起きろ!
夢の中から出られない、起きられないという夢をよく見ていた。
最近はあんまり見ないけど。
そういう夢を見る時はいつも怖い夢じゃない。
ただ、布団の中にいる自分を見ている。
目覚ましが鳴って、そのまま起きて、学校なり仕事なりへ行く準備をし始める。
だけど、ふと気がつくのだ。
あれ、これ、夢の中じゃない?と。
そこからが恐怖になる。
夢の中でどれだけあがいても、起きられないのだ。
「起きて、私!」
もちろん、夢の中の私は起きているので、不思議な感じなのだけど。
扉をなんども開いていることもある。
きっと、この扉を開いたら……。
ただ、一生懸命走っていることもある。
きっとどこかに夢の出口がと。
何かを破ろうと、空を掻いていることもある。
だけど、私の眠りは覚めようととしない。
そして、私は起きることがないまま、夢から覚めるのだ。
なんと言えばいいのだろう?
夢を見なくなって、その後に目が覚める。
夢の中で寝落ちすると言えばいいのだろうか。
起きる寸前は、真っ暗なのだ。
だけど、悪夢ではないのに、ただ「起きられない夢」が恐怖とは別の一番怖い夢だと私は思っている。














