棺桶おなべ
人食の夢。お気を付けください。
ほんのちょっぴりホラーな夢。
気持ち悪いと思いつつ、それが当たり前と言われる。
そんな夢を見た。
☆☆☆
これはだいぶ昔に……といっても成人してからの夢。
祖父が亡くなったために葬式をして、火葬場へと親類家族で行く夢だ。
(この夢を見た時には、すでに祖父が亡くなってずいぶん経っていました)
みんなで火葬場から出てくるお棺を待っていた。
みんなお箸を持っている。骨を拾うのだ。
だから、私もお箸を持っていた。
棺桶がカラカラと引き出され、蓋があく。
本来ならば、残ったお骨のみのはずなのに、夢なので、そこはおかしいと感じない。
私は一歩後ろからその様子を眺めていた。
それも私の性格的なところから、おかしいことはなかった。
しかし、棺桶から湯気が上がり、みんながお箸をその中にツッコみ始めるのだ。
「○○ちゃんもおいで」
と私を呼ぶ親類の誰か。
おずおずと近づく私。
覗き込んで、気持ち悪さを感じたように思う。
ぐつぐつ煮込まれた肉のスープがそこにあったのだ。
「なにしてんの?」
お鍋をつつかない私に、叔父が言う。
なにしてるの?は私が言いたい。
「こうやってな、みんなで食べてやるんやで」
くったりと煮込まれて、ホロホロに溶けるような肉をつまんで口に放り込む親族たち。
夢の中の私は、食べたのだろうか、どうだっただろうか?
そこは都合よく覚えていない。