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※閲覧注意 「幼馴染の定義」とはいったい何なのだろうか  作者: 霜月轟轟(しもつき ごうごう)


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PART.2 生徒会室は、嘘と欲望と罵詈雑言の密室である

パタン、と重厚な扉が閉まり、鍵が掛かる音が響く。 その瞬間、ついさっきまで廊下で「誠也くん、放課後もお仕事頑張りましょうね」と微笑んでいた聖女の顔が、一瞬で……これは何といえば伝わるのだろうか……悪く言うなら、まるで「産卵期の肉食魚」のような凶悪なものに変貌した。


「あああああ、マジで疲れる! マジでこの学校の生徒にはバカしかいないのか??県内トップのエリート校だぞ!!誠也、さっさとその貧相な尻を椅子から退けなさいよ。私が座るんだから、あんたは地べたで私の靴でも舐めてればいいのよ。あ、でもダメね。あんたの不潔な唾液がついたら、私の靴の資産価値が暴落するわ」


「おい、座るなり暴言のフルコースかよ。つーかお前、総務だろ。仕事しろよ、広報の俺に押し付けんな」


俺、黒峰誠也 (生徒会広報)は、ふんぞり返って机に座る白雪美香 (生徒会総務)にツッコミを入れる。


「うるさいわね。広報なんだから、私の『清楚で慈悲深い日常』を全校生徒にプロパガンダするのがあんたの仕事でしょ。……ねえ誠也、さっきの昼休み。あんたに話しかけてたあの女、誰? あの絶望的に語彙力のなさそうな顔。たぶん前世はアメーバか何かね。あんなのと喋ってると、あんたの数少ない脳細胞まで腐って、実質的なバイオテロになるわよ」


「ただのクラスメイトだ! 誰がアメーバだ! お前の独占欲は、もはやストーカーを通り越してただの監視欲求になってんだよ!」


「独占欲? 冗談はやめて。私はただ、自分の所有物のゴミが他の汚物に汚染されるのが嫌なだけよ。……ほら、早くこっちに来なさいよ。私のこの肩の凝り、あんたのその無駄に頑丈な指で……」


その時。廊下から騒がしい足音が聞こえてきた。

「――っ!」

美香の顔が、コンマ5秒で「純度100%の清楚な少女」に書き換わる。


「……あ、誠也くん。資料の整理、手伝ってくれてありがとうございます。本当に助かります……」


ガチャリ、と勢いよくドアが開いた。


「白雪様! 今日のあなたの活動報告は、まるで神話の一ページのようでした! ――って、おい黒峰。貴様、なぜ美香様の隣にそんな当然のようなツラで座っている? 許可を得たのか? 跪いて許可を求めたのか?」


入ってきたのは、会計の一年、 神崎勇清かんざきゆうせい。自他共に認めるイケメンだが、美香を「女神」と感嘆しすぎて脳のネジが数本飛んでいるようにしか思えない。


「神崎さん、そんな。誠也くんは、私の不慣れな仕事を支えてくれているだけですから……」


(おい誠也、あの金髪のバカを今すぐ窓から放り投げなさい。視界に入るだけで私の角膜が金メッキで汚れるわ――と言っているようにしか思えない視線の圧が美香から飛んでくる)


「いや、俺も仕事だし……」


「黙れ! 美香様をたぶらかす不届き者が! 表に出ろ、黒峰! どちらが彼女の隣にふさわしいか、決闘で決めてやる!」


「……神崎、うるさいぞ。会長が耳を塞いでいらっしゃるだろうが。お前の声は校内のデシベル制限を超えている。死罪に値するぞ」


「……立花。そこまでは言っていない。……でも、少し騒がしいわね」


続いて入ってきたのは、副会長の水口渉みなぐちわたると、生徒会長の氷室由井ひむろゆい。 立花は氷室会長を「神」として崇拝しており、6年間一途に彼女の後ろを歩き続ける執着心がある。 対する氷室会長は、すべてを見透かすような鋭い瞳で、美香を一瞥した。


「あら、会長。お疲れ様です。お茶を淹れましょうか?」


「……いいわ、白雪さん。あなたはいつも完璧ね。……『完璧すぎて』、時々何が本当なのか分からなくなるけれど」


「……うふふ、光栄です」


美香の頬が、一瞬だけピクリと動いたのを、俺は見逃さなかった。 氷室会長 ーーこの人は、美香の「嘘」を直感的に疑っている、この学校で唯一のキレ者だ。


「さあ、水口、神崎さん、仕事に戻りましょう。黒峰くん、白雪さん。二人も……仲良く、ね?」

会長が去り際、俺にだけ「お疲れ様」というような、憐れみを含んだ視線を送ってきた気がした。

扉が閉まり、足音が遠のく。三人が生徒会室からいなくなった ……そして、一秒後。


「ーーっの、あああああああああああ!!!クソ金髪! 次にあいつが部屋に入ってきたら、口の中にホッチキスの針を100本くらいブチ込んでやるわ! 決闘? 脳みそが中世で止まってんのか! 会長も会長よ、あの女、絶対に私のこと『性格悪い』って確信して楽しんでるわ! 最悪! 性格悪すぎ! あー、もう、誠也! さっきのあいつの暴言、慰謝料として今すぐここで脱ぎなさい! 今すぐよ!」


「なんで脱がなきゃいけないんだよ! そもそも、一番性格悪いのはお前だろ!」


俺の胃に、また新しい穴が空いた音がした。 これが、私立東高松第四高校生徒会の、誰も知らない日常である。

そんな俺らだが、9月に大きなイベントを二つ控えている。一つは三週間後に控えている文化祭。そして、あと二週間で迫ってくる、中間テストである。

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