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※閲覧注意 「幼馴染の定義」とはいったい何なのだろうか  作者: 霜月轟轟(しもつき ごうごう)


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PART.28 封印されたデータと、深夜の「実演」テロ

本日、12時、新作出します!

溜息をつきながら歩く夜道。住宅街の街灯の下、待っていたのは沙耶香だった。


「……黒峰くん。これ、受け取って」


彼女が差し出したのは、レンズが粉々に砕け、外装が歪んだ古いデジタルビデオカメラ。


「これ……美香が壊したのか?」


「そう。小学校の卒業式の日にね。……でも、美香はバカよね。あの子、機械には疎いから。カメラ本体を壊せば中身も消えると思ってたみたいだけど、内蔵メモリーのデータは生きてたわ。……もう、あんたのスマホに送っておいたから」


「……は?」


ポケットの中でスマホが震える。通知画面には、沙耶香からの大容量ファイル送信完了の文字。


「中身を見て。……あんたが『事情がある』なんて庇っているあの子が、どれだけ残酷に、私たちの『希望』を笑いながら踏みにじったか。……それを見ても隣にいられるなら、あんたも同罪よ」


沙耶香はそれだけ言うと、闇に消えていった。


自宅に戻り、自分の部屋で鍵をかける。 画面に表示された「動画ファイル」をタップしようとした、その時だった。


――プルルルルルッ!!


美香からの着信。反射的に出ると、スピーカーから爆音で「艶っぽい吐息」と、いかにもなゲーム音声が流れ出した。


『――誠也ぁ。唐揚げ、届いたわよ。揚げたてで美味しいわ。……さあ、デザートは私の「実演」よ。……あぁ、ご主人様、そんな……そんなに激しく、私の……』


「声が大きいわ! 親が隣の部屋にいるんだよ! そもそも発熱はどうしたんだよ!」


『あら、あんたの奢りの唐揚げを食べたら「疼き」が治まったわ。……ねえ、誠也。あんた、今さっき沙耶香から何か届かなかった? 私のスマホが、あんたの端末の通信ログに「不純なノイズ」を感じたって言ってるんだけど』


「(……こいつ、俺のスマホをどこまで監視してやがるんだ!?)」


美香の声が、一瞬で温度を失う。


『……そのデータ、再生しなさい。……ただし、私の実演を聞きながらよ。あんたの脳が、過去のゴミデータで汚染されないように、私の「今の声」で上書きしてあげる。……さあ、再生ボタンを押しなさいよ、管理人さん?』


俺は震える指で、沙耶香から送られた動画を再生した。 画面に映し出されたのは、小学校の教室。


そこには、泣きじゃくる沙耶香たちを冷めた目で見下ろし、カメラをハンマーで叩き壊す美香の姿があった。けれど、彼女がカメラを壊した直後、画面が揺れて美香の顔がアップになった瞬間。


カメラを見つめる美香の瞳は、笑っていなかった。 いや、むしろ……。


「……誠也、聞こえてる? ほら、もっと集中しなさい。……私の、濡れた瞳 (の演技)を見て、あんたの理性が崩壊する音が聞きたいわ……』


スピーカーからは、美香が演じる「ご主人様におねだりするエロゲーヒロイン」の、耳が腐りそうなほど甘ったるい声が響いている。だが、俺は音量を最小限に絞り、スマホ画面の中で再生される「過去」に全神経を集中させた。


ノイズ混じりの動画の中。カメラをぶち壊した直後の、小六の美香が独り言を漏らす。


『……これでいいわ。誠也が広島に行って、私が独りになっても……。このカメラに映ってる「仲良しごっこ」の思い出なんて、あいつには必要ない。……誠也の記憶には、私との「地獄」だけが残ればいいのよ』


「(……っ!?)」


あまりにも歪んだ、執着の声。 美香が当時、沙耶香たちの思い出を破壊して回ったのは、ただの嫌がらせじゃない。俺の記憶から「自分以外の他人の痕跡」を消し去るための、焦燥に駆られた独占欲だったのか。


『――ちょっと、誠也ぁ! 聞いてるの!? 今、私が一番「濡れた」演技をしてるのに、なんで無言なのよ! あんた、さては私の喘ぎ声を聴きながら、自分の筆箱でも愛でて賢者モードに入ってるんじゃないでしょうね!?』


「入るかバカ! ……もういい、寝るぞ! 唐揚げ代、明日返せよな!」


俺は逃げるように通話を切り、ベッドに倒れ込んだ。 あいつは昔から、俺を檻に閉じ込めようとしていた。その「呪い」は、今も形を変えて続いている。

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