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飲み会?


ーー



検査も終わり、やることが無くなったのでゲートを後にした。

二人とも怪我はしてないし、体調も問題ない。こう言う時はサッサと帰るに限るよねー。



2人で他愛のない雑談をしながら歩いていると、支部へとついた。



「・・・お? おかえり〜」


「「ただいま。」」



すると、すごい珍しく夏希が玄関で出迎えてくれた。

最近は黒獣本部にあるイクス製造室に篭りっきりでアイツの兄貴に引き取りに来てくれって連絡が入ってたくらいなのに。


勝手に出て来てくれて良かった、行かなくて済んだわ。


でも何で玄関にいるの?


夏希はこちらへとぴょこぴょこ近づいて来て、エリスの周りをぐるぐるする。



「・・・うん。元気そうだね、イクスもらっていい?」


「え、はい。」



夏希はそう言ってエリスからイクスを受け取る。

それから軽くイクスを見回した後、目を見開いた。



「あれ、戦ったの?」


「はい。」



やっぱそこ驚くよね。

普通凹んで1日2日は引き篭もるのにエリスは行く前より元気なんだもん、おかしいよね。



「はえ〜、頭おかしいんだね」


「・・・褒めてます?」


「もちろん。」



嘘つけ、絶対褒めてないだろそれ。

それで褒めてたら馬鹿だって褒め言葉だろうが。



「でも良かったー、これなら作ってるイクスは無駄にならなそうだね〜。」


「そっちの心配なのですか?」


「ふふ〜、むくれないでよ。ちゃーんと心配してたからさ、はいこれ。」



夏希は満面の笑みでエリスに一冊の本を手渡した。



「何ですかこれ?」


「塞ぎ込んだ時に元気になる本。」


「は? そんな魔法みたいな本しらねぇぞ。」



俺が疑問を浮かべていると、エリスは表紙を開けて吹き出した。

一体何見てるのか気になり後ろから本を覗くと、



そこには隊服を着ながら決めポーズをとっている俺の写真が、、、。



「何でんなもんテメェが持ってんだよ!!?」



即座にエリスから本をひったくり地面に叩きつける。

その様子を夏希はケラケラ笑う。


ぶん殴ろうかな?



「いやー、資料棚を整理してたら出て来てさ〜。これってだいぶ前の隊員募集のチラシ案でしょ? 懐かしいね〜。」



くっそ、だいぶ前に人員不足解消のために隊員募集のチラシ案を作ろうって隊員一人一人の写真を撮られたんだよな。

結局作られはしなかったけどマル秘ファイルが流出し、隊員間で高く売買され、一時期写真を撮られていた隊員達がブチ切れてた。


その後一部の馬鹿どもがお気に入りの隊員写真を切り抜き高額取引を行いやがった。ちなみに俺も風霧のページを切り取って売り付けてた気がするけど。


・・・あれは結構儲かった。



「・・・いや、何で俺の写真が一番前のページにあるんだよ。」


「私が剥いで一番前に貼り直したからだよ?」


「やってる事エグいなお前。」



マジで最悪だなこいつ、後でこの本燃やしとこ。



「・・・(コピー取ってあるから無駄なんだけどね)」


「今なんか言ったか?」


「何もー。」



なんだそのいい笑顔、泣かすぞ。

あとエリス、俺が回収した本を名残惜しそうに見るな、絶対わたさねぇから。



「・・・ったく。あ、そうだ夏希、お前今日の夜暇か?」


「ん、いつも通り整備室に篭ってるよ?」


「そうか、んじゃ今日の夜、エリスの歓迎会兼初任務達成祝い兼クロちゃんの送別会やるから空けといてくれよ。」


「何そのごちゃ混ぜな会。沢山やると大変だからいっぺんにやっちゃおうって感じ?」


「そだな。」



そんな何回もやってたらお金なくなっちゃうでしょ?

予定だって3回も合わせるのは大変だしまとめちゃった方が楽だからね。



「うん、私はいつでも大丈夫だよー。それより絶対クロちゃんまだ誘ってないよね? あの人は忙しいんだから早く誘って来なー。」



夏希はエリスが手渡したイクスを持って、支部の中へと消えてった。

きっとこれからまた整備室に引き篭もるんだろうな。



「・・・あの隊長。」


「絶対渡さないから諦めろ。」


「・・・・・はい。」



こいつはこいつで俺の写真をゲットしてどうすんだ?

あれか、脅すのか。 めちゃくちゃ効くから勘弁してくれ。




ーー




「と言うことでクロちゃん今日はよろしくね。」


「・・・いきなり脈絡がないですね。言語学習してから出直してください。」



事務所に戻ると、クロちゃんがいたので端的に要件を伝えたのだが流石に伝わらなかったみたい。


相変わらず疲れてるみたいで眉間を押さえてため息をついてる。

ちゃと休んだ方がいいよ。



「いや実は(カクカクシカジカ)」


「・・・なるほど、よく分かりました。」


「お、てことは?」


「いや行きますよ。流石にこの流れで断れないですから。」



よっしゃ作戦成功。

クロちゃんならあれだけ外堀を埋めれば断らないと思ったんだよな。



「いやー、これでエミィに睨まれなくて済む。」


「本当ですよ。これで狗廊さんに用事あったら流石に怒られてましたからね。」



さて、これでメンバーは5人か。

んー、奇数よりは群数の方がいいかな。よし、後1人呼び出そう。


俺はポケットから端末を取り出し、目当ての人物の番号を探す。



・・・えっと、風霧、かざきり。 あ、あった。



pipipipipiーー



『・・・何だよ。』



電話口から不機嫌そうな声音で応答があった。



「おっす、今暇?」


『あのなぁ、俺はお前と違って忙しいんだよ。いつものイタ電なら後にしてくれ。』


「俺がイタ電しかかけた事ねぇみたいに言うな。」



心外な、非通知にして夜中の2時にかけるしかやったことないだろうが。

てか基本的に風霧に電話なんかしないし。

だって面倒事押し付けられるんだもん。


では何故通話かけたか


・・・こいつ金あるから奢ってくれるかもしれないんだよ(下心)



『どうせ俺に払わせようとしてんだろ?』


「・・・何のことかな。」



おかしいな、通話だから顔から思考を読まれるわけないのに、、、。



『まぁいい、聞きたいこともあるし行くよ。』


「あ、やっぱ来なくていいわ。」


『面倒事の匂いを嗅ぎつけんな。』



いやだって、話って嫌な予感しかしないじゃん。

早くもこいつに電話かけたことを後悔して来た。やっぱ欲は身を滅ぼすね。



『場所は?』


「第八区12番道路にある『アルトート』ってとこにしようかなって。」


『あー、あの安い洋食屋か。まぁ美味いし量もあるからな。わかった、じゃあ19時くらいでいいか?』


「いいよー。あ、後ちゃんと車で来てね。」



ちょっとでも酔って気分が上がりでもすれば面倒な気がする話なんて忘れるだろう、、、俺はそう信じてる。



『酔わせて話を忘れさせ、なおかつ帰れない様にしようって考えてるな。』


「何でわかんだよ。」



流石に声に出してないよね?



『酒が飲めない奴に言われることじゃないからな。』



なるほど、確かに普段飲まなくて別に気遣ったりしてこないやつが言うのは違和感があるか、、、ッチ。



「まったく、こんなに疑り深い友達を持つと苦労するよ。・・・じゃ19時な、ちゃんとこいよ。」


『・・・俺が疑り深くなったのはお前のせいなんだけどな。わかった、仕事を切り上げたら行くわ。』



偉いな、仕事って用事があったら押し付けられるものじゃないんだ、初めて知った。


さて、誘う人誘ったし後は時間まで休むとするかな。

そう思って後ろを振り向くと、呆れた顔をでこちらを見つめる2人。

俺は何でみられてるか分からず首を傾げる。



「隊長、統括隊長ってアポもなしに気軽に呼べるものでは無いと思うのですが。」


「彼の方は今日会議が何回あったと思ってるのですか? 来るという彼の方も彼の方ですが、もう少し休むということを覚えてほしいですね。」



へー、あいつってそんなに忙しいんだ。

でも本人が来るって言ってるんだからいいんじゃない?

むしろ俺は来なくていいわってちゃんと伝えたからね。



「ま、怠かったら来ないだろ。」


「「あなた(隊長)じゃないのですから。」」



自覚はあるんでハモってまで言わなくても、、、。




ーー




第八区の十二番道路は壁付近に存在し、人通りは少ない。

外周区に通じる唯一車で通行できる道路な為、車通りは多いのだがそのほとんどが補給用になる。


もちろん補給用と言っても車を運転するのは未だに人なため休憩が必須。


今回向かう洋食屋はそんな運転手や地元民に愛される地元密着型の小さな飲食店。

別に高い店に行くことだけが歓迎じゃないからね、決してケチなわけじゃないよ?


ちなみに今車には俺(運転)、助手席にエリス、後部座席にクロちゃん、夏希という席順で乗っている。



「あっはー、何だかクロちゃんさんと飲みに来るのって初めてじゃない?」


「いい加減その摩訶不思議な呼び方はやめて下さい。」


「じゃあクロちゃん。」


「・・・それでいいです。」



何だろうね、座ってるだけなのにクロちゃんが疲れてそう。

完全に闇に染まり、ほのかな街灯が灯り淡く照らされる街中を物憂げに眺める横顔が切ない。



「・・・エリスさん、席変わってくれませんか?」


「ちょっとちょっと〜、それは女の子に対して失礼じゃない?」



遠い目をしながら最後の願いを口にしたが、まるで酒でもう飲んだかのようにダル絡みされるクロちゃんをバックミラーで見ながら車を走らせていると頼りない街灯に照らされたアルトートに到着した。


広い駐車場に車を止めて降りると既に止まっている車があることに気付く。



「・・・あり? もう誰か来てる?」


「他のお客さんでは?」



確かにその可能性もあるけどこの店であまり他の客に会ったことないんだよな。

珍しいものを見たな〜って思っていたらクロちゃんが軽くメガネを上げる。



「・・・柚月さんの車ですね。」


「・・・・・・・・・・・え? す、ストーカー。」


「失礼な、誰が黒獣の所有車管理をしていると思っているのですか。というか、黒獣のエンブレムが付いてるじゃないですか。」



言われて目を凝らすと確かに黒鷹部隊のエンブレムが小さく付けられていた。まぁ今の時代、大抵のものは近場で手に入るから車を個人で所有してる人なんてほんの僅かしかいない。そのため道路とかのインフラも少し遅れ気味だしね。


でも黒獣は電車があまり走ってない外周区を行き来することが多いため、申請すれば社用車が貸与されていた。



「あいつ仕事があるって言ってたのに早いなぁ。他の人に任せてきたのかな?」


「「「あんた」隊長」暁月さんじゃあるまいし。」」」



はっはー、3人とも仲良くハモって可愛いねぇ。

さてと、これ以上責められる前に俺も中に入ろー。



ーーカランカランッ



小気味いい音を鳴らしながら店内に入って中を見渡す。ビンテージ風のアメリカンな店内の四人がけが並んだ一番奥に小さくなっているエミィがいた。



・・・ま、でも取り敢えずは店主に挨拶か!



「おっすマスター、久しぶり。」


「・・・・・・久しぶりだな。いつ3年分のツケを返してくれるんだ?」


「へっへっへっ、出世払いってことにしましょうや。」


「・・・ふぅーーーー、部隊長に任命されたって聞いたが?」



マスターと呼ばれた眼鏡をかけた壮年の男性はため息をつきながら眉間を揉む。短く切られた白髪に抑えきれない鋭い眼光は初めて見たらビビって逃げてしまいそうなくらい怖い。



「うちの連隊は出来高制でさ。まだあまり仕事がなくて稼げてないんだ。」


「・・・よくもまぁそれほど嘘を簡単につけますね。」



クロちゃんに背中を小突かれて思わずよろめく。

いやだって本当のことを言ったら金払わされるじゃん。ギリギリまで攻めていきたい。



「お久しぶりです、種田さん。今日はお店を貸してくださりありがとうございます。」


「・・・人志か、別に構わん。どうせ客なんて元々少ないしな。」



種田と呼ばれたマスターは不機嫌そうな顔のまま厨房に戻った。


この店は安くて美味い、なのに人気がないのは店主の愛想が悪いからだろうね。

まぁ慣れれば無愛想なだけで文句言ってきたりもしないし、いい人なんだけどさ。


取り敢えずエミィをずっと放置してても後が怖いし、手を上げながら声をかける。



「お待たせー、待った?」


「・・・。」



満面の笑みを浮かべながら声をかけたがエミィは微動だにしない。文句言われると思っていたので拍子抜けな気持ちになりながらのぞき込むと、まるで石化したようにエミィは固まっていた。



「・・・エミィ?」



エリスに話しかけられてもエミィは動かない。

あまりに不自然な様子にクロちゃんも首を傾げながらこちらへきた。



「柚月さん?どうされました?」


「お、お疲れ様です!く、くくくくく狗廊様!?」


「さ、様? えっと、私は柚月さんの上司でもなければ立場も同じです。そのような敬称は不要ですよ?」


「ふ、ふぁい!」



・・・あ(察し)、なんとなくわかった。



多分だけど、クロちゃんより遅く来るわけに行かないと、早めに来て心を落ち着けてたけどいざ本人の声を聞いたらまた緊張してきちゃった感じかな。


ガッチガチに固まっているエミィにどう反応すればいいか分からず、困惑してるクロちゃんを尻目に、エミィの背後に回った夏希がそっと両手で目隠しをする。



「ーーわっ!? な、なに!?」


「はいはーい、ずっと立ってても仕方ないから座るよー。」



夏希刃そう言ってエミィをクロちゃんの対角側の席へと連れて行く。そして風霧以外の全員が座ると、マスターが料理を持ってきてくれた。


様々な種類の料理が並べられ、ドリンクが全員に手渡されると乾杯になる。



「んじゃ、エリスの歓迎会兼初任務達成祝い兼クロちゃんの送別会ってことで、カンパーイ!」


「混ぜすぎでしょ。」「ありがとうございます。」「か、カンパイ!」「・・・効率的ではありますね。」



各々が各々の反応するのを無視してグラスを軽くぶつける。


まったく、素直に喜ぶ奴はいないのかね?




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