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夢か現か

ある小説を読んで、それに影響されてつい勢いで執筆してしまう、なんてことは、私にとっては最早日常茶飯事のことでして、これはその産物と言いますか犠牲と言いますか、まあどちらにせよ、自己満足のみを目的として執筆された小説にすぎないことは確かなようで、しかしこれを中途半端な形で終わらせてしまわないよう死なない程度に努力はしていこうと思います。

 はたして自分は本当に目を覚ましたのか、少年にはわからなかった。

 否、これは当然夢だろうと思い込み、それならばこの世界をそれなりに楽しんでみようと画策した。

 

「・・・・・・嘘だろ」


 しかし、『もしこの世界が夢でなかったら』と不安になり、少年は自身の頬を抓ってみよう――――と思ったが、それだとどうも古典的過ぎてつまらないので、自分の近くに聳え立っている大樹に頭をぶつけてみた。

 ふん、という掛け声と共に、大樹に咲いていた花々が散った。

 夢の世界だろうと思い込んでいた為、力は加減せず、思いっきり頭をぶつけた。

 おかげで少年は、暫くその場にうずくまり、激しい頭痛に苦しむことになった。


 「最近の夢は、痛みまで実感できるようになったのか?」


 それならば、随分とまあ人間は進化したものだ。

 恐らく、若者達の願い――――非現実的な世界に登場できるよう、神様に祈った結果がこれなのだろう。

 つまり神様は、現代の若者達の願いを、遠回しに叶えてくれた、ということなのだろうか。

 ――――いや、


 「俺はそんなことを望んだ覚えはないぞ」


 少年は頭を抱え、悩み始める。

 確かに、少年はそんなことを望んでいなかった。

 非日常だの異常だの、そんな危険で奇怪な存在を必要とするほど、少年の世界は退屈ではなかった。

 学校生活はそれなりに充実していたし、何より部活動は楽しかった。

 家に帰っても弟や妹の遊びに付き合わされたり、家族揃って旅行に行くこともあった。

 もうじき突入する夏休みにも、家族でオーストラリアに旅行する計画も立てられていた。


 「かと言って、別段事勿れ主義というわけでもなかったか」


 少年は自身の頭をぶつけた大樹の天辺を見上げながら、昨日、一体全体何があったのかを思い出す。

 とは言っても、少年は昨日も一昨日も、ましてやその前の日もいつもどおりの、平和な日常しか過ごしていない。

 昨日だって、いつもどおり部活動を終えてすぐに帰宅し、晩御飯と風呂と学校の課題を終わらせて、すぐに寝てしまった。


 「・・・・・・原因不明、か」


 まるで治療不可能な病気にかかった気分だ。

 変わったことがあれば、覚えているはずなのだが。

 ましてや、目覚めたら外にいました、なんて有り得ない。

 誰かの悪ふざけか、はたまたドッキリ企画か。

 ――――否、違うだろう。

 少年は目の前に広がる世界――――さながら絵本に出てくるような白い城を眺めて、ここが日本ではないことを確信する。

 日本にも城はあれど、あんな洋風な城はなかったはずだ。

 それならば外国に――――否、それもない。

 その城の下に広がる世界――――どうやら城下町のようだが、その城下町を目をよく目を凝らして見ると、現代では見られないようなものが走っていた。

 それは自動車ではなく、ましてや人力車でもなく、白い城同様、絵本に出てくるような西洋的な馬車だった。


 「・・・・・・タイムスリップ――――否、異世界に飛ばされた、とか?」


 そういう類の小説をあまり読まない少年でも、この世界が、昨日までいたあの世界とは何かが異なることは分かる。

 日本でも、外国でもない、その他の世界。

 兎にも角にも、今は情報を収集しなければ――――と一旦悩むのをやめ、少年はようやく城下町へ向かって一歩を踏み出す。

 しかし、一歩を踏み出してすぐに、立ち止まってしまった。


 「馬車が存在する以上、当然それを操る人も存在するだろう――――否、もしかしたらもしかすると、それは人ではないのかもしれない。俺らの世界で思い描かれているような、そんな古典的な宇宙人だの火星人だの、そんな生命体なのかもしれない。けど、そんなことはどうでもいい。それよりも気になることは、唯一つ。果たして――――」


 この世界では、日本語が通じるのだろうか?

 情報を収集するために必要不可欠な条件を、相手側は満たしているのだろうか?

 異世界であると仮定すると、やはりこの世界だけの言語が存在する可能性も否めない。


 「・・・・・・まあ、兎にも角にも、まずは何らかの行動は起こすべきだろう」


 良かれ悪かれ、結果を出すべくは行動するべし。

 一々不安がっていても、このまま時が過ぎるだけ。

 一刻も早く、この現状を打破する契機を手にしなければ。

 少年は溜息をついて、不安を募らせながら再び城下町にへと歩き出した。

異世界――――更には魔法が使えるような、そんな非現実的且つ非科学的、奇奇怪怪にして摩訶不思議珍妙奇天烈な世界が存在したと仮定して、挙句にはこの世界とその世界を結ぶトンネルのようなものが存在したら、一体どれだけの人間がその世界にへと足を向けるのでしょうね、と退屈凌ぎに思考することが時折ありますが、その結論を自らの手で導き出してみると、安全が保証されない限りは誰も使わないだろう、だなんて夢も希望もない現実的な結論が出てきてしまうわけです。

そんなつまらない、挙句には文才もない私が執筆する小説でした。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

そして、また次話でお会いして下さる方には、抽選で何と! と言ってはみましたが、ただの思わせぶりでしかないわけです。

つまるところ、次話に過度な期待をかけないで、ああなんだ、次話が投稿されているじゃないか、丁度今暇だし、読んでみようかな、程度の軽さで読んで頂けると、こちらも心が軽くなり、精神的に助かっちゃうわけです。

というわけで、先程の前書きから最後の後書きまで読んで下さった方、まことにありがとうございました。

次からは三行にまとめられるよう、努力だけしてみます。

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