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※閲覧注意 「幼馴染の定義」とはいったい何なのだろうか  作者: 霜月轟轟(しもつき ごうごう)


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PART.9 結果は一目瞭然

一週間の採点期間を経て、ついに運命の結果発表の日がやってきた。 生徒会室の机には、返却されたばかりの五教科の答案用紙が並べられている。


「……さて。誠也、あんたの『ゴミ捨て場の残骸』を数え上げなさい」


美香は脚を組み、優雅に紅茶をすすりながら俺の結果を覗き込んできた。


英語:88点(平均68点)


理科:58点(平均39点)


社会:100点(平均75点)


国語:81点(平均57点)


数学:75点(平均55点)


「……合計、402点。……おい、嘘だろ」


俺自身、自分の点数に震えた。前回の286点から、実に116点ものアップだ。 特に、美香の「古文官能小説化」で覚えた国語と、「攻めと受けの構文」で覚えた英語の伸びが異常だった。


「ふん、まあまあね。社会の満点は当然として、数学が75点? あの私の熱心な指導を受けておきながら、25点分もこぼしたの? あんたの脳の容量、初代i〇hone並みね」


「これでも必死だったんだよ! 答案用紙の余白に『脚の曲線』って書きそうになるのを必死で耐えた結果だぞ!」


「うふふ、そう。……で、そっちの金髪のバカはどうだったの?」


美香が冷ややかな視線を向けた先には、魂が抜けた顔で膝をつく神崎勇清がいた。 神崎の合計点は370点。進学校の会計として十分な高得点だが、誠也には届かなかった。


「……負けた。……この、俺が。美香様を崇拝し、美香様の清らかさを糧に勉強してきたこの俺が……! なぜだ! なぜ黒峰のような不潔な男に後れを取ったんだ!」


神崎が嘆きながら、生徒会室に入ってきた。いつも通り、コンマ5秒で「純度100%の清楚な少女」にわる。



「答えは簡単よ、神崎くん」


美香が席を立ち、神崎の前に歩み寄る。その顔には、一分の隙もない「慈悲深い聖女」の微笑みが張り付いていた。


「誠也くんはね、私の指導を……その、文字通り『全身』で受け止めてくれたから。神崎くんの愛は、まだ形に囚われすぎていたのかも知れませんね?」


「……! ああ、なんという……! 美香様、そのようなお言葉を不浄な男に……! くっ、約束だ、黒峰! 今期の広報経費は、俺の権限で倍にしてやる! だが覚えておけ、俺はまだ諦めたわけではないからなッ!」


神崎は号泣しながら生徒会室を飛び出していった。 ……扉が閉まる。鍵が掛かる。


「――はあ。やっと消えたわね、あの金ピカの公害。ねえ誠也、聞いた? 経費、倍よ。これで私の『教育用 (意味深) PCゲーム』、全巻揃えられるわ。あんた、いい仕事したわね。ご褒美に、後で私の使い古したストッキングでも頭に被らせてあげましょうか?」


「いらねえよ! 誰が喜ぶんだよ!」


「冗談よ。……それより、誠也」


美香が机に置いてあった自分の答案用紙を、俺の目の前に滑らせた。


五教科すべて:100点


全教科、満点。一問のミスも、一文字の誤字もない。 圧倒的なまでの「完璧」。


「……化け物か、お前は」


「失礼ね。あんたに教えながら片手間で解いた結果よ。……でも、これで証明されたわね。あんたは、私の指導がないと何もできない『20点の男』だってことが」


美香は俺のネクタイを指先でクイと引っ張り、顔を近づけてきた。 勝利の余韻か、それとも別の熱か。彼女の瞳が、夕日を反射して妖しく光る。


「……ねえ、誠也。合計で100点以上の差をつけたら、『清楚な委員長がどうやって堕ちるのか実演してあげる』って約束、覚えてるわよね?」


「……っ。あ、あれは神崎に100点差で勝ったら、だろ。俺はあいつに32点差しかつけてない」


「あら、残念。……でも、あんた『自分自身』の過去の点数からは116点も差をつけたじゃない。自分に勝つ。これ、一番大事なことだと思わない?」


美香が俺の胸元に手を置き、耳元で吐息を漏らす。


「今夜も、私の家に来なさい。……今度は勉強インプットじゃなくて、実戦アウトプットの特訓をしてあげるから」


「……どうせ実戦アウトプットと言うテスト直しという苦行を強いられるだけだろ」



俺の胃壁に、また新しい穴が空いた。 テストが終わっても、俺の平穏はどこにもなかった。

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