プロローグ2
彼は大学2年生。私も高校2年生。2しか合ってないけど。
免許は取ったばかりだけど、恭ちゃんの運転は上手かった。
お父さんの中古車を今まで使っていたから、来月には自分のを買うって言っていた。
「車買ったら、絶対弥奈が一番最初に助手席乗るんだからねッ」
「ああ、分かってるッて。でもさァ、日曜には間に合わないと思うけど」
「いいよ。新車買ったら、その分いろんな所連れてってもらうから」私は笑って言った。
彼は、一瞬止まったように感じた。
「可愛いーコト言うな、弥奈は」
いつも通りに戻る恭ちゃん。
けど、…どこか…何かが違う、恭ちゃん。
日曜の約束をして、その日の電話は終わった。
日曜に約束したのには、理由があった。
その日は、恭ちゃんの誕生日だったから。
恭ちゃんは、自分から 「祝って」
とは、ノリでも言わない。だから私も、当日まで言うの我慢して、恭ちゃんをビックリさせたい。
今年はこの日のためにお金貯めてたから、お金は気にせず選べる……ハズ。
今日は水曜日。明日は6限授業で、4時前には学校を出られる。
(明日恭ちゃんのプレゼント買おうッと)
何を買おうか考えながら、私は眠りについた。
恋人の誕生日は、自分の誕生日よりも特別な日。
大切な人をお祝いしたくて、相手の喜ぶ顔が見たくて、世界中の恋する人は頑張っている。
私もその中の一人で、60億人もの中から、私たちは出会えた。
生まれた国が違ったら、生まれた時代が違ったら、もしかしたら恭ちゃんの名前すら知らなかったかもしれない。
だから、恋人の誕生日は特別なんだよね。
恭ちゃんが生まれてきたコトに感謝。
恭ちゃんと出会えたコトに感謝。
誕生日を二人で祝えるコトに感謝。