生まれた後の早め薬
なぜか、亜衣と宇絵が仲良くなっていたその日の放課後。
「しかし、現実ってのは残酷だよな……。電気屋に行っても部品がなかったらどうするか……」
と、虚空に言ったつもりだったのだが、
「本当にそう思うよ。なんなんだろうね、現実って」
「うん、俺としては宇絵がどこから聞いていたのかが気になる」
またしてもこの女め、独り言を聞くという最悪の行為をするもんだ。
「もちろん、『全国の〇カチュウファンに謝れ!!』ってところかな」
「いつの話だよッ!! 俺は放課後の話をしてるんだ」
「放課後の話……? ハッ!! まさか、私と――――」
「私と?」
「デ、デ………」
「デ?」
あ、まさか電気屋ついて行ってくれるのか!? でも、女子に迷惑かけるのもなぁ……。
「私とデ、デ―――――――――――――」
「いや、宇絵には迷惑かけられないし俺は……須和君と行くから」
須和ってのは昼のせん〇くんの名前らしい。正直、知らなくても生活できそうだが。
「えっ!!」
「え? 男二人でっておかしいか?」
「そりゃ!! あ、いや、でも否定は出来ないっていうか……。それでも高校生にしちゃハードル高いって!」
「周りのみんなは男5人でカラオケとか行ってるけど」
「5人!! とんだ猛者も身近にはいるもんだね……」
宇絵は半分魂が抜けている状況だが、何がこんなにしたのかが全く分からない。中学の時にやった『走れメロス』並に分からない。まあ、読解力が低いってのが9割強あると思うが。
「まあ、俺は須和君と一緒に電気屋行くからまた明日な」
「アーメ………………ンッ!! で、電気屋!? デートじゃなくて?」
「は? なんで須和君とデートしなきゃならないんだよ。じゃあな」
「え、あ。…………バイバイ!!」
俺は後ろを振り向かず手だけを振った。
「こうでもしなきゃ宇絵ついてくるからな……。いい巻き方したぜ、本当に」
「ねえ、巻くって?」
「うわぁっ!!」
やばい、殺される!! スクール〇イズ並に八つ裂きされちまう。それだけは……。それだけは!!
「だ、だ、だからなんで独り言を聞く習性がお前にはあるんだ?」
「ねえ、巻くって?」
「はい! 巻くとは、コードを巻いたり……といったことです!!」
「ねえ、巻くって?」
「逃げるとか、そんな意味だった気がしなくもないです」
その後、事情を話すまで色々な仕打ちを受けたのは言うまでもないだろう。
本当に、更新が遅れて申し訳ございません。自称短編のこちらのほうは都合があえば書く次第でございます。




