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※閲覧注意 「幼馴染の定義」とはいったい何なのだろうか  作者: 霜月轟轟(しもつき ごうごう)


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PART.5


「――さて、誠也。あんたのこの、ゴミみたいな成績表をどうにかするわよ」


放課後の生徒会室。美香は俺の成績表を指先でつまみ、汚物を見るような目で眺めていた。


「社会95点。……あんた、前世は地図帳か何かだったの? 無駄な知識だけは豊富ね。でも、数学20点に国語45点……。論理力と感受性が、生まれたてのプランクトン以下だわ。これじゃあ私の『完璧な彼氏』じゃなくて、『散歩中の知能が低いペット』よ」


「うるせえよ! 社会は好きなんだよ! 国語はあいつらの『作者の気持ちを答えろ』ってのが納得いかないんだ。俺は俺の気持ちで生きてるんだよ!」


「はいはい、その幼稚な反抗期はあとでじっくり『処理』してあげるわ。まずは数学ね。昨日教えた関数のグラフ、覚えてる?」


美香は俺のノートに、昨日よりもさらに「際どい」曲線を書き込んだ。


「いい? このグラフは女の足のライン。そしてこの変域はガーターベルトの締め付け。……あら、また顔が赤いわね。そんなに私の脚に挟まれたいのかしら? 20点の脳みそでそんなこと妄想するなんて、おこがましいにも程があるわ」


「お前がそう言ったんだろ! つーか、普通に教えろよ! なんで数学の公式が全部R18指定みたいなニュアンスになるんだよ!」


「あら、数学だけじゃないわよ? あんたが苦手な国語……特に古文なんて、私にかかればただの『千年前の官能小説』なんだから」


美香は古文の教科書をパラパラとめくり、あるページを指差した。


「この『をかし』っていう表現。わかる??」


「趣があるって事だっけ??」


「そんなつまんない覚え方しないの!!これ、現代風に言えば『マジ最高、イキそう』って意味よ。平安時代の連中なんて、毎日やることなくてセッ〇スのことしか考えてなかったんだから。この掛詞かけことばも、全部ダブルミーニングの卑猥な隠語だと思えば、あんたのその卑屈な脳みそでも一発で覚えられるでしょ?」


「……古文の先生が聞いたら、ショックで出家するぞ、その解釈」


「いいのよ、テストで点が取れれば。……次は英語ね。まあなかなかできてるわね……じゃあと・く・べ・つ・に、もっと点数が取れる方法を教えてあげるわ。英語の構文は、攻めと受けの『ポジション』で覚えなさい。S(主語)がV(動詞)する……つまり、どっちが上で、どっちが挿入される側か――」


「やめろ! 英語が全部そういう風にしか聞こえなくなるだろ! 『I have a pen』がとんでもない意味に聞こえてきたわ!」


「あら、誠也の『ペン』なんて、そんな大層なものじゃないでしょ。せいぜい『折れたパステル』くらいじゃない?」


「誰が折れたパステルだ! まだ使ってねえわ!」


「……へぇ。……『まだ』使ってないんだ?」


美香が、一転してトロンとした、そして獲物を見つけた蛇のような瞳で俺を見つめる。 至近距離。清楚な石鹸の香りと、彼女の毒のある吐息が混ざり合う。


「……じゃあ、五教科合計で神崎に勝ったら、あんたのその『未使用のペン』、私が使いこなしてあげてもいいわよ?」


「……っ」


「……なーんてね。あんたみたいな20点の男に、私の最高級のテクニック (※勉強の教え方の意)はもったいないわ。……さあ、次は理科よ。人体模型の図を見なさい。この生殖器の構造を――」


「理科は前回55点あるから、そこは普通にやらせろ!!」


窓の外では、夕日が教室を赤く染めていた。 俺の叫び声が、誰もいなくなった校舎に虚しく響く。 五教科合計勝負。 それは、俺の学力が上がるのと引き換えに、俺の純潔な精神が美香の毒によってドロドロに溶かされていく、終わりのない拷問だった。



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