいでおるの」


紅の言う通り、茜は本棚から漫画を取って読んでいてまるで自分の家のようにくつろいでいた。


「てかそれは紅も一緒だろ」


何度か入ったことがあるとはいえ、俺の机の上にある缶ジュースを勝手に開けて飲むとかフリーダムにもほどがありゃしませんか。とういか今日の目的忘れてないよな・・・?

不安になった俺は嘆息しながらみんなに尋ねる。


「なぁお前ら、今日何しに来たんだよ」

「「「「え?家宅捜索」」」」

「・・・あっ、そう」


みんなきれいに忘れてました。

俺一人だけBS片手にアホみたいじゃないか。

・・・いいよ、そっちがその気なら俺にだって考えがあるぞ。よし、もう寝る。朝から掃除して疲れてるんだ。寝てやる。

だから横になって漫画読んでる茜と一人さっさとゲームしてる華ちゃんと端に座って未だに部屋を見渡してる凛と俺を見てニヤニヤしてる紅と天音、ようは全員俺のベッドから降りろ!俺が寝れないじゃないか!疲れてるんだからゲームするか寝かせるかさせてくれ!

あとそこのニヤニヤしてる二人は確信犯じゃねえか!あーもう!!


「・・・お茶、持ってくる」


誰に向けたわけでもないが一人呟いてBSを机に置いてから部屋を出た。

リビングに着くなりごくごくと勢いよくお茶を飲む。大声を出したわえじゃないがとても喉が渇いた。主に精神的に。

あいつらにも持っていこうか少し迷ってから結局御盆に6個のコップを載せて部屋に戻った。


「おーい、お茶持ってきた・・・ぞ・・・」


ドアを開けて固まる俺。


「わわっ!ちょ、凛先輩、ウチまで爆発に巻き込まないでください!」

「ご、ごめん・・・。えっと、このアイテムは・・・こう?」

「にょわ!私までクラッシュしました!」

「天音も犠牲になりおったか。。なら妾は今のうちに華に追いつこうかの」

「甘いですよ紅ちゃん。私には無敵アイテムがあるのです!」


中ではみんなが楽しそうにゲームをしていました、まる。


「お邪魔しました・・・」


御盆だけ置いてそっとドアを閉めて部屋を後にする。

階段に体育座りをして顔を伏せる。

・・・あれ、おかしいな。視界が少しぼやけて見えるや。ははっどうしたんだろう。


「いや~、何も泣かなくても・・・」


部屋の方から天音の声が聞こえる。がスルーする。

俺の心の傷はそう簡単に癒えないんだ。


「だいたい勝手にいなくなるのが悪いんじゃないですか」

「そうじゃぞ海人。恨むなら自分を恨むんじゃな」


・・・このチビ悪魔コンビめ。


「「チビじゃない(わい)!!」」


内心で毒づきながらも部屋に戻る。何やってんだろ俺。


「あ、おかえりなさい海人くん。海人くんの分のBSも準備できてますよ~」


あぁ、華ちゃんは相変わらず優しいな~。


「華、それは言わない方が面白いわよ」

「あっ、そうですか~。海人くん、やっぱり準備できてませんでした~」


おい凛、こんな時にSな顔を発揮しなくていいんだぞ。まぁそれを上回る華ちゃんの癒しオーラがあるから落ち込んだりしない。

俺は出ていく前に置いといたBSを取る。確かに俺の分も登録されていたが動かす人がいなかったカートは当然すべてビリで0ポイントだった。

今のところ一位は30ポイントのヘーホーだった。おそらく、というか絶対華ちゃんだろう。

一回の勝負につき4レースで、一位が10ポイントのはずだからあと1レース残ってるはずだ。俺の次に順位が低いのは3ポイントのヘーホーだ。こっちは凛だろう。

まぁゲームだ。勝ち負けはあまり気にせずにゲームするとしよう。
















・・・甘かった。


「もう一回!もう一回勝負しましょう!!」


・・・忘れていた。凛の超絶負けず嫌いな性格を。

当然のように凛は4レース目でビリを取り最終順位でも俺に追い越されてビリに落ちた。

そしてこれまた当然のように再戦を申し込んでくるが再三当然のように負けてあの地獄のサイクルに陥っていた。

前回のようにクイズで勝負して終わらせればいいのだが、今日はマリカーをして遊ぶという集まりなので種目を変えにくかった。さらに凛も逆走するほど下手なわけではないので止まったり逆走したりというあからさまに手を抜くことができない。唯一チャンスがあったのは俺が復帰した最初の一回だけだったがそれは俺の『勝ち負けはあまり気にせずにゲームするとしよう』というクソくだらない考えによってついえてしまった。勝負するからには負けなければならなかったのに!あの時の俺にバカヤローって言いたい。


とまぁ嘆いても現状は変わらずレースはもう30回目くらいを迎える。回数が曖昧なのは疲れたからとしか言えない。


「くっ、また負けた・・・。もう一戦お願い」


このままではジリ貧だ。最初は負けず嫌いな凛を微笑ましく見ていた天音も事態を理解し始めるとげんなりしだした。理解者が一人増えてもこれは個人の勝負。やはり凛自身が上手くならないことには・・・個人?そういえばずっと忘れていたが確か部室で茜がチーム戦もあると言ってなかったか?


「・・・なぁ茜、このゲームってチーム戦ってあったっけ?」

「ほえ~・・・あ、あぁっ!そうでしたチーム戦です!チーム戦がありましたっ!」


うわごとのように返事をしてから一変、大声を上げて目に生気を取り戻した。周りを見ればみんなも同様にやる気を取り戻していた。それもそうだろう。約30レースを行ってようやく終わりの兆しが見えてきたのだから。


「凛先輩もチーム戦でいいですよね?」

「私はなんでも構わないわよ」


問題なく凛の許可も得られた。

ただ不安なのはチーム戦にしても個人の成績が表示されるかもしれないことだ。

チーム戦をやったことがないから分からないが、個人の成績の合計がチームの得点だと考えられる。そうするとチームの合計点だけではなく個人の得点まで表示されるかもしれない。そうなってはせっかくチーム戦にした意味がなくなってしまう。

なんとかそれも回避する方法を見つけなければ結局は終わりを迎えない。

なんとか茜に伝えようと必死に視線を送るが茜は『グッジョブですセンパイ!』とでもいいたげに親指を立てるだけだった。

・・・そうじゃないんだよおおおおおお!

心の中でどれだけ叫ぼうと茜に伝わる気配はない。


なんとか・・・なんとかいい方法は・・・!


「う~ん、でもチーム戦って言っても結局はさっきとやること同じですよね~」

「確かにの。ミニゲームみたいなものがあればいいんじゃが・・・」


ミニゲーム・・・ミニゲームかぁ~、って確か茜がそんなことも言ってなかったか?


「・・・なぁ茜、このゲームってレースの他にミニゲームってあったっけ?」

「へ?・・・あ、ありますあります!そういえば忘れてました」


・・・おい、忘れるなよ。この地獄を抜け出す重要なことなんだからよ。


「それってチーム戦もできるのか?」

「たぶんできると思いますよ。細かいルールはですね―――」




茜の話を総合するとこうだ。

一人3つまで同時に風船を膨らませられ、アイテムで攻撃されたりフィールドから落ちたりアイテムで滑ったりすると1つ風船が消える。消えた風船は膨らませられるが5回風船を失うと退場する。だが死んだらはい、おしまい、ではなくて他人からは見えない幽霊になり味方をサポートすることができるのだ。

これなら例え凛が早々に退場になっても凛のチームが勝てばチームプレーで勝てた、ということで凛も納得するだろう。さらに自分が何個の風船を消したかも分からない。対戦中は誰が何個の風船を持っているか表示されるが、誰かがわざと風船を膨らませず常に1つにしておけば凛も負けているとは思わないだろう。

・・・このゲームで俺は・・・俺たちは地獄から抜け出すんだ!






ミニゲームを始めること4回目。

ランダムで組まれた凛、華ちゃん、紅、茜VS俺と天音とCPU×2の対戦によって凛がようやく満足した結果となり、マリモカートは終了となった。

こんにちわごめんなさい。

色々あって約1か月間投稿ができませんでした。

そしてただいま絶賛テスト期間中です頑張ります(何を頑張るとは言ってない)。


短いですが後書きはここまで!


読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!

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