大金持ちの息子に気に入られた私。
ある日、私の事を好きだと言ってきた男性がいた。
その男性は、ぽっちゃり体系の如何にもお坊ちゃま
みたいな男性だった。
歳は43歳だが、見た目は派手な服を着て若作りした中年のオヤジ。
彼は、私を何処かで見かけて一瞬にして【恋】に落ちたと言っていた。
完全に、私のタイプじゃないこの中年のオヤジの告白を断ると、、、?
次の日、彼の執事という年配のお爺さんが私にこう言った。
『貴女は、“若に気に入られたのです”なんて素晴らしい事なのか?
貴女は、お分かりですか? 若のお父様は世界を動かす大金持ちの
登園亦三郎様ですよ、その息子の功史朗さまの告白を断る権利は
貴女にはございません。功史朗さまと付き合うために500万円
用意いたしました。この書類にサインしてお金をお受け取り下さい』
『そんなお金いりませんし、書類にもサインしません。』
『どうしても、お分かりになられないのですね、分かりました。
こちらも手段を選びませんので、一先ず今日のところは帰ります。
お邪魔しました。』
『・・・・・・』
お坊ちゃまの執事が言った通り、数日後。
私の父親が働く会社で、父親がリストラにあった。
母親もパートで働いていたお店を、理由もなく辞めさせられる。
突然、両親二人の仕事が奪われた。
私は、完全にあの執事の仕業だと分かったがどうする事も出来なかった。
・・・それから1週間後。
またあのお坊ちゃまの執事が家にやって来た。
『どうですか? これで、書類にサインしてくれる気になりましたか?』
『分かりました、だから父と母を元通り会社に戻してください』
『分かってもらえて嬉しいですよ、よろしい! 貴女の両親を元通り
また普通に会社で働けるようにしましょう。』
『・・・でも? なんで、こんな事をするんですか?』
『貴女がお坊ちゃまに気に入られたからですよ』
『私以外にも、こんな事をした女性達がいたんですか?』
『その質問には答えかねます』
『図星だから、言えないだけなんですよね?』
『あはは、面白い女性ですね、流石! お坊ちゃまが好きに
なっただけの事はあります』
『その“お坊ちゃまと呼んでいる彼の事なんですが”』
『はい!』
『今までお父さんのお金で好き勝手してきたんでしょうね! 自分で
何かやりたい事もなく、親のすねかじりであの歳まできたんだわ!
だから、受け答えが子供みたいなのよ』
『オホホ、そこまでお分かりでしたか』
『執事のあなたは、彼に何をしたって言うの?』
『わたくしは、お坊ちゃまを散々甘やかし過ぎました。だから貴女なら
お坊ちゃまを更生してくれるんじゃないかと期待もしているのです』
『私に、あのお坊ちゃま君を任す気? 都合のいい話過ぎない?』
『勿論! わたくしも貴女にご協力致します』
『私に何の得があるというのよ』
『今まで感じた事のない“贅沢をさせてあげますよ”』
『そんな事に、私は興味ないわ!』
『そうでしょうね、今まで“貴女だけがお坊ちゃまの思い通りに”
なかなか、ならなかった女性ですから。』
『・・・でも、結局思い通りになったわ』
『わたくしが、卑怯な手を使ったからです どうかお願いですお坊
ちゃまを貴女の手で更生してあげてください』
『・・・そこまで言うなら分かったわ』
『ありがとうございます。』
『その代り、一つだけ条件があるわ!』
『はいはい、畏まりました。その条件をのみましょう。』
『ありがとう。』
・・・こうして、私はあの中年オヤジの彼女になった。
ただ、私はこのお金持ちのお坊ちゃまを更生するだけ!
その約束で、私はこのどうしようもない男性と付き合ったのだ。
『さあ、今日からジョギングするわよ!』
『えぇ!? 運転手がいるのに、ジョギングするの?』
『勿論! 痩せない限り一緒に歩いてあげない!』
『そんなのダメダメ! 若菜ちゃんとボクは一緒に歩きたいんだ』
『じゃあー今日から毎日、10㌔走るわよ』
『えぇ!? ボク死んじゃうよ』
『そんな事で死なないから』
『・・・ううん、』
『じゃあ、出発進行!』
『待ってよー若菜ちゃん、早いよ!』
『早く走る! ちゃんと着いてきてね!』
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