孤独な俺が非現実的なことを考えたストーリーは現実に勝てない
子供の時、大人の時、老人の時、人生で誰もが想像する理想があると思う
もし宝くじが当たったら、もしモテモテのイケメンになれたら
もし自分が女だったら、もし自分が男だったら、もし死ぬつらさを知っていたら
もし運命を変える力が自分にあったら、それがもしできたら
今の人生はどう変わっているのか
宝くじを買ってもないのに「当たったらいいな」とか呟いている奴に一つ言いたい
「買わなきゃ当たらないから!!!」
こんなことを考えている孤独な男がこの物語の主人公である
もちろん彼は、モテたことはない普通の顔、太っているというよりか痩せていて身長も165cmしかない、付き合った女性からは身長のせいで振られたこともあり、少しコンプレックスである
自分が女になったらどうなるのかなと少しだけ思ったことがあるが、完全なる女性になる方法がないため、あってもかなり高そうなので今後することはないだろう
たまに死にたいと思い自殺未遂三件起こして、やっときづく、死ぬって分からないから怖い、怖いからできないのだと、彼がもし死を知ったらいつでも死ぬのだろうか謎だ
こんな人生の彼は人生を変える力を欲したがそんなもの簡単に手に入るわけでもないし
あるのかが謎だ
そんな彼は一つだけ、人生を変える方法にたどりつく
「そうだ、考えるだけなら犯罪じゃないと、我が父が教えてくれたではないか」
それから彼は、恋愛物語、英雄物語の二種類で様々な自分を作った
涙が出るような悲恋の主人公、頭がよく運動もでき人間すら作り出せる博士
特殊な能力の付いている剣を振り回し絶対に負けない戦士
剣と銃が合わさった武器しかない世界の孤独の剣銃士
どの世界の自分も理想の自分、のはずだった
考えていくうちにそれはまるで自分のストーリーではなく誰かの記憶を眺めているような不思議な感覚になったのだ
そして、その物語を考えなくなってしまう
そう、現実で一つだけ架空の世界でこそ叶ってしまった物語があるのだ
ネットの世界での人気者
実際は人気者になりたかったが、なにもかもがうまくいかず人気者にはなれなかった
ネットでだけ人気者になれた彼は現実と非現実の境であるネットで自分の考えていたストーリーを始めているのであった
そのサイトではマイクを使いネット環境がある者と会話ができた
始まりは現実のせいにして、逃げただけの男
高校デビューというものは人生で一番大切なことだ
キモオタである自分がみんなから好かれるには面白い話をしなければ!!!
そんなことを考えていた高校一年生の一学期
色んな友人が一気にできた、中学の友達と一緒に最初から部活を作るというイベントにより話しかけるきっかけはいっぱいあった
もちろん女子とも話していた
中学で出来なかった事を全てしようとしたのが人生最大の間違いであった
冷やかしのいじめだ
例えば、仲間同士で俺の机にいっぱい落書きを書いたが
見慣れない文字で「死ね!!!バカだろ?!」見た時は仲間の誰かがふざけて書いたものだと思い無視していた
物には常に重力の影響を受けている地球でどうやってパンのごみが机の中に入っているのか
しかも自分のだけ、だが有名な不良校のためこんなこともあると俺は勘違いしていた
いじめに気付いたのは授業の時にノート開いた時だ
子供みたいないじめだ、ノート二枚に大きく「死ね」「SEX」と書いてあるのだ
それを見た時、涙があふれた俺はいじめられているのだと
二学期は授業以外でイヤホンを外さない生活が始まる
音楽の世界に逃げ今の現実を忘れるためだ
その時にやっていたブログの友達に通話したいと言われた
正直、ネットの人は初め怖かった
顔もなにもしらない人といきなりの通話である
パソコンの無料ソフトで通話できるのがあると聞き、それをダウンロード中の時にこう思った
そういや、家族以外の人と話すのはいつぶりだろう
その相手は優しく良い声をしていた
年下のはずなのにそんなことを考えられないぐらい気軽に話しかけてくれた
そして
「すっごい声良いじゃないですか!!!声を使うサイトありますけど、一緒にラジオをしてくれませんか!!!」
初めてこれほどはっきりと褒めてくれたのは孤独だった自分にとっては嬉しいことだった
教えられたサイトは無料で通話を楽しめるサイトだった
もちろん、声を録音して音楽などと合わせて投稿することもできる
この世界では声だけしかなかった、一週間で俺の顔も見たことない人が告白してきた
人生で初の告白してくれた人はネットの人だった
それからは楽しい毎日だった、ネットの人達と話すたび
「うはー!イケメンボイスですね!!声優とか目指せばいいのに!!」
「私だけの声だけの彼氏になってください!!!」
「他の人と話さないでよ、もうモテモテっていいよね」
こんな言葉を言われる毎日、そこには俺を求めてくれる人達がいた
俺はこの時、ネットに逃げたのは現実のせいだと思っている
自分が人より怖がりのせいなのだがな
一ヶ月後には彼女が出来ていた、まぁネットのだ
彼女はかわいく、いつでも話してくれる、好きなゲームを一緒にやり
好きなアニメを話してくれる
ただ、距離が遠くて会えてなかった
俺は自分の事を何かの主人公と勘違いしていた
そう、数人を恋愛シュミレーションゲームのように自分の事を好きにさせ
告白してきては彼女がいるからと振っていたのだ
それが楽しくてしょうがなかったとき
告白してきた女からある言葉がでた
「彼女いてもいいから私と浮気してください!」
人生初の二股もネットであった
これがまた楽しかった、まさか浮気でもいいから付き合ってほしいという人がこの世の中にいることと
俺のことをそこまで愛してくれる女が、だが彼女に申し訳ないと思い、二か月後に振った
その日、彼女が喜ぶと思いそのことを言った
「お前を俺は選んだ」と、
昔の人のことわざは良く知っておくべきだ
言わぬが仏、まさにそうだった
数か月後、本当に愛せるかもしれない女に、初めての彼女に振られた
これはひどく当たり前の現実だった
そして非現実的な事をし始める、そう七股だ
七人の人と付き合ったのだ、現実ではなかなかできない浮気はネットだと簡単にできた
そして、数か月後、高校二年生の時に
初めての恋のように心が輝く女と付き合っていた
七股していた俺はその人以外を全員振り、ネットで彼女ができたと堂々と発表
数うちゃ当たるということわざはこのためにあるのではないかと思った
だが、その過去を誰かが彼女に話して、また振られた
それからは二股、七股はしなくなった
その後もネットのことを優先してしまった人生は進路フリーターという現実であった
結局現実には勝てないのだ
そうこれが俺の現実だ
※フィクションかもしれない話