穴と竿
ハーフエルフのファーラは、マーリンにいいように胸を揉まれていたが、今は双方大人しく見詰め合っている
「ところでファーラとやら。
質問は何かな?答えられる事は答えてやろう。
礼ならさっきお前さんの胸を揉ませて貰ったから、それで良い」
「そんなので宜しいのですか?
足りなかったら、今晩わたしの身体を好きになさっても構いませんよ」
「いやいや。ホントに。そういう毛はないから、その手の気遣いは無用に願う。先程のはジョークだ。
何なりと聞くが良い。
わたしは答えられんものは答えんから、お主が内容で気を使う事は無いぞ」
マーリンの指摘にファーラは頷く
「でわ。マーリン様。
マーリン様の年齢はいかほどでしょうか?」
「ふん。女性に年齢を尋ねるなど不粋だが、まあ良い。
年齢はそうさな……ファーラ殿より遥か上……としとこうか?」
「やはり……」
ファーラは呟き、納得したような顔をした
「マーリン様の雰囲気が……何処と無く太祖様に似ていたもので……」
「太祖様って、なんですか?」
新婚サリーが食い付いた。
ファーラの説明によると各種族に太祖様と呼ばれる、門外不出の者がいるという。
太祖様は噂によれば不老不死の存在であるらしい。
らしいというのは存在しているのか?していないのか?
殆どの者……族長クラスの者しか会えないので、謎に包まれているという話だ。
ファーラが最後に
「実はわたしは太祖様に会ったことがあるのです。
ハーフエルフのわたしは、純粋なエルフ達からはあまり良い感情を持たれていません。
けれどエルフの端くれとして、ある王国からエルフ族への要請があったのです。内容は守秘義務があるので控えさせていただきますが……。
向かった里はエルフの中でもより純粋に近く、齢も優に千年は越える者ばかり……。
彼らはハイエルフと呼ばれています。
そこでわたしに興味を抱いたエルフの太祖様がわたしに会ってくれたのです」
「ほう!それは僥倖!
それで?」
マーリンが続きを促す
「第一印象は『この世にこんなにも美しいエルフがいるのか!』でした。薄いピンクがかったブロンドヘアーにエメラルドのような聡明な瞳。
そして圧倒的な威厳!
わたしは生まれてこの方。あんなにも人様に畏れと憧れを持ったことが有りませんでした。
波風が立たないわたしの心も、いつになく荒れました」
「ほうほう?それでどうでした?」
「その後……二人きりになる機会があったのですが、その時は好奇心旺盛に、外の世界の事を子供のような表情で聞いて来ました。
エルフの太祖様にもこのような面があるのかと、驚きました。そしてマーリン様に会って思ったのです。
見た目も多分性格も違うと思いますが、雰囲気が……お二人の醸し出す……なんというか……重厚な世界観が似ているのです」
「そうか……似ているか?」
マーリンの言葉に頷くファーラ
「はい……似ています。
今でも目を瞑れば……あの方の清純そのものを体現したようなお姿が目に浮かびます」
「ハッ!ハハハ!これはウケる!」
突然笑い出すマーリン。
これにはファーラやサリーだけではなく、湯船にどっぷり浸かり我関せずと目を閉じていたライザも驚いたように突っかかる
「突然どうしたんだ?マーリンさんよ!」
「いやいや……済まない。あやつ……大分猫を被っているようでな。思わず笑ってしまった」
「ねこ?……誰が猫を被っているのですか?」
「その太祖様よ」
ファーラの問いにマーリンは答えた。
そしてまたハハハと笑い
「その太祖様とやらはエリファリルだろう?」
「ご存知なのですか?
はい。エルフの太祖のお名前は……エリファリル様です。そのお方が……猫?を被る?」
「いやいや……言葉の遊びだ。
ある地方に、本来の性格を隠し大人しそうに誤魔化している奴の事を、そう表現するのだ。
まったく……あいつは……二重人格め」
そしてマーリンはフフンと鼻を鳴らし
「エリファリルはどうしようもない甘えん坊ビッチだ!」
「ビッチ!エリファリル様がビッチ!?
いえいえそんな筈は……男性もハイエルフの側近の方々以外は近づけませんし、その方々とも師弟のようでとてもマーリン様が仰るような関係ではありません。
何かの間違いでは?」
「穴兄弟というのを知っているかね?」
「あ……穴兄弟?」
「俺は知ってるぜ」
これはライザ
「同じ女を抱いた野郎達の事だな!同じ女の穴に、別の野郎がぶっ込む話よ!」
「ライザさんの言うとおり。
そうだな……わたしとエリファリルはその反対。
竿姉妹ってやつさ」
「さお……姉妹ですか?」
「何だファーラ?そんなのも知らねぇのか?
長生きしても世間知らずだからなお前は!
竿姉妹ってのは、同じ野郎に抱かれる女の事だ!
つまりマーリンさんが言いてえのは、その太祖とやらのエリ……何とかとマーリンさんが同じ男のもんだったって事よ!」
ライザがドヤ顔で宣言する。
するとファーラが「フム」と顎を押さえて考えて
「ということは……わたしとサリーも姉妹になるのですか?その……さお……姉妹とヤラに?」
「「はあぁあああああああ!!!」」
このファーラの爆弾発言にライザとサリーが叫び声を上げた!




