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母さんは今、毎日のように精神科にかかってる。父さんとは離婚してないけ ど。と、小説か映画の内容を話すみたいに軽い口調で、星夏は語った。


「男はやっぱり、ろくでもないね」


私に言えるのは、それだけだった。


怒ると思ったのに、星夏は笑っていた。


「そうだね、本当に、ろくでもないね、 男ってのは」


「……」


「ま、俺と『そういう男』は、別なんだけどね」


「え? アンタだって男だし」


私は苦笑する。


「だって俺、父さんや母さんとは違う人 格だと思ってるから。だから大丈夫」


「え?」


無理してる風でもなく、星夏は自然な言 い方をした。それは、本心なの?


「でも、シラユキちゃんは違うよね」


「え?」


「親の人生に、影響受けてると思う。すごく」


「……」


「だから、かたくなに他人を拒んでき た。違う?」


心の中を言い当てられて、私は動揺し た。耳たぶを中心に、顔と体が熱くな る。


私は、ママやパパに影響されてきた。


「他の世界を知ったら、シラユキちゃん は変われると思うよ」


「他の、世界?」


「教えてあげるよ、俺が。シラユキちゃ んがシラユキちゃんらしく幸せになれる 世界を」


「私が、私らしく?」


今の私は、私じゃない?


「今のシラユキちゃんも、シラユキちゃ んだよ。その土台をかてにして、 新しい道を作ろうよ。シラユキちゃんだ けの、誰にも壊されない世界を」


「それって、どうやるの?」


「自分の奥を、深く深く見つめればい い」


「奥を、深く? どういうこと?」


星夏の言うことは、私にはちょっとむず かしい。でも、すぐに分かった。


「シラユキちゃんの言う『下僕』は、シ ラユキちゃんにとって必要? なくても 大丈夫なものを、無理に作ってない?」



どうだっけ……。下僕は、私を下に扱う 男子を作らないための手段でしかなく て、心から欲しかったものかと言えば、 そうじゃない気がする。




「愛が欲しかったんじゃない? ビクビ クしなくて済むような、傷ついても柔ら かく包み込んでくれる居場所が欲しかっ たんじゃない?


こわいかもしれないけど、心の中を見つ めてみて? シラユキちゃんのために」





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