7.青の郵便とランタンの目
短絡的な灯、矛盾の色彩
バグに別れを告げ、今度は一級の館へ帰還した。あの白い医者から得た情報を基に、まずはジョーカーと連絡を取るために『青いポスト』について調べようという話になり、帰宅早々紅茶を淹れ会議が開始される。
「おぉ。やっぱり協会は洋風なのか、アニメとかでよく見るなこういうの」
「こうなると同盟も気になって来るね!方向性にとても興味が湧くよ」
ソファに座るなり広い館を見回して面白そうにする鬼達に、悪魔達は屋敷へ行った時の自分達とほとんど変わらないなと苦笑いした。勿論クロヴンを除き、である。
「でも日本と大差ねぇだろ?」
「ソファやら家電やらは普及してるけど、こんな館は一般的やないねぇ~。まず玄関が広いし」
「靴は脱ぐんですね。履いたままの習慣とばかり思っていました」
確かに靴を脱ぐ習慣も、広まったのは最近のことだ。
「多分人外視点じゃないかい?人間達に聞かれたら、また厄介な子が出てくるよ」
ゴーン……___。
唐突に屋敷中に響いた重い鐘の音に、自然と沈黙が刻まれる。
ウルは紅茶に口を付け、ゆらめく湯気を隔てた彼らを見た。今は午前九時、鬼達は徹夜なので夢うつつである。
「……鹿威しみたいなものですか」
そう呟き、楽刻はウルを見やる。机を挟み向かいに座っている彼は、出会ってから始終その柔和な笑みを崩さない。その代わり、カップをコースターに置くと静かに口を開いて話を進めた。
「さて……バグからはいい情報が入ったね」
「あぁ、青いポストな。普通は赤いもんやけど、確か30年代に一部の地域で航空郵便専用やったやん」
青いポストはその後普及することなく、現在ではほぼ撤去され今では歴史的な逸話と化している。
「単に……」
言いかけて僅かにたじろぐ。この七人の視線は確かに重い。
「……色が青いってわけやないんちゃうの~?せやろ楽刻」
「なるほどね!そういう方向性もあるのか」
軽く頷いた楽刻の横に座っているクオンも、口元に笑みを浮かべて同意を示した。
「何処かにポスト配置のマップがあったね。持って来よう」
「何であるんだい?英国では一般的なのかな」
「マイナーっすわ全力の」
クロヴンは立ち上がって部屋から出て行く。そんなものいつ手に入れたのか以前にどのような用途を信じて入手したのだろうか。まさかこの展開を予想していたわけもあるまいし、益々謎は深まるばかりである。
彼が出て行くなり、甘音は頬杖をついて首を傾げる。
「ここ振り子時計あんのか。今十時だろ、一時間?」
「ライベリーの集中力切れるから、四時間ごとに鳴らしてますよ。ノイズとクロヴンのサボったデスクワークを主に」
「マジで?お前も大変だな……ちゃんと寝ろよ」
何かを察したらしい甘音が眉間にシワを刻んでそう言うと、ライベリーはただ苦笑して返した。
そう、この二人はサボり魔のおかげで立派な睡眠不足なのだ。
「にしてもこの館でっかいなぁ~……豪華絢爛やわぁ、博物館の勢いやねぇ」
間延びしつつ僅かに驚嘆の滲んだ声で言った夢ツに、タバコを片手にノイズはへらりと笑った。
「んなこと言っても、お前らの屋敷も似たようなもんやん?なんやろな、一見簡素に見えても精巧な作りやし綺麗やし、風通しええし……あとなんかええ香りすんねん。あれ何なんや?」
「お線香ちゃうかな、毎日夜行が几帳面なもんでなぁ。趣味?」
「そんなところかな?香りが何となくね!屋敷の作り的に外から新鮮な空気も入るし、遠慮なく焚かせてもらっているよ」
扇子を緩やかに仰ぎながら笑う。今更ながら、その扇子に赤い果実か何かが描かれているのに気付いた。
「夜行さん、扇子の絵は何ですか?果実?」
クオンが尋ねると彼は仰ぐ手を止めてにやりと笑い、口元を隠すように開いて見せた。
「これはほおづきという花だね!古い友人から貰ってね、すっかり気に入ってしまったんだ。オシャレだろう?」
「そうなんだ!確かに組み合わせいいですよね、夜行さん黒が多いから紫とか赤似合うし」
「分かる分かる、何か蝶みたいだよな。でかいヤツ」
「それは言えてんな。つーか夢ツ、そのキセル何なん?線香みたいな香りするんよ」
彼のキセルからは終始、薄い赤色の煙が上がっていた。線香とはまた違うが、ノイズはそこらに詳しくないので仕方がない。
「お~、これただのキセルちゃうんやでぇ?煙は花の香、更に人体に影響もあらへん優れもん!……って和菓子屋の店長が言ってたわぁ」
「……よかったですね」
楽刻は溜息混じりに一言呟く。恐らく、この類の話は何度も聞いているのだろう。
「冥福屋ってお前らも知ってるだろ?そこの店長が中々のやり手で、たまに掘り出し物をバカみたいな安価で売ってんだよ」
「それでも一般と比較したら十分高いけどね」
言うなれば、金の延べ棒を三十万で売っているようなものだろうか。トライアングルは稼ぎがいいので、任務課トップともなればそれなり以上の給与がある。
「そういや、ウルはポストに心当たりないの?俺らすっかり手焼いてるんだけど」
「さぁ……ここに長い間いるわけじゃないし、できたらとっくに終わってるよ」
甘音の問いにウルは肩を竦めた。人狼と言えど、確かに使える力は微々たるものなのかもしれない。
その一方で、ウルは全く別の事を考えていた。微かに口元に含みのある笑みを混ぜる。彼らをじっと観察しないでもただ、一つの事実を知ることができた。
彼らの絆は彼らの実力以上の強さだ。その意味を、幸運なことに彼らは気づいていない。トライアングルとは確かに末恐ろしい組織である。それでも、ウルはその面面に浮かぶ幸せな笑顔を、溢れる輝かしい心情を見守るように微笑みかけるしかない。
(……歯車の)
運命の旋律を透過する人狼。
静かに目を閉じる。瞼の裏に鮮やかに映し出されるのは、白い___……。
「やあ」
扉が軋み音と共に開き、大きな紙を片手にクロヴンが戻る。ポストの地図は無事見つけられたようだ。
「ついでに文献を見てきたけれど大した情報はなかったよ。さぁ、テーブルを空けておくれ」
紅茶のカップを端に寄せ、結構案大きさのある紙を広げてコースターで固定する。少し見てみると、カンタベリーにはポストが多いことが分かった。観光都市でもあるからだろう。
「これ、全部調べるんですか?今は大した情報網もないですし仕方ないと言えばそうですが……」
彼らが情報収集で使う伝手は大抵、トライアングルに一枚嚙んでいる者ばかりだった。独自のルートを築いていくのは大した問題ではないにしろ、それなりのエキスパートが必須だ。生憎、世界はそんな都合よく構成されていない。
「まぁ何にしろ、密集してるとこから見て行かん?ほらここらとか」
ノイズが指さしたのは、悪魔達がよく行くデパート周辺だった。住宅地なのでポストも多いのだろうか。
「それは決定だね、とりあえず……どういった物かは情報がないからなぁ」
「……情報か」
ふとライベリーは顔の前で手を組み、ポツリと言葉を零す。グラサンの奥の目を真剣ながらも僅かに喜色を孕み言った。
「情報と言えば、いるじゃん。資料館にピッタリなヤツが」
「確かに彼なら何かしら知ってそうだね。ライベリーの目にも引っかからないのだし、まぁ信用はできるさ」
鬼達は苦笑いに疑いを滲ませる。彼らはどうにも慎重さが過ぎるようだ。しかし、鬼達からすれば悪魔達の大胆さが心配でたまらないのだ。クロヴンとノイズはともかくライベリーやクオンなど、話を聞く限り怪しさ満点の情報屋に明らかに興味を持っている。そこらが敏感なのは意外とノイズらしい。無表情なところ、乗り気ではなさそうだ。
「……今はそのくらいしか道もないね。宴に情報を求める?」
ウルは彼らに判断を委ねるつもりのようだ。夜行が僅かに目を細めると、彼はにっこりと笑った。
「君のことも黒咲さんって呼ばないでしょう?」
「……そうだね、なら行こうか」
夜行が苦笑を漏らして承諾する。諦めたように扇子を仰ぎ、酒片手の甘音と目を合わせて肩を竦めた。
「にしてもヒト多すぎひん?行きしに割り振らなあかんねぇ」
「よっしゃ~!じゃ行こうぜ!妙な情報屋の真髄、確かめよーぜっ!」
「まぁ、今後有益にならないとも言い切れないし。行こうよノイズ」
やはり、と微笑ましくも二人に諦めの視線を向ける。ノイズはと言えば、クオンが言うならしゃあないなぁと簡単に絆されてしまった。
ウルは優しい笑みを彼らに向けると、話に区切りをつけるように言った。
「そうだね、話もまとまったことだしそろそろ行こうか」
△▼ △▼ △▼ △▼ △▼
‐‐‐‐‐‐資料館
「あの……すみませんが、一級の皆様方。失礼ですが何故鬼の方々が……?あとそちらの灰色の方は?」
前と同じ監視が、馬鹿正直に堂々と向かってきた彼らに恐る恐る声をかけた。何しろ協会と防衛本部の最強が集っているのだ。下手な真似をすればどうなるかわからない。普段彼らの人当たりがいいのは重々承知しているのだが、やはりこう集合されると気迫が凄まじいのだ。
「あ、監視さん」
「ギャイリー、クオン様……はぁ、全く何をされているのです?」
ギャイリーと言うらしい真っ青な監視の横からオレンジ味のある赤毛の監視が出てきた。彼らに少しも物怖じせず、寧ろ呆れながら引き留める。両者とも黒の布と包帯で目を隠しており、ペアらしいので格持ちの警備課の者らしい。彼は来るなり壱鬼達を見つけると、途端ギャイリーに鋭い視線を向ける。
「……ギャイリーが申し訳ありませんでした。壱鬼の皆様、お初にお目にかかります。私共は警備課三級、アスター、ギャイリーと申します」
「壱鬼……!?マジですかアスターさん!?」
「騒がしい。そして失礼ですが、私共がどうして貴方達を通すことが叶いましょう?今回は見逃せませんね、一級殿」
ギラリと冷たい眼光を目に、完全な警戒体制である。後ろでギャイリーはおろおろするばかり、今日も彼一人なら楽だったのだが。
しかし、この程度ならまだ想定内だ。
「こんにちはー、アスター三級。そこの灰色のヒトはクロヴンの友人で、ウル。鬼達とはほら、トライアングル狩りの事もあって協定を結んだの。上層部が模索する前に、実行隊員も動いておこうと思って」
「なるほど?まぁ近かれ遠かれ協会も鉄槌を下すことでしょうし……それで交流と言うわけでしょうか」
協会と防衛本部は犬猿の仲とまではいかずとも、関係が良好なわけではない。まだ彼の目には疑いが宿っていた。
「だって上の都合で僕らまで険悪になるの嫌じゃん。お願い!いいでしょ、僕もせっかく同年代の友達ができたのに……」
「お黙りください、腹の内が透けて見るようですよクオン一級。あなたの演技上手は有名ですからね」
上目遣いでねじ伏せようとしたクオンの思惑はものの見事に見破られる。が、その後ろで何故かギャイリーが嗚咽を漏らしてアスターの袖を引っ張った。
「アスタ~、クオン様……初めてのお友達ですよ?オレなんて、こんなちっちゃい頃は悪友と野原駆け回ってたのに……初めての!お友達を!無情にも奪うなんてっ……!!オレにはできません!」
「野原……。潔いが、警備課三級ともあろう者が情に流されるとは何事ですか!……しかし、まぁ確かに、このままではクオン一級が捻くれる可能性は十分……」
「クオンは捻くれても可愛いから大丈夫や」
「お黙りくださいノイズ一級。仕方ないですね、今回は特別にお通しいたします。しかし、次からは本部の警備課に許可を得てからするように。いいですね?」
「了解!ありがとう、流石アスター!」
「しばきますよ、早く見て回って退館してください。見つかれば私共もお咎めなしとはいきませんので」
クオンが懲りずに無邪気な笑顔でお礼を言うと、彼は眉をひそめつつ笑顔で去っていった。その横でしつこいギャイリーが泣き喜びしているのだから、たまったものじゃないだろう。
「苦労人ですね……」
「まぁ、あの子達にはこれからも頑張ってもらおうじゃないか」
簡単に言えば、警備課と任務課は真逆の性格の持ち主の集合なのだ。警備課は割と真面目、任務課は実力主義なので能力次第、大抵頭のねじという概念をかなぐり捨てている。そんな任務課に警備課は発狂しているのだが、クロヴンの友人と聞けば大抵はすんなり通るのだ。おかげでウルは目溢しされたようだ。
彼らは資料館の門をくぐり、本館へと歩き始める。
「にしても、まだ人外エリア封鎖なんかな?責任者誰やっけ」
「ケケル・ピアロネット任務課二級な。アイツの権限も及ばねぇんじゃ?こんなのぜってーしねぇし」
「ちゃっす!奇遇っすね、オレんこと呼びました?」
そう言って資料館の扉から出てきたのは、まさに人外エリア責任者のケケル・ピアロネットだった。陽気な彼を見て、壱鬼達はすっかり目を丸くする。
「あ、ナイスタイミングケケル!久しぶりだな、二級の皆元気?」
「元気っすよ!ずーっと読書パーリィで息苦しいんですわ」
青いウルフヘアに黄色の瞳、黄色いグラサン。派手なティーシャツに青と白のマーブルパーカー、ライベリーとほぼ変わらない背丈。
「……お?ドッペルゲンガー?」
「違いますよ!そこはせめて兄弟とかにしません?」
遠目に見ると区別のつかないこの二人は、趣味嗜好が全く同じなだけの赤の他人である。かといって険悪でもなく、寧ろ仲はいい。
「で、何か言ってませんっした?つか何でナンバーワンが集ってんすか、飲み会?」
「ちげーよ、そんな不真面目じゃねーわ!まぁ……」
ライベリーは先ほどと同じ内容を説明し、コロッと騙されたケケルに内心謝罪する。
「へぇ、それで見学コースと?ライベリーさんらはもう防衛本部の方行ったんすか?」
「いや、屋敷行った。めっちゃ綺麗だった」
「猪突猛進っすね?で結局何かオレに用事があるんすか」
「あ、そうそう!ってなわけだからさ、担当エリアの封鎖解除して欲しーわけだけど。ぶっちゃけ上層部だよな?」
「イグザクトリーっす。オレなんかお飾りみたいなもんっすよ?酷いもんですよねぇ」
ケケルによると、形式上その立場を与えられただけで実質権力などないらしい。整備やデータの管理、委員の参加はしているが本当にその位しかできることもないのだとか。
「何か申し訳ないっすね、ここぞと言う時に役に立てないのは結構辛いっつーか……」
「何だよ、その情報結構貴重よ?アンノーンもまぁまぁ減ったし、そんな都合よけりゃ寿命が心配なもんだぜ?」
「寿命っすか!それはマジっすね、オレも気をつけなきゃ~!……っと、ちょっと研究課に呼ばれてるんっすよ、怒られんのでそろそろオレ行きますね」
「おう、サンキュー!」
わざわざ手を振るケケルに楽刻は苦労人ですね、と呟いた。確かに、一級の周りには苦労人が多い。
その後、彼らは特に厄介事には遭遇せず無事例のエリアにたどり着いた。メンバーはライベリー、クロヴン、ウル、夢ツ、甘音の五人で行くことになった。他は別のエリアで情報収集である。
紫の本は付近の棚に突っ込んでおいたので、壁との隙間に唯一腕が入るウルが仕掛けを起動する。ちなみに、言われて夢ツがチャレンジしてみたが惜しいところだった。
「この棚辛辣やなぁ……」
「棚にそれ言う奴初めて見たぞ」
するっと精巧なアンティークに変化した扉を開き、相変わらずタイミングよく離れる靴音に眉をひそめる。やはり、この情報屋は得体が知れない。
中に入り扉を閉じた途端、奥から話し声が聞こえた。先客がいたとは思いもよらず意外を通り越して驚愕である、何しろココは協会資料館だ。悪魔でもそうでなくとも驚くしかない。どうしたものかとちらとウルを盗み見ると、変わらない笑みの中目だけに憂鬱そうな影が射していた。
「え、どうしたのウル?」
盗み見の概念をぶん投げて、思わず口に出る。
「いや……。聞き覚えのない方が幸せだった声がね」
「ん、知り合いか?会わんでええの」
「会いたくないな、できたことなら……」
諦めの言い分だが、一体誰と言うのだろうか。はてと首を傾げると、奥から相変わらず不気味な声が響く。
「やぁ、また情報をご所望かい?そんなところにいないでコッチへおいで」
特に逆らう理由もないので、ウルを気にしつつ浮謎の言葉に従った。
「……ウル」
そこに立っていたのは、明るいオレンジの髪の少年だった。背は小さくウルとほぼ変わらない。アクセアリーをあちこちにつけ、髪もヘアピンでとめている。”DESIRE"と書いたタンクトップの上には白い上着、そしてそのまあるい瞳は水色に光っていた。いや、今本当に光った。途端にやぁ、と笑んだ口の中はアビスのように真っ黒で、歯や舌などあるべきものが無く闇が広がっている。
その少年を見たウルはげんなりした顔でライベリーの後ろに隠れようとするが、そこをとんでもない速度で迫ってきた少年に腕を掴まれた。
「ウ~ル~……!!ウル!!久しぶり~!こんなとこで会うなんて、素敵な偶然だね!……なんで逃げるの?なんで僕から目逸らすの?ねぇ何で何で何で何で何で何でねぇねぇねぇねぇ?」
「いやだって絶対偶然じゃないでしょ……!!ココあの世界からどれだけ遠いと思ってるの?銀河三つ分はあるよ?」
「そーんなの僕の食よ……友情に比べたら軽いモノだって!ね!?」
「言い間違えたし友情が一方通行!あー知らない、君みたいな子は知らないから!手を離して、食欲でストーカーされるとか複雑だよ嫌だよやめてくれない?」
「ストーカーも食欲もそれが僕らジャック・オ・ランタンの習性だから仕方ないよね!人狼って吞んだことないんだもん!一口くらいいいでしょ?」
「せめてそこは否定しようよ!!あと君の一口は世界吞み込むでしょ、いいわけないよ!?」
ひとまずライベリーと甘音の手によってウルは救済され、ストーカーらしいフレンドリーな『ジャック・オ・ランタン』に向き直る。
「えー……。誰?」
「雑!すっごく雑!!まいっか、僕はジャラだよ!ジャラ・クラーク、ウルの古い友人で外の世界から来たの」
にっこりと可愛らしく笑う。しかし、その口内から垣間見える闇がとてつもなく不気味だった。
「……よろしくね!」
ジャラは普段から真っ黒い口なので、少々不気味に映ります。口さえ閉じていれば可愛い子なんですけれどねぇ。