降り続く
「空が晴れるまで二人でいよう」
そうやって恥ずかしい繋ぎ止めを口にした
君は笑って
「じゃあ、そうしようかな」とさり気なく
手を重ねてきた
重い空を見上げながら
思い出したことを言えないまま
しばらく口をつぐんでいた
「今夜はお月様が綺麗に見えるはずなんだ」
星がぽつんと瞬き出した頃
君は呟く
あまりにも小さな声だったから
それとなく頷く
きっとこの時間という
囲いから漏れ聞こえないように
あっという間に真っ暗が
降りて天体が本当の意味で顕になる
それまでの空が嘘なんじゃないかと思えた
またぽつりと光が点けられる
何重にも描いた幾何学模様
規則性を帯びた美しさがただそこにある
空が眩しい
君の方へ視線を返す
すると君は僕を見ていた
瞳は僕を映していた
時間が止まったようだ
僕たちの未来が映し出されているようだった
言葉は必要ない
ただ静かに共有するだけで十分
「君と一緒にいると、時間が止まるような気がする」
君は微笑んで
「私も同じ気持ちだよ」と
夜が深まるにつれて
星々はますます輝きを増していく
僕たちは手を繋ぎながら
静かに歩き続ける
言葉は少なかった
君は僕の考えを読んだかのように
「そうだね、ずっと一緒にいよう」と囁く
夜空には無数の星が瞬いていたが
僕にとって一番輝いていたのは
君の瞳だった
僕たち二人はそのまま
夜が明けるまで一緒にいた