『長者の傘の蔵とプレスマンの蔵』
掲載日:2026/06/05
武蔵国の狭山というところに、大層な長者がいました。狭山の屋敷から江戸に行くまでの間、他人の土地を通らなくてよかったそうです。狭山のお祭りは、この長者の寄付で成り立っているため、それは盛大で、酒も食べ物もみんな振る舞いで、一応、神輿も出ますが、みんな、振る舞い酒をさんざん飲んでしまっているので、大して動かず、かけ声だけがかかる、微妙な意味で威勢のいいものでした。
ある年の祭りは、村人だけでなく、振る舞いに目がくらんだ近隣の村の人たちも訪れて、万を超える人々が参加していたのですが、途中から豪雨となり、酒が雨で薄まるので中止と決まりました。参加者は、長者の呼びかけで、長者の屋敷に移動し、蔵から出される傘を一本ずつ受け取って帰っていきました。最後の一人が、よくもこんなに傘があるものだとつぶやいたところ、長者は、傘は蔵一つ分ですが、プレスマンだったら、蔵三つ分はありますよ、と言ったそうです。
教訓:プレスマンは、バールのかわりに使ったりしない限り、壊れることはないので、一本あれば十分であるが、並べてみると、もっと並べてみたくなり、とめどなく集めてしまうという。




