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「アンタのことなんて、興味ないから。 こうやって関わってることすら、時間の ムダ」


岬星夏を無視して歩き出す。私の歩みを 止めたのは、悔しくもこんな言葉だっ た。


「傷ついてるんだな、不機嫌さんは」


だから、その呼び方はやめてよ。


私は立ち止まる。言い返してやろうと睨 み付けてやると、星夏は穏やかな顔で 言った。


「俺は興味あるんだけどな。不機嫌さん に」


「アンタも私の下僕になりたいの? 考 えてやってもいいけど」


私は得意気に言ってやった。こういうセ リフを放つのは得意だ。私に好意を持つ 男子は、今までたくさんいた。外見に手 を加えれば、フラッとする。男子なんて 皆そう。


岬星夏だって、きっと同じだ。喜んで私 に利用されたがるはず。


そう思って疑わなかったのに、


「冗談やめてよ。俺、下僕になんかなる 気さらさらないから」


はあ!? だったら、興味あるとか言わ ないでくれる? こいつ、マジでウザ イ。


星夏との会話を切るように、私は再び歩 き出した。昇降口も目の前。


「俺は、不機嫌さんと友達になりたい。 下僕なんてヤダ」


「ヤダとか言われても…。私はアンタと 友達になんかなる気ないから」


つーか、友達なんていらないから。


中学の頃信じてた友達は、陰で私の悪口 を言ってた。だから、恋愛同様、友情な んて甘いもの、私は求めないことにしてる。


「へえ。そっか。なるほどね」


星夏は私の横に並び、訳知り顔でうなず く。


「信じたり、期待したりって、不機嫌さ んにとってはハードルが高すぎた?」


「あ?」


私は低い声で答える。イラッとした。


「さっきから何なんだよ、いったい」


星夏の胸ぐらをつかみ、私は言った。


「ウザイって言ってんだよ。私は誰とも 馴れ合う気ない。人の領域に、ズカズカ 入ってくんな!」



星夏のセリフは、私をおかしくする。


こんなに感情が高ぶったのは久しぶり だった。


下僕に言うことを聞いてもらう時にも感 じなかった、しいたげる快感とは違う感 覚。


次々に登校してくる他の生徒達が、私達 を遠巻きに見ているのが分かる。



「ごめんっ、不機嫌さん」


星夏はうろたえ、謝る。







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